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しあわせのつづき
ごあいさつ
しおりを挟む涼真の家にお邪魔した遥斗は、涼真の両親を前に息を吸う。
「だいじなお話があります」
告げた遥斗は、涼真と手をつないだ。
緊張にふるえる指を、涼真がにぎってくれる。
遥斗は顔をあげる。
ふるえる声を、押しだした。
「僕は、りょーくんが、だいすきです。
一生、一緒にいたい。
正式には伴侶と認められませんが、それでも、伴侶になりたいです」
まっすぐ、告げた。
涼真の夜空の瞳があまくうるんで、遥斗の手をぎゅうぎゅうにぎってくれる。
「……僕も、はるちゃんと、伴侶になりたい」
言ってくれた涼真に、遥斗の目にも涙がにじむ。
目を見開いていた涼真の両親は、手をつなぐ遥斗と涼真に、まぶしそうに目をほそめた。
「……はるくん、りょうくんを、よろしくね」
涙ぐんだ涼真のおかあさんの言葉に、飛びあがる。
「あ、あの、反対しないんですか」
ふつう『こんな男に、大事な息子をやれるか!』『出ていけ!』叫ばれるところじゃないの??
びっくりする遥斗に、顔を見あわせた涼真の両親が微笑んだ。
「りょうくんね、いつもお話するのが苦手なのに、はるくんのことは話してくれるの」
涼真のおかあさんの言葉に、涼真のおとうさんもうなずいた。
「『はるちゃんが、手をつないでくれた』『はるちゃんが笑ってくれた』うれしそうに笑うんだ。幼稚園のころから、ずっと」
やさしいふたりの声が、沁みてゆく。
「最初は、おともだちのすきなんだろうと思ってた」
おとうさんの言葉に、おかあさんもうなずく。
「でもりょうくん、はるくん以外の人の話を、全くしないから」
「バレンタインにあんなにチョコレイトをもらうのに、見向きもしないし」
「はるくんのためだけに、一生懸命チョコレイトをつくるし」
「高校も『はるちゃんと一緒じゃなきゃ行かない』って言うし」
「大学も『はるちゃんと一緒がいい』って言うし」
「『はるちゃんと一生一緒にいるために起業する』って言うし」
ふたりが、目を閉じる。
「恋なんだと思った」
「はじめはね、ちょっとショックだった。……りょうくんの子どもの顔を見たいと思っていたから。可能性もなくなるんだなって」
さみしそうにささやいた涼真のお母さんは、うつむいた。
「最初はね。でも、りょうくんがしあわせになること以上に大切なことなんてないって、気づいたよ」
涼真のお父さんの唇に、ほのかな笑みがのぼる。
「『はるちゃんに、きらわれたから、しんじゃう』って泣いて、ひきこもる涼真を見たら、余計にね」
両親の手が、涼真の頭をやさしくなでた。
「涼真の命が掛かってるなら、応援するしかないでしょう」
振りかえった両親が、笑ってくれる。
「りょうくんを、よろしくね」
「世界一、しあわせにしてあげて」
あふれた涙をぬぐった遥斗は、胸を張る。
「今まで傷つけたぶんまで、りょーくんを、大事に、大事にして、絶対、絶対しあわせにします!」
言い切った。
しあわせになんて、できるかわからないのに。
絶対なんて、もっとわからないのに。
気もちがあふれて、言葉になった。
燃える頬で、遥斗は涼真を抱きしめる。
「僕、りょーくんを、世界一しあわせにできるように、がんばるから。
世界一、りょーくんを、あいしてる。
僕の伴侶になってください」
燃える想いを告げたら、ふうわり、涼真がとろけるように笑ってくれる。
「はい」
耳まで燃えた遥斗を抱きしめて、笑ってくれた。
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