【完結】悪役令息の伴侶(予定)に転生しました

  *  ゆるゆ

文字の大きさ
97 / 209

なかよしの

しおりを挟む



 あわあわするキーアをよそに、キーアの影に隠れたままの闇さまの頬が、ふわふわ赤くなる。

『き、きらいじゃない、の、うれしぃ』

「ぎゃ──! 闇さまが、かわいー!」

 もだもだして、ぎゅむぎゅむ抱っこしちゃうよ!

『えへへ。きーの抱っこ、すき』

 きゅう

 抱きついてくる闇さまが、天使です。

『闇ばかり、ずるいぞ!』

 ぎゅむ

 抱きついてくる光さまも、天使です。

 右手に闇さま、左手に光さま、両手に精霊さまとか、至福!

 顔がとろけたキーアは、手を前に持ってきた。

 光さまと、闇さまの、ご対面です!


「闇さま、光さまですよ」

『きゃー!』

 あわててキーアの後ろに隠れようとする闇さまを、親指でちょこっと支える。

「だいじょぶです。光さま、おやさしいです」

 光の瞳が、瞬いた。

『……そ、そんなこと、初めて言われたぞ? いつも、厳しいとか……えらそう、とか……』

 うつむく光さまに、首をかしげる。

「そうなんですか? ルゥイとお逢いになっていたときに無断でお邪魔した俺のこと、ゆるしてくださって、ちゃんと帰してくださいましたよ」

『あ、当たり前だろう』

「当然だって思ってくださるところが、とってもおやさしいですよ!」

 笑うキーアに、真っ赤になった光さまが、ちいさく笑う。

『……そ、そうか』

「ね、闇さま、光さまは、おやさしいでしょう?」

 キーアの指のかげから、ちょこんと光さまをのぞいた闇さまが、こくんとうなずいた。

『……やさしー』

 びくんとふるえた光さまが、闇さまをおそるおそる見つめる。

『……その、闇は、俺が、きらい、ではないのか』

 ちいさな声だった。

『…………こわかった、の。……光ちゃん、僕のこと、きらぃ、かな、て。……でも、きーが、光ちゃん、やさしいから、お話、してみようって言って、くれて……』

『そ、そうか』

 もじもじした闇さまが、おっきな闇の瞳で、光の瞳を見あげる。


『あ、あの、あの……僕と、なかよく、して、ほしぃ、の……』

 真っ赤なほっぺで見あげられた光さまも、真っ赤になった。


『う、うむ! や、やぶさかではない!』

『ほ、ほんと!?』

 キーアの手のうえで飛びあがる闇さまが、かわいーです!


「なかよしの抱っこしましょう!」

『だ、抱っこ! きゃー!』

 闇さまが、もだもだしてる。


『だ、抱っこ……!』

 光さまも、ぷるぷるしてる。


 ちょっとハードルが高かったかな?

 心配になったキーアの後ろから、飛んできた風さまが闇さまに抱きついた。


『えい! なかよしの抱っこなのだ!』

『わ、わあ! ふふ、風ちゃん、ありが、とぅ』

 とろけて笑った闇さまの闇の瞳が、うるうるしてる。


『……なかよしの、だっこ』

 きゅ

 光さまのちっちゃな腕が、闇さまを抱っこして

『光ちゃん……! あ、ありがとぅ……!』

 闇さまのちっちゃな腕が、光さまを抱っこした。


 よかった!

 なかよし作戦、大成功です!



「キーアおぼっちゃま、精霊さま、どーなつ揚げますよー!」

 トマの声に、精霊さまたちと一緒に、とびあがる。


 そうでした!

 炎さまと水さまと地さまが、どーなつの種を作ってくれて、真っ白になってる!



 あわあわ駆け寄ったキーアが、精霊さまたちをぽふぽふする。
 白い麦の粉が、ぽわぽわしてる。

『任務を、やり遂げたのだ!』

 地さまが、誇らしそうだよ。

『ふふん、僕のお水は、おいしーよ』

 水さまが、えへんと胸を反らしてる。

『やってやった!』

 炎さまが、ぴょこぴょこしてる。


 ぎゃー! かわい──!

 もだもだしたキーアは、笑う。


「大変よくがんばりました!」

 3精霊さまが、顔を見あわせる。
 ふわふわ赤くなって、うれしそうに笑ってくれる。

『が、がんばったの!』

『だっこするがよい!』

『だっこ!』

 水さまが、地さまが、炎さまが抱きついてきてくれたので、ぎゅむぎゅむ抱っこしました!

 ひー! かわい──!





『じゅ、じゅわじゅわしてる……!』

『おぉお!』

『あ、あちあち!』

 トマ監督のもと、精霊さまたちと、どーなつを揚げました!

「危ないですからね、ちゃんと離れていてくださいね。
 時々跳ねた油が飛んでくるので、防御魔法を展開しておいてくださいね!」

 キーアの言葉に、ぴょこんと跳びあがった精霊さまたちの、ちっちゃな身体を守るように、光の玉が現れる。

『わ、わかった!』

 ほんとにね、前世で防御魔法が展開できなかったのを、とっても残念に思うよ。
 揚げ物、凶器だよね、こわい──!
 いや、ふつうにフライパンで炒めてるだけでも、なんか飛んでくるけど!

 まぶたに飛ぶとか、ぎゃ──! だよね!
 目を守ってくれるまぶたが、優秀すぎる。

 そんな過酷な揚げ物に、果敢に立ち向かうトマが、勇者だ!

「きつね色になったら、ひっくりかえすんですよー。やってみましょうかー」

 にこにこして、虚空に向かって菜箸を差しだしてくれるトマが、やさしい!

『きつねいろ?』

『しろい?』

「師匠のトゥヤが、きつね色は茶色いって言うんです。こんがりした目安なんですって。
 今です、精霊さま!」

『おぉお!』

「そーっとですよ。おはしで、くるん!」

『くるん!』

『きゃ──!』

『きつね色!』

 きゃわきゃわしてる精霊さんたちが、かわい──! です!


「粉砂糖をまぶしたらー、完成です!」

『おぉおおお!』

「揚げたては熱いですからね、気をつけて召しあがってくださいね」

『おぉおおおお!』

 そーっと、そーっと、ふーふーしながら食べた精霊さんたちが、弾けるように輝いた。

『あちあち!』

『じゅわじゅわ!』

『あまあま!』

『さくふあ!』

『きゃ────!』

 きらきらしながら、跳びあがって喜んでくれました。

 やた!









────────────────

 ずっと読んでくださって、ありがとうございます!

 書きませんと言ったのですが(笑)登場人物ご紹介に、クノワを忘れていました……!(笑)

 そして、どなたにも、突っこまれませんでした──!(笑)

 かわいそうなクノワを絵も一緒に追加しておきました……(笑)いちおう攻略対象なのに(笑)ネィトと一緒の、人気ない仲間です(笑)

 あと、今の表紙はトマで、トマの絵も追加しています! 更新に間に合わなかったので、夜中に表紙が変わりました……(笑)おまけに、せっかくあるのでトゥヤの絵もつけました(笑)あんまり人気のなかった(笑)残念な光さまの絵もついてます!(笑)

 精霊さんたちが可愛くて(笑)どーなつ長くなっちゃったのですが、いいねをたくさん、エールも、ほんとうにありがとうございます!

 こうしてがしゃがしゃ書くの、うっとうしいかなと思っていたのですが、登場人物ご紹介を書いた後に、どんどん減っていたいいねを(笑)たくさんいただけるようになって、あまり人気のない(笑)ネィトへの応援も、ご感想も、めちゃくちゃうれしいです。ありがとうございます!

 面白くないかなーとか、心配しながら上げたりするので(笑)とても勇気づけられます。
 更新したら早速読んでくださって、いいねしてくださる方も、ありがとうございます!
 楽しみにしてくださっているのかなと、とてもとてもうれしいです。

 読んでくださる方がいらっしゃるみたいなので、せっかくなので『悪役令息の従者に転職しました』の昨日の夜にあげた舞踏会編の最新話の『ひっこぬきたて』(笑)にトマをちょこっと出しました!

 登場人物の名前とかお話の流れとか全スルーで(笑)トマのところだけお読みになっても、だいじょぶかもしれません(笑)もしよかったら、2年前くらいのトマです!


 ずっと読んでくださることが、どれだけ希少で、ありがたいことなのか、連載していると身に沁みて実感するのです。最初面白いと思ったけど、なんか違うくなったって、よくありますよね!(笑)

 それでも、ずっと読んでくださる あなた様に、ほんとうに心から、ありがとうございます!

 




しおりを挟む
感想 201

あなたにおすすめの小説

妹を救うためにヒロインを口説いたら、王子に求愛されました。

藤原遊
BL
乙女ゲームの悪役令息に転生したアラン。 妹リリィが「悪役令嬢として断罪される」未来を変えるため、 彼は決意する――ヒロインを先に口説けば、妹は破滅しない、と。 だがその“奇行”を見ていた王太子シリウスが、 なぜかアラン本人に興味を持ち始める。 「君は、なぜそこまで必死なんだ?」 「妹のためです!」 ……噛み合わないはずの会話が、少しずつ心を動かしていく。 妹は完璧令嬢、でも内心は隠れ腐女子。 ヒロインは巻き込まれて腐女子覚醒。 そして王子と悪役令息は、誰も知らない“仮面の恋”へ――。 断罪回避から始まる勘違い転生BL×宮廷ラブストーリー。 誰も不幸にならない、偽りと真実のハッピーエンド。

【完結】悪役に転生したので、皇太子を推して生き延びる

ざっしゅ
BL
気づけば、男の婚約者がいる悪役として転生してしまったソウタ。 この小説は、主人公である皇太子ルースが、悪役たちの陰謀によって記憶を失い、最終的に復讐を遂げるという残酷な物語だった。ソウタは、自分の命を守るため、原作の悪役としての行動を改め、記憶を失ったルースを友人として大切にする。 ソウタの献身的な行動は周囲に「ルースへの深い愛」だと噂され、ルース自身もその噂に満更でもない様子を見せ始める。

【完結】悪役令息の従者に転職しました

  *  ゆるゆ
BL
暗殺者なのに無様な失敗で死にそうになった俺をたすけてくれたのは、BLゲームで、どのルートでも殺されて悲惨な最期を迎える悪役令息でした。 依頼人には死んだことにして、悪役令息の従者に転職しました。 皆でしあわせになるために、あるじと一緒にがんばるよ! 透夜×ロロァのお話です。 本編完結、『もふもふ獣人転生』に遊びにゆく舞踏会編、完結しました! 時々おまけを更新するかもです。 『悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?』のカイの師匠も 『悪役令息の伴侶(予定)に転生しました』のトマの師匠も、このお話の主人公、透夜です!(笑) 大陸中に、かっこいー激つよ従僕たちを輸出して、悪役令息たちをたすける透夜(笑) 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!

悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?

  *  ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。 悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう! せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー? ユィリと皆の動画をつくりました! インスタ @yuruyu0 絵も皆の小話もあがります。 Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新! プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら! 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー! ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!

魔界最強に転生した社畜は、イケメン王子に奪い合われることになりました

タタミ
BL
ブラック企業に務める社畜・佐藤流嘉。 クリスマスも残業確定の非リア人生は、トラックの激突により突然終了する。 死後目覚めると、目の前で見目麗しい天使が微笑んでいた。 「ここは天国ではなく魔界です」 天使に会えたと喜んだのもつかの間、そこは天国などではなく魔法が当たり前にある世界・魔界だと知らされる。そして流嘉は、魔界に君臨する最強の支配者『至上様』に転生していたのだった。 「至上様、私に接吻を」 「あっ。ああ、接吻か……って、接吻!?なんだそれ、まさかキスですか!?」 何が起こっているのかわからないうちに、流嘉の前に現れたのは美しい4人の王子。この4王子にキスをして、結婚相手を選ばなければならないと言われて──!?

【新版】転生悪役モブは溺愛されんでいいので死にたくない!

煮卵
BL
ゲーム会社に勤めていた俺はゲームの世界の『婚約破棄』イベントの混乱で殺されてしまうモブに転生した。 処刑の原因となる婚約破棄を避けるべく王子に友人として接近。 なんか数ヶ月おきに繰り返される「恋人や出会いのためのお祭り」をできる限り第二皇子と過ごし、 婚約破棄の原因となる主人公と出会うきっかけを徹底的に排除する。 最近では監視をつけるまでもなくいつも一緒にいたいと言い出すようになった・・・ やんごとなき血筋のハンサムな王子様を淑女たちから遠ざけ男の俺とばかり過ごすように 仕向けるのはちょっと申し訳ない気もしたが、俺の運命のためだ。仕方あるまい。 クレバーな立ち振る舞いにより、俺の死亡フラグは完全に回避された・・・ と思ったら、婚約の儀の当日、「私には思い人がいるのです」 と言いやがる!一体誰だ!? その日の夜、俺はゲームの告白イベントがある薔薇園に呼び出されて・・・ ーーーーーーーー この作品は以前投稿した「転生悪役モブは溺愛されんで良いので死にたくない!」に 加筆修正を加えたものです。 リュシアンの転生前の設定や主人公二人の出会いのシーンを追加し、 あまり描けていなかったキャラクターのシーンを追加しています。 展開が少し変わっていますので新しい小説として投稿しています。 続編出ました 転生悪役令嬢は溺愛されんでいいので推しカプを見守りたい! https://www.alphapolis.co.jp/novel/687110240/826989668 ーーーー 校正・文体の調整に生成AIを利用しています。

【完結】悪役令嬢モノのバカ王子に転生してしまったんだが、なぜかヒーローがイチャラブを求めてくる

路地裏乃猫
BL
ひょんなことから悪役令嬢モノと思しき異世界に転生した〝俺〟。それも、よりにもよって破滅が確定した〝バカ王子〟にだと?説明しよう。ここで言うバカ王子とは、いわゆる悪役令嬢モノで冒頭から理不尽な婚約破棄を主人公に告げ、最後はざまぁ要素によって何やかんやと破滅させられる例のアンポンタンのことであり――とにかく、俺はこの異世界でそのバカ王子として生き延びにゃならんのだ。つーわけで、脱☆バカ王子!を目指し、真っ当な王子としての道を歩き始めた俺だが、そんな俺になぜか、この世界ではヒロインとイチャコラをキメるはずのヒーローがぐいぐい迫ってくる!一方、俺の命を狙う謎の暗殺集団!果たして俺は、この破滅ルート満載の世界で生き延びることができるのか? いや、その前に……何だって悪役令嬢モノの世界でバカ王子の俺がヒーローに惚れられてんだ? 2025年10月に全面改稿を行ないました。 2025年10月28日・BLランキング35位ありがとうございます。 2025年10月29日・BLランキング27位ありがとうございます。 2025年10月30日・BLランキング15位ありがとうございます。 2025年11月1日 ・BLランキング13位ありがとうございます。

【完結】お義父さんが、だいすきです

  *  ゆるゆ
BL
闇の髪に闇の瞳で、悪魔の子と生まれてすぐ捨てられた僕を拾ってくれたのは、月の精霊でした。 種族が違っても、僕は、おとうさんが、だいすきです。 ぜったいハッピーエンド保証な本編、おまけのお話、完結しました! おまけのお話を時々更新しています。 ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください! トェルとリィフェルの動画つくりました!  インスタ @yuruyu0 絵もあがります Youtube @BL小説動画 プロフのWebサイトから、どちらにも飛べるので、もしよかったら! 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!

処理中です...