【完結】抱っこからはじまる恋

  *  ゆるゆ

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あるばいと!

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 は、はははははじめての、ちゅう……!

 ふ、ふわふわだった……!

 ちゅって……!

 かわいー音がして、真紀ちゃんの、かっこよすぎる顔が至近距離で──!

 あったかい吐息がふれて……


 きゃ──♡


 燃える頬で、もだえました。

 ほんのり紅い頬で、真紀ちゃんが抱っこしてくれました。


 真っ暗な夜を、電車が走る。
 帰り道で、つないだ指は、ほどけない。


 見あげる真紀が、世界でいちばん、きらきらしてる。

 瞳がうるんで。

 どきどきして。


 ……もういっかい、ちゅうして。


 思ってしまう頬が、熱い。



 つながる手を

 ぎゅ

 にぎったら


 ぎゅう


 にぎり返してくれる。


 ふうわり、真紀が、ほんのり紅い耳で、笑ってくれる。




 至福……!

 あぁ、彼氏が、かっこい──!

 だいすきすぎる……!



 もだもだした俺は、びっくりする。

 彼氏ができたら、至上のしあわせだと思ってた。

 だいすきな人ができて、その人が想いを返してくれたら、それ以上のしあわせなんて、なんにもないと。


 なのに、真紀ちゃんと彼氏になれて、あこがれの、はじめてのちゅうまで……!

 きゃー♡

 してしまったら、もっと、欲張りになってしまう。



 もっと、あなたの傍に、いきたくて

 もっと、あなたを、抱きしめたくて


 もっと、もっと、あなたに、俺を、すきになってほしくて


 もっと、もっとが、止まらない。




 もっと真紀ちゃんとデートしたい!

 かっこよく

『ここは俺が出すから』

 言ってみたい!


 きゃ──♡

 というわけで、アルバイトをはじめることにしました!




 会社帰りとかに逢えたらいいなあという下心で、真紀ちゃんの会社の近くの、お洒落だけれど気軽なトラットリア、イタリア料理の大衆食堂みたいなお店に応募してみたよ。

 すんごい人手不足みたいで、未経験なのに、高校生は大歓迎されちゃった!
 なんか、若いとおぼえるのが早いらしい。動きが、すばやいらしい。体力あるって。……そ、そうかな……??
 初仕事だよ。ちょっと心配……!

 アルバイトにイタリア料理のお店を選んだのには『真紀ちゃんに逢えるかも!』という下心といっしょに、もうひとつ理由がある。

 だいすきだけど、イタリア料理の本格的な作り方とか、どんな料理があるのかとか、今ひとつ知らない。作れるのがパスタくらいだよ。

 真紀ちゃんが俺の料理を褒めてくれたので、バイトで学んだ知識を参考にして料理の腕があがったら、真紀ちゃんが、もっと俺に、めろめろになってくれるかもという下心もあるのです……!


 そう、純粋な下心しかない!


「いやあ、たすかるよ! がんばってね!」

 店長に、にこにこされて、土日のランチタイム11時から15時がメインで、ときどき平日の夜にも入ることになりました。

 最初はテーブルの番号を覚えられなかったし、料理もお客さんのほうが詳しいし、グラスを洗おうとしたら割っちゃうし

「あぁああ! ごめんなさい!」

 ばかりだったけれど、皆やさしくしてくれた。いや、舌打ちする人いるけど

「顔がかわいーのは得だよなあ」
 ねちねち言う人いるけど

「え、かわいいって思ってくれるんですか! ありがとうございます!」
 返したら、ドン引いてたけど!

 でも、おおむねやさしい。ありがとう!
 感謝しながら働いた。


 真紀ちゃんには、あるばいとのことは、秘密にしている。

 だって、とつぜん『ここは俺が出すから!』しゃっとスマートフォンをかざすほうが、かっこいいよね!?

 そう、だから、秘密なのです。
 デートはいつも日曜だから、だいじょうぶなんだよ。


 真紀ちゃんのためなら、俺、意外に苦手だった接客も、がんばるよ!

 そう、真紀ちゃんを想うと、いつだって、心は、ぽかぽかする。

 頬が熱くなって、仕事で失敗したり、学校でしょんぼりすることがあったことも、遠くなる。



 秋が、深まる。

 ほんの1週間、日付が進むだけで、朝と夜が冷たく、深くなってゆく。


 テーブルの番号をおぼえ、仕事の流れをおぼえ、グラスを割らないように気をつけるようになり

「いらっしゃいませ、こんばんは! 2名様ですか?」

 なめらかに声が出て、笑顔になれるようになった頃だった。


 濃く冷たくなった秋の平日の夜に、お店に来てくれたのは


「……愛希……?」

 さらさらの長めの髪が切れ長の瞳を彩る、香りたつように華やかな大人の男性と親密そうに寄り添った、真紀だった。







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