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なかよしの
しおりを挟むあわあわするキーアをよそに、キーアの影に隠れたままの闇さまの頬が、ふわふわ赤くなる。
『き、きらいじゃない、の、うれしぃ』
「ぎゃ──! 闇さまが、かわいー!」
もだもだして、ぎゅむぎゅむ抱っこしちゃうよ!
『えへへ。きーの抱っこ、すき』
きゅう
抱きついてくる闇さまが、天使です。
『闇ばかり、ずるいぞ!』
ぎゅむ
抱きついてくる光さまも、天使です。
右手に闇さま、左手に光さま、両手に精霊さまとか、至福!
顔がとろけたキーアは、手を前に持ってきた。
光さまと、闇さまの、ご対面です!
「闇さま、光さまですよ」
『きゃー!』
あわててキーアの後ろに隠れようとする闇さまを、親指でちょこっと支える。
「だいじょぶです。光さま、おやさしいです」
光の瞳が、瞬いた。
『……そ、そんなこと、初めて言われたぞ? いつも、厳しいとか……えらそう、とか……』
うつむく光さまに、首をかしげる。
「そうなんですか? ルゥイとお逢いになっていたときに無断でお邪魔した俺のこと、ゆるしてくださって、ちゃんと帰してくださいましたよ」
『あ、当たり前だろう』
「当然だって思ってくださるところが、とってもおやさしいですよ!」
笑うキーアに、真っ赤になった光さまが、ちいさく笑う。
『……そ、そうか』
「ね、闇さま、光さまは、おやさしいでしょう?」
キーアの指のかげから、ちょこんと光さまをのぞいた闇さまが、こくんとうなずいた。
『……やさしー』
びくんとふるえた光さまが、闇さまをおそるおそる見つめる。
『……その、闇は、俺が、きらい、ではないのか』
ちいさな声だった。
『…………こわかった、の。……光ちゃん、僕のこと、きらぃ、かな、て。……でも、きーが、光ちゃん、やさしいから、お話、してみようって言って、くれて……』
『そ、そうか』
もじもじした闇さまが、おっきな闇の瞳で、光の瞳を見あげる。
『あ、あの、あの……僕と、なかよく、して、ほしぃ、の……』
真っ赤なほっぺで見あげられた光さまも、真っ赤になった。
『う、うむ! や、やぶさかではない!』
『ほ、ほんと!?』
キーアの手のうえで飛びあがる闇さまが、かわいーです!
「なかよしの抱っこしましょう!」
『だ、抱っこ! きゃー!』
闇さまが、もだもだしてる。
『だ、抱っこ……!』
光さまも、ぷるぷるしてる。
ちょっとハードルが高かったかな?
心配になったキーアの後ろから、飛んできた風さまが闇さまに抱きついた。
『えい! なかよしの抱っこなのだ!』
『わ、わあ! ふふ、風ちゃん、ありが、とぅ』
とろけて笑った闇さまの闇の瞳が、うるうるしてる。
『……なかよしの、だっこ』
きゅ
光さまのちっちゃな腕が、闇さまを抱っこして
『光ちゃん……! あ、ありがとぅ……!』
闇さまのちっちゃな腕が、光さまを抱っこした。
よかった!
なかよし作戦、大成功です!
「キーアおぼっちゃま、精霊さま、どーなつ揚げますよー!」
トマの声に、精霊さまたちと一緒に、とびあがる。
そうでした!
炎さまと水さまと地さまが、どーなつの種を作ってくれて、真っ白になってる!
あわあわ駆け寄ったキーアが、精霊さまたちをぽふぽふする。
白い麦の粉が、ぽわぽわしてる。
『任務を、やり遂げたのだ!』
地さまが、誇らしそうだよ。
『ふふん、僕のお水は、おいしーよ』
水さまが、えへんと胸を反らしてる。
『やってやった!』
炎さまが、ぴょこぴょこしてる。
ぎゃー! かわい──!
もだもだしたキーアは、笑う。
「大変よくがんばりました!」
3精霊さまが、顔を見あわせる。
ふわふわ赤くなって、うれしそうに笑ってくれる。
『が、がんばったの!』
『だっこするがよい!』
『だっこ!』
水さまが、地さまが、炎さまが抱きついてきてくれたので、ぎゅむぎゅむ抱っこしました!
ひー! かわい──!
『じゅ、じゅわじゅわしてる……!』
『おぉお!』
『あ、あちあち!』
トマ監督のもと、精霊さまたちと、どーなつを揚げました!
「危ないですからね、ちゃんと離れていてくださいね。
時々跳ねた油が飛んでくるので、防御魔法を展開しておいてくださいね!」
キーアの言葉に、ぴょこんと跳びあがった精霊さまたちの、ちっちゃな身体を守るように、光の玉が現れる。
『わ、わかった!』
ほんとにね、前世で防御魔法が展開できなかったのを、とっても残念に思うよ。
揚げ物、凶器だよね、こわい──!
いや、ふつうにフライパンで炒めてるだけでも、なんか飛んでくるけど!
まぶたに飛ぶとか、ぎゃ──! だよね!
目を守ってくれるまぶたが、優秀すぎる。
そんな過酷な揚げ物に、果敢に立ち向かうトマが、勇者だ!
「きつね色になったら、ひっくりかえすんですよー。やってみましょうかー」
にこにこして、虚空に向かって菜箸を差しだしてくれるトマが、やさしい!
『きつねいろ?』
『しろい?』
「師匠のトゥヤが、きつね色は茶色いって言うんです。こんがりした目安なんですって。
今です、精霊さま!」
『おぉお!』
「そーっとですよ。おはしで、くるん!」
『くるん!』
『きゃ──!』
『きつね色!』
きゃわきゃわしてる精霊さんたちが、かわい──! です!
「粉砂糖をまぶしたらー、完成です!」
『おぉおおお!』
「揚げたては熱いですからね、気をつけて召しあがってくださいね」
『おぉおおおお!』
そーっと、そーっと、ふーふーしながら食べた精霊さんたちが、弾けるように輝いた。
『あちあち!』
『じゅわじゅわ!』
『あまあま!』
『さくふあ!』
『きゃ────!』
きらきらしながら、跳びあがって喜んでくれました。
やた!
────────────────
ずっと読んでくださって、ありがとうございます!
書きませんと言ったのですが(笑)登場人物ご紹介に、クノワを忘れていました……!(笑)
そして、どなたにも、突っこまれませんでした──!(笑)
かわいそうなクノワを絵も一緒に追加しておきました……(笑)いちおう攻略対象なのに(笑)ネィトと一緒の、人気ない仲間です(笑)
あと、今の表紙はトマで、トマの絵も追加しています! 更新に間に合わなかったので、夜中に表紙が変わりました……(笑)おまけに、せっかくあるのでトゥヤの絵もつけました(笑)あんまり人気のなかった(笑)残念な光さまの絵もついてます!(笑)
精霊さんたちが可愛くて(笑)どーなつ長くなっちゃったのですが、いいねをたくさん、エールも、ほんとうにありがとうございます!
こうしてがしゃがしゃ書くの、うっとうしいかなと思っていたのですが、登場人物ご紹介を書いた後に、どんどん減っていたいいねを(笑)たくさんいただけるようになって、あまり人気のない(笑)ネィトへの応援も、ご感想も、めちゃくちゃうれしいです。ありがとうございます!
面白くないかなーとか、心配しながら上げたりするので(笑)とても勇気づけられます。
更新したら早速読んでくださって、いいねしてくださる方も、ありがとうございます!
楽しみにしてくださっているのかなと、とてもとてもうれしいです。
読んでくださる方がいらっしゃるみたいなので、せっかくなので『悪役令息の従者に転職しました』の昨日の夜にあげた舞踏会編の最新話の『ひっこぬきたて』(笑)にトマをちょこっと出しました!
登場人物の名前とかお話の流れとか全スルーで(笑)トマのところだけお読みになっても、だいじょぶかもしれません(笑)もしよかったら、2年前くらいのトマです!
ずっと読んでくださることが、どれだけ希少で、ありがたいことなのか、連載していると身に沁みて実感するのです。最初面白いと思ったけど、なんか違うくなったって、よくありますよね!(笑)
それでも、ずっと読んでくださる あなた様に、ほんとうに心から、ありがとうございます!
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