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どちらが
しおりを挟む……真紀ちゃんが、大人の男の人と、仲よさそうにしてる……
友達じゃないかとか、同僚じゃないかと思えないほど、親密そうだった。
──浮気……?
………………どちら、が…………?
真紀が、満員電車で告白してきた高校生を、ちょっとからかうつもりだったら……?
社会人で、大人で、誰もが振り返るくらい、かっこいい真紀が、初対面の高校生を相手にするはずなんてない。
ほんとうは真紀は、この人とずっとつきあっていて──俺は……遊ばれた……? いや、からかわれただけなんじゃ……
いかずちのように落ちた思考に、首を振る。
満員電車で寝ちゃった俺を、抱っこしてくれた、あなたを
俺と、手をつないでくれた、あなたを
俺を、抱きしめてくれた、あなたを
俺に、はじめての、ちゅうをくれた、あなたを
──信じてる、のに。
「……愛希……?
バイト?
聞いてないんだけど」
凛々しい真紀の眉が、ちょっぴり、おこだ。
『隣の人は、誰……?』
聞きたい気もちを、のみこむ。
「……内緒にしておいて、かっこよく、おごってあげて、びっくりさせたかった」
答えたら、切れ長の真紀の瞳が、まるくなる。
ふうわり真紀の唇がほころぶのを邪魔するみたいに声をかけたのは、モデルのように長い手足で、やわらかに波打つ亜麻色の髪で、真紀にしなだれかかる男だった。
「真紀、知りあいなの? 親戚の子ども?」
やわらかな低い声が、これほど耳障りに聞こえるなんて、知らなかった。
まるで見せつけるみたいに、俺の目の前で、真紀にあまえるように擦り寄る細い身体に、まるで見くだされるみたいに送られる流し目に、やすりを掛けられたみたいに、心がきしむ。
「……っ」
なにか、言おうと思った。
『俺は、真紀ちゃんの彼氏です!』
『真紀ちゃんの恋人なんだから!』
『ちゅうだって、してくれた』
『すきって、言ってくれた──!』
唇を突いてあふれようとした言の葉が、苦く舌を刺して消えてゆく。
……迷惑かもしれない。
もしこの人が同僚だったら?
会社で、噂されたら?
『東城、彼氏がいるんだって』
『しかも高校生』
『やばくない?』
言われてしまったら?
何にもしていない、いや、ちゅうはしたけど……!
清らかな、おつきあいなのに、抱っこと、ちゅうしかしていないのに、真紀ちゃんが、いけないことをしている人みたいに言われてしまったら──?
絶対、言えない……!
にぎりしめた拳が、ふるえる。
その手を、やさしくつつんでくれたのは、真紀だった。
見あげたら、いつも鋭い切れ長の瞳をやわらかに細めてくれる。
真紀のぬくもりが、しみてくる。
とろけそうな香りがする。
はじめて逢ったときから
はじめて抱っこしてくれたときから
だいすきな
だいすきな
真紀の香りだ。
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