【完結】悪役令息の伴侶(予定)に転生しました

  *  ゆるゆ

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闇の森

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「……だめだそうです……」

 しょんぼり肩を落とすキーアの頭のうえで、光さまが腕を組む。
 わずかの間、目を閉じた光さまの身体から、やわらかな光があふれて、すぐに消えた。

 明いたのは、光の瞳だ。

『……むぅ。まあ、それほどの危険はないと思う。できるところまで、がんばれ』

 光さまが、ちっちゃな手で、頭をぽふぽふしてくれました。


『ぼ、僕、きー、守るよ!』

 きゅうっと抱きついてくれる闇さまに、顔が溶ける。


「俺も、闇さまを守れるようになりたいです」

 ちっちゃいおでこに、おでこをくっつけて、笑う。

 ぽわぽわ赤い頬で、闇の髪をふわふわ揺らして笑ってくれる闇さまが、とびきり、かわいーです!





 ルゥイとキーアを先頭に、広大な森の担当区域までは素早く6人で固まって進み、到着したら3組に分かれて詳細に探索することになりました!

 闇の森と呼ばれるだけあって、濃い緑の葉が重なるように陽の光を遮り、やわらかな闇が降りてくる。

「落ちつきますね、闇さま」

『きー、も?』

 闇の瞳が、瞬いた。

「闇は、やすらぎです」

 にこにこするキーアに、泣きだしそうに瞳を揺らした闇さまが、ぎゅうぎゅうキーアに抱きついた。

 ちっちゃな闇さまを、包みこむように抱きしめる。

 こわくない、忌まわしくない、やさしい、かわいい、やすらぎの闇さまを。


「闇さまは、俺が、守るから」

 とろけて笑ったキーアを、闇さまが、うるうるの目で見あげてくれる。

 きゃ──!

 かわい──!

 もだもだしたキーアは、隣にルゥイがいたことを思いだして飛びあがる。

 肩を揺らしたルゥイが笑ってる。

「……きょ、挙動不審でごめんなさい……」

「キーアがとってもかわいいから、さらわれちゃわないか、心配だよ」

 ルゥイが笑って、手をひいてくれる。


「はぐれないように、手を繋いでおこうね。何か見つけたら、すぐに教えて」

「はい!」

 闇さまを頭にのっけたキーアは、ルゥイと手を繋いで闇の森を進む。

 つながる指が、あったかくて、ルゥイのいい匂いがして、鼓動がとくりと音をたてた。

 踏みしめる森の土はやわらかで、枯れ葉の降り積もる大地に、足が沈む。

 まだ学生だから、と割りあてられた担当区域はロデア大公国側だ。最も危険な、最もネメド王国に近い区域はゼァル将軍が担当してくれている。

 もしゃもしゃしたと思ったら、闇さまと光さまが仲良くキーアの頭のうえで座ってる。かわいい。
 風さまが楽しそうに隣でふよふよして、肩に水さまと地さまをのせて、くるくる飛び回る炎さまと、手をひいてくれるルゥイと一緒に、キーアは森を進んだ。

 まだ闇の森の辺縁だ。
 担当区域も、それほど深くまで入りこまない。

 それでも、足を進めるたび、闇が深くなる。

 見慣れた樹々が、見慣れぬ樹々へ。
 愛らしい花々が、奇怪な花々へ。
 胸を満たす清々しい森の大気が、禍々しい瘴気へと変わってゆく。


「皆、気をつけて」

 ルゥイの声に緊迫が滲んで、キーアも皆もうなずいた。

 胸をおしひしぐ、腐ったような、吸いこむだけで苦しくなる瘴気に、キーアは初めてふれた。


「……これ、が……瘴気……?」

 凛々しい眉をひそめ、ルゥイはうなずいた。


「あまり吸わないように気をつけて。取りこみ過ぎると、魔物化する」








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