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息が
しおりを挟む真紀が、唇を開こうとしてくれるのに
「片白くん! 料理あがったよ! 5番!」
「はあい! ごめん、真紀ちゃん。お連れさまも。こちらのお席にどうぞ」
仕事に戻る俺の指が、ふるえた。
「なに、真紀、ほんとに知りあいなの? 高校生と?」
不審そうな声が聞こえる。
『真紀』呼びすてにする声だ。
あまえるように、ながい指が、真紀の腕にからむ。
真紀との仲を、見せつけるように。
ぎしぎし、音をたてるようにひび割れてゆく胸に
にじんでしまいそうな涙に
『……まきちゃん……』見あげたい瞳は、呼び戻される。
「片白くん!」
「今、行きます!」
……知りあいなのか問われた真紀は、なんて返したのだろう。
『ただの知りあい』?
『親戚の子』?
『満員電車で、真紀をよだれまみれにした高校生』?
聞こえなかった。
「もしかして1番さん、片白くんの親戚のお兄さん?」
「かっこいーね!」
「モデルさんみたいな人が身内だなんて、すごい!」
アルバイトの皆が、きゃわきゃわしてる。
『愛希と真紀は、親戚にしか見えない』
『恋人には、絶対に、見えない』
突きつけられるようで、俺の心はどんどん沈んだ。
かっこいー大人の真紀ちゃんには、きれいな大人が似あう気がして。
高校生で、15歳で、未成年で、子どもな自分は、ちっともふさわしくない気がして。
テーブルに置かれたランプのやわらかなオレンジの光に照らされるふたりが、とても仲良さそうで、距離が近くて、親密な……恋人同士に見えて。
「もしかして、つきあってるのかな?」
「あんなに、かっこいー二人だと、目の保養だよね!」
楽しそうな歓声に、沈んだ心が、えぐれてく。
『真紀ちゃんが、だいすき』
それだけじゃ、だめな気がして。
立派なステータスや、かっこいい見た目や、財力や、社会人としての地位、真紀の恋人になるために、ふさわしいすべてが、自分には何にもなくて。
懸命に伸ばした手が、真紀に届かないまま、真っ暗な冬の海の底に沈んでゆくようで
「……っ」
息が、できない。
「片白くん、具合わるいの?」
「だいじょうぶ!?」
「うわ、体調よくないのに急かしちゃったな、ごめん! もうあがるか?」
心配してくれる皆に申しわけなくなるけれど、指のふるえが止まらなくて、冷や汗まで出てきちゃったので、ありがたく俺は帰らせてもらうことにした。
……これ以上、うるわしい人と親密な真紀ちゃんを、見ていられない。
「すみません、お先に失礼します」
逃げるように店を後にする。
にぎやかな夜の街のざわめきを避けるように早足で歩こうとしたら、声が降る。
「愛希? どした、バイト終わり?」
繁華街に買い物に来ていたのだろう、幼なじみの友樹が手をあげた。
────────────────
ずっと読んでくださって、ほんとうにありがとうございます!
お書きするのをつい忘れてしまうのですが(笑)愛希ちゃんと真紀ちゃんの動画がちょこちょこあがっています!
インスタ @siro0088 絵もあがります
YouTube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます
インスタは丸い抱っこのところから、YouTubeは再生リストからいっぺんにご覧になれるので、もしよかったら!
お話は今ちょこっと不穏ですが、だいじょうぶです!(笑)
つぎは真紀ちゃんですー!
どきどき、はらはらもいっしょに楽しんでくださったら、とてもうれしいです。
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