【完結】抱っこからはじまる恋

  *  ゆるゆ

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どうしよう

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 高校生と、つきあうことになりました──!

 だいじょうぶか、俺──!

 犯罪じゃないよな……!?

 ちょっと泣きそう。

 でも泣くほどうれしい。


 どうしよう。

 携帯に『愛希』きみの名が入っていることが、たまらなく、うれしい。

 頬が、熱い。

 頭が、ぽーっとする。


 これじゃ、ほんとに、初恋の小学生じゃないか──!


 思ってから、気づいた。

 今まで、告白されて、流されてつきあう、みたいなことはあったけれど、自分から能動的に告白したことは、なかったことに。


 自分から、誰かをすきになったことなんて、なかった。

 つきあうって、こう、さらさらした水みたいな、流れてく感じ、気があったら寄りそって、あわなくなったら離れて、自由で淡い感じを思いえがいていたのに。


 告白される前から、愛希が気になってた。

 どきどきしてた。

 告白されたら、跳びあがるくらい、うれしかった。


 …………待って、俺、まさか、はつこいなの……!?


 耳まで燃えるのに。


『おはよう、真紀ちゃん!
 愛希だよ。真紀ちゃんの彼氏だよ♡』

 朝から、彼氏がこんなメッセージを送ってくるんだけど──!

 か、かかか可愛すぎてどうしたらいいの──!

 ぎゃ──♡


 なんて返す?

 ──おはよう。愛希の彼氏の真紀だよ♡ ……とか?

 ないないないないないない──!

 はははははずかしすぎて、ほんとに無理ぃい──!


『……朝から、はずかしい』

 送ってしまった……

 え、どうしよう、引かれる?

 つきあいはじめたばっかりだし、もっとやさしく!?


 俺、間違った!?

 あわあわしてたら


『照れ屋さん♡♡♡』

 返ってきた。


 どうしよう。

 彼氏が、大人で、かわいい……!






 今までずっと苦痛で仕方なかった、早起きの満員電車が、至福になった。

 ちっちゃくて、かわいい愛希が、抱きついてきてくれる。

 なんだこの可愛い生き物は──!

 髪はふあふあだし、顎がくすぐったいし、ちっちゃくて、こう、腕のなかにすっぽり!

 ジャストフィット。

 まるで愛希のためにつくられた腕みたい。


「真紀ちゃん、めちゃくちゃいー匂いする……!」

 すんすんされた。
 ちょっと、はずかしい。

「それ、愛希だから」

 ちっちゃくて、ほんのりあまくて、なんか、頭の芯がしびれる香りがする。


 しかし、社会人が満員電車で、高校生をぎゅうぎゅう抱っこするのはよろしくないだろうと自制していたら、凛々しい彼氏に、ぎゅうぎゅう抱っこされてしまった……!

「く、くるしい……!」

 それだけじゃない!

 な、ななななんという手つきを……!

「こ、こら、尻をもむな……!」

 彼氏に襲われてる、俺──!

 きゃ──♡





 会社についたら、すぐ携帯がふるえる。

『今日も真紀ちゃん、さいっこーに、かっこよかった!』


 ……………………。


 どうしよう。

 高校生の彼氏が、かっこよくて、かわいくて、どきどきしすぎて、頭が、ぱーんって……!


『愛希も可愛かった。尻をもむのは止めろ』

 いちおうクギをさしておいた。

 困るから──!





 今まで携帯は持たなくてはならない連絡手段であり、便利な検索道具だっただけなのに。
 ふるえるたびに、愛希がメッセージをくれたのではないかと、鼓動が跳ねる。

 仕事のメールだと、がっかりする。
 バイブも切ってあるときは、愛希から連絡があったんじゃないかと気になって仕方ない。

 ブルル

 胸が、ふるえる。

『お昼ごはん、真紀ちゃん、何食べた?
 俺はね、屋上でお弁当。昨日の夜に作ったんだ。オムライス弁当だよ!』

 ああぁもう!

 彼氏が、かわいい……!


 どうしよう、泣きそうなんだけど!

 立ち食いそばで、泣きそうになる俺に、お店のおじさんが、ティッシュをくれようとしている。やさしい。

 しかし、泣きそうでも、返信は大人な感じで。
 というか、こんなの、はずかしくて言えない。

『へえ、えらいな』

 送ったら、すぐまた胸がふるえた。

『えへへ。真紀ちゃんにも、ご飯つくってあげる!』

 天使か──!

『たのしみ』

『ほ、ほんとに!? うれしい!
 真紀ちゃん、今日のお昼は?』

『出先で立ち食いのたぬき。意外にうまい』

 ティッシュもくれたし。ありがとう。

 うまいそばをすすっていたら、また胸がふるえた。


『真紀ちゃん、真紀ちゃん、彼氏だよ! いろいろするんだよ! どうしよう!
 きゃ──!』

「ぶっフォオオ──!」

 盛大に、そばを噴いた。

 おじさんが、ティッシュを追加でくれた。ありがとう。


『俺を犯罪者にする気か──! 3年我慢しろ──!』

 大人な返信をしておいた。

 断じて! やましいことは想像していない! 大人だから!




 胸が、ふるえる。

『真紀ちゃん、だいすき』


 …………どうしよう。

 きみが、愛をくれるたび



『……俺も。愛希がすき』

 きみに、愛を伝えるたび



 涙が、でるんだ。






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