31 / 37
思ってても言わない優しさ
しおりを挟む
織はLINEのトークルームが固定されているのを解除しようとピンのマークを押しても、トーク画面に移動するばかりで困っていたことを相談した。
「うわ!左にもボタンが出てくるのは罠だわ」
(くだらな。しょうもな。ググれ。ググっても分かんなかったんだろうな)
ようやく調子を取り戻した向井は、自分のトークルームを最上部に固定して、織にスマホを返した。
「はい。良かったっすね。解決して」
「ありがとう。いつもごめんね。LINEは未だにわかんないんだよね…」
織が分からないのはLINEだけではなかったが、向井は突っ込まなかった。
そこでふと、先程から織が手元に置いている紙袋が気になった。
「そういえばその袋、何か買ったんすか?」
「あっ」
織は再び下を向いてしまった。
「あのね…駅前に遅くまでやってる店があって、その」
紙袋からテーブルに出されたのは、いくつかの焼き菓子だった。
「クッキーすか」
「うん。前に買った紅茶と合うかなと思って…」
(なぜこのタイミングで?)
「あ…そうなんすね。確かに合いそうっすね」
向井は疑問に感じつつも調子を合わせたところ、織はホッとした表情で笑った。
「良かった…このタイミングでクッキー?とか言われるかと思った」
「言わないっすよ」
明日の食後にでも食べようか、と焼き菓子をカウンターに置いた織は機嫌が良さそうだった。
すっかり不安が消えた向井は、つい浮かれてからかいたくなった。
「俺のために買って来てくれたんすか?」
「え?」
なんて、駅まで行ったついでだろう。飲んだ日は謎にお土産を買って帰ってきた父を思い浮かべながら、向井は織の反応を待った。
「深い意味は無いよ。風呂先に入るから」
「分かってたけどツンっすね」
浴室へお湯を出しに行った織は、鏡で自分の顔が赤くなっていないか確認した。
(女の子が赤くなるのは可愛いんだけどな)
結果、赤かろうと酔っていたため問題なかった。織はホッと息を吐いた。
「これもうダメだな」
その夜、織はある決意をしてベッドに入った。
「うわ!左にもボタンが出てくるのは罠だわ」
(くだらな。しょうもな。ググれ。ググっても分かんなかったんだろうな)
ようやく調子を取り戻した向井は、自分のトークルームを最上部に固定して、織にスマホを返した。
「はい。良かったっすね。解決して」
「ありがとう。いつもごめんね。LINEは未だにわかんないんだよね…」
織が分からないのはLINEだけではなかったが、向井は突っ込まなかった。
そこでふと、先程から織が手元に置いている紙袋が気になった。
「そういえばその袋、何か買ったんすか?」
「あっ」
織は再び下を向いてしまった。
「あのね…駅前に遅くまでやってる店があって、その」
紙袋からテーブルに出されたのは、いくつかの焼き菓子だった。
「クッキーすか」
「うん。前に買った紅茶と合うかなと思って…」
(なぜこのタイミングで?)
「あ…そうなんすね。確かに合いそうっすね」
向井は疑問に感じつつも調子を合わせたところ、織はホッとした表情で笑った。
「良かった…このタイミングでクッキー?とか言われるかと思った」
「言わないっすよ」
明日の食後にでも食べようか、と焼き菓子をカウンターに置いた織は機嫌が良さそうだった。
すっかり不安が消えた向井は、つい浮かれてからかいたくなった。
「俺のために買って来てくれたんすか?」
「え?」
なんて、駅まで行ったついでだろう。飲んだ日は謎にお土産を買って帰ってきた父を思い浮かべながら、向井は織の反応を待った。
「深い意味は無いよ。風呂先に入るから」
「分かってたけどツンっすね」
浴室へお湯を出しに行った織は、鏡で自分の顔が赤くなっていないか確認した。
(女の子が赤くなるのは可愛いんだけどな)
結果、赤かろうと酔っていたため問題なかった。織はホッと息を吐いた。
「これもうダメだな」
その夜、織はある決意をしてベッドに入った。
10
あなたにおすすめの小説
番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か
雪兎
BL
第二性が存在する世界。
Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。
しかし入学初日、彼の前に現れたのは――
幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。
成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。
だが湊だけが知っている。
彼が異常なほど執着深いことを。
「大丈夫、全部管理してあげる」
「君が困らないようにしてるだけだよ」
座席、時間割、交友関係、体調管理。
いつの間にか整えられていく環境。
逃げ場のない距離。
番を拒みたいΩと、手放す気のないα。
これは保護か、それとも束縛か。
閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
冤罪で堕とされた最強騎士、狂信的な男たちに包囲される
マンスーン
BL
王国最強の聖騎士団長から一転、冤罪で生存率0%の懲罰部隊へと叩き落とされたレオン。
泥にまみれてもなお気高く、圧倒的な強さを振るう彼に、狂った執着を抱く男たちが集結する。
鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる
結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。
冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。
憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。
誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。
鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。
経理部の美人チーフは、イケメン新人営業に口説かれています――「凛さん、俺だけに甘くないですか?」年下の猛攻にツンデレ先輩が陥落寸前!
中岡 始
BL
社内一の“整いすぎた男”、阿波座凛(あわざりん)は経理部のチーフ。
無表情・無駄のない所作・隙のない資料――
完璧主義で知られる凛に、誰もが一歩距離を置いている。
けれど、新卒営業の谷町光だけは違った。
イケメン・人懐こい・書類はギリギリ不備、でも笑顔は無敵。
毎日のように経費精算の修正を理由に現れる彼は、
凛にだけ距離感がおかしい――そしてやたら甘い。
「また会えて嬉しいです。…書類ミスった甲斐ありました」
戸惑う凛をよそに、光の“攻略”は着実に進行中。
けれど凛は、自分だけに見せる光の視線に、
どこか“計算”を感じ始めていて……?
狙って懐くイケメン新人営業×こじらせツンデレ美人経理チーフ
業務上のやりとりから始まる、じわじわ甘くてときどき切ない“再計算不能”なオフィスラブ!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる