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あるばいと!
しおりを挟むは、はははははじめての、ちゅう……!
ふ、ふわふわだった……!
ちゅって……!
かわいー音がして、真紀ちゃんの、かっこよすぎる顔が至近距離で──!
あったかい吐息がふれて……
きゃ──♡
燃える頬で、もだえました。
ほんのり紅い頬で、真紀ちゃんが抱っこしてくれました。
真っ暗な夜を、電車が走る。
帰り道で、つないだ指は、ほどけない。
見あげる真紀が、世界でいちばん、きらきらしてる。
瞳がうるんで。
どきどきして。
……もういっかい、ちゅうして。
思ってしまう頬が、熱い。
つながる手を
ぎゅ
にぎったら
ぎゅう
にぎり返してくれる。
ふうわり、真紀が、ほんのり紅い耳で、笑ってくれる。
至福……!
あぁ、彼氏が、かっこい──!
だいすきすぎる……!
もだもだした俺は、びっくりする。
彼氏ができたら、至上のしあわせだと思ってた。
だいすきな人ができて、その人が想いを返してくれたら、それ以上のしあわせなんて、なんにもないと。
なのに、真紀ちゃんと彼氏になれて、あこがれの、はじめてのちゅうまで……!
きゃー♡
してしまったら、もっと、欲張りになってしまう。
もっと、あなたの傍に、いきたくて
もっと、あなたを、抱きしめたくて
もっと、もっと、あなたに、俺を、すきになってほしくて
もっと、もっとが、止まらない。
もっと真紀ちゃんとデートしたい!
かっこよく
『ここは俺が出すから』
言ってみたい!
きゃ──♡
というわけで、アルバイトをはじめることにしました!
会社帰りとかに逢えたらいいなあという下心で、真紀ちゃんの会社の近くの、お洒落だけれど気軽なトラットリア、イタリア料理の大衆食堂みたいなお店に応募してみたよ。
すんごい人手不足みたいで、未経験なのに、高校生は大歓迎されちゃった!
なんか、若いとおぼえるのが早いらしい。動きが、すばやいらしい。体力あるって。……そ、そうかな……??
初仕事だよ。ちょっと心配……!
アルバイトにイタリア料理のお店を選んだのには『真紀ちゃんに逢えるかも!』という下心といっしょに、もうひとつ理由がある。
だいすきだけど、イタリア料理の本格的な作り方とか、どんな料理があるのかとか、今ひとつ知らない。作れるのがパスタくらいだよ。
真紀ちゃんが俺の料理を褒めてくれたので、バイトで学んだ知識を参考にして料理の腕があがったら、真紀ちゃんが、もっと俺に、めろめろになってくれるかもという下心もあるのです……!
そう、純粋な下心しかない!
「いやあ、たすかるよ! がんばってね!」
店長に、にこにこされて、土日のランチタイム11時から15時がメインで、ときどき平日の夜にも入ることになりました。
最初はテーブルの番号を覚えられなかったし、料理もお客さんのほうが詳しいし、グラスを洗おうとしたら割っちゃうし
「あぁああ! ごめんなさい!」
ばかりだったけれど、皆やさしくしてくれた。いや、舌打ちする人いるけど
「顔がかわいーのは得だよなあ」
ねちねち言う人いるけど
「え、かわいいって思ってくれるんですか! ありがとうございます!」
返したら、ドン引いてたけど!
でも、おおむねやさしい。ありがとう!
感謝しながら働いた。
真紀ちゃんには、あるばいとのことは、秘密にしている。
だって、とつぜん『ここは俺が出すから!』しゃっとスマートフォンをかざすほうが、かっこいいよね!?
そう、だから、秘密なのです。
デートはいつも日曜だから、だいじょうぶなんだよ。
真紀ちゃんのためなら、俺、意外に苦手だった接客も、がんばるよ!
そう、真紀ちゃんを想うと、いつだって、心は、ぽかぽかする。
頬が熱くなって、仕事で失敗したり、学校でしょんぼりすることがあったことも、遠くなる。
秋が、深まる。
ほんの1週間、日付が進むだけで、朝と夜が冷たく、深くなってゆく。
テーブルの番号をおぼえ、仕事の流れをおぼえ、グラスを割らないように気をつけるようになり
「いらっしゃいませ、こんばんは! 2名様ですか?」
なめらかに声が出て、笑顔になれるようになった頃だった。
濃く冷たくなった秋の平日の夜に、お店に来てくれたのは
「……愛希……?」
さらさらの長めの髪が切れ長の瞳を彩る、香りたつように華やかな大人の男性と親密そうに寄り添った、真紀だった。
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