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おんぶ?
しおりを挟むいー匂い、するー♡
筋肉が、みっしりしてて、かっこいー♡
ゼァル将軍を抱っこする、至福のひとときを噛みしめていたら、ぽわぽわ、ぴんくの髪を揺らして主人公マェラが駆けてくる。
「きーちゃん、すんごかったって聞いたー! だいじょうぶー!?」
心配そうに、だいぶよれっとしているキーアを覗きこんでくれるマェラが、やさしいです。
「僕、光魔法使えるから活躍できると思ってたのに、何にもしないうちに、すんごい魔物が出て、逃げろって言われたとおりに逃げてたら終わっちゃった。おかしいなー?」
首をかしげるマェラは確か、主人公です!
忘れがち!
もしかして、マェラの活躍の機会を奪っちゃったのかな……顔も名前も声もないモブが……?
あ、ちがう、悪役令息なネィトだ!
これはちょっとネィトの勝利かもしれない。ごめんよ、マェラ!
「マェラの活躍はこれからだよ!」
まだロデア大公立学園がはじまってから3日目なんだよ。
忘れがち!
「そ、そうかな? えへへ。ありがとう、きーちゃん」
朱い頬でうれしそうに笑ったマェラが、キーアの隣でよれよれしているネィトを振りかえる。
あんまり自然で気づいてなかったけど、闇の魔力を限界まで放出したから、元の可愛いネィトに戻ってる!
……闇の魔力でびゃーびゃーの、背の高いネィト、かっこよかったな……
ちょこっと残念になんて、なっていないのです……! たぶん!
「ネィトもがんばったんだよね。よくがんばりました」
マェラに頭をなでなでされたネィトが、うれしそうに、はずかしそうな赤いまなじりで笑う。
主人公と悪役令息が、なかよしです。
全然バチバチしてないよ!
大変うれしい。
でも、あれ……?
BLゲームのタイトル『悪役令息と決闘だ!』だよ、ね……?
首をかしげるキーアに向かって、戻ってきたガダ先輩が手を挙げた。
「石化するって聞いて『ぎゃ──!』って最高速度で逃げてたら、なんか終わってた。何もできなくて、すまん」
頭をさげてくれるガダ先輩に、ぶんぶん首を振る。
「石化しちゃったら大変でしたから!」
みーに悪気はちっともなくても、石化されたり、殺されちゃったりしちゃうので、防御と逃走はとても大切なのです。
おんなじ国に生まれて、おんなじ言葉を使っていても、常識と思ってることが違ったり、価値観の相違で喧嘩したりしちゃうのに、常識も違うし言葉も違うし観念もちがう異文化交流って、大変だよね。
だからこそ、わかりあえたときは、とびきりうれしい。
ちょっとずつ、歩みよってゆけたらいいな。
魔物や魔王さまの言葉がわかるのが、キーアだけっぽいので、顔も名前も声もないモブにしては出しゃばりすぎかなと思うのですが、お役に立てたらいいなと思うのです。
えへへ。
「魔物さんたちが帰還してくれたのは、うれしいけど……ここから帰るの、遠いね」
しょんぼり眉をさげるネィトが、ふらふらしてるよ!
魔力枯渇だよね、一緒だ!
しかしここはやはり、伴侶(予定)の出番なのです。
「おぶってあげるよ。伴侶(予定)だから!」
どんと胸を叩いたら、ネィトの頬が赤くなる。
「きーちゃん♡」
主人公と闘える悪役令息な伴侶(予定)が、かわいいです。
「いや、馬の背に乗せておけば、馬が運んでくれるから」
ルゥイが突っこんだ。
「キーアがおんぶすることないから」
レォにも止められました。
た、確かに、ひとりで乗れないキーアがネィトをおぶうと、お馬さんが3人も運ばなくちゃいけなくなって、大変でした、ごめんなさい!
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