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おくりもの
でーと?
しおりを挟む冬の昼さがりのにぎやかな市場でも、ゼァルの低くかっこいい声はよく響く。
「おお、ゼァルさま!
見回りですか? お仕事中?」
最愛の推しに逢えた喜びで、ぴょこんと跳ねてしまうキーアに、いつもは引き結ばれている凛々しい唇をほどいたゼァルが、やわらかに微笑んでくれる。
ちいさきものを見る目だよ。小動物みたいに思われてるのかなー?
りすさんだと、うれしいな!
跳ねてしまうキーアの頭に、ごつごつのゼァルの手がのびてくる。
わしゃわしゃ髪をなでてくれる指が、やさしい。
「休日で買い物に来たんだが、つい不審者がいないか見回ってしまうんだ」
「お仕事中毒ですね!」
ちょっと心配だよ。
「……かもしれん。キーアは?」
「1年、よい子でがんばりましたの贈り物を買いに来たんです」
「よいこ?」
「ヨニとトマと、みーにあげるの」
にこにこするキーアに、ゼァルの凛々しい眉がさがる。
「……俺は……?」
ぴょこんとキーアは跳びあがる。
「ゼァルさま、よい子でしたか?」
こっくりうなずくゼァルの頭を、背伸びしたキーアの手が、わしゃわしゃなでた。
「えらい、えらい。
じゃあ俺が、ゼァルさまに、頑張ったでしょうの贈り物をあげましょう!」
鋼と紫の瞳が、きらきらしてる。かわいい。
「では俺が贈り物を買うキーアの護衛をする」
微笑んでくれるゼァルに、首をふる。
「贈り物の中身がわかっちゃったら、つまらないでしょう?
俺、強いから平気です!」
どんと胸を叩いてみた!
考えるように首をかしげたゼァルが微笑む。
「では、トマとヨニとみーの贈り物を買うときは、俺が護衛を。俺への贈り物を考えてくれるときは、遠くで見守るから」
「見えちゃうかも?」
「見ないようにする」
「護衛の意味ないかも?」
「悪意をもつ輩は、気配でわかるから」
「俺、闘えます!」
「ぼったくられるかも?」
「たしかに」
ゼァルさまが隣で、にらみをきかせてくれたら、たぶん絶対ぼったくられない!
「でも、せっかくの、おやすみの日なのに俺の買い物につきあってくださるなんて、申しわけなくて……」
「じゃあ俺の買い物にも、つきあってくれるか?」
ももももももしかして、ここここれは、でででデートのお誘いでは……!?
ぜったい違うとか聞こえない──!
「は、ははははい!」
熱い頬で笑う。
「じゃあゼァルさまのお買い物から行きましょう!」
「いや、食料品だから、みーの贈り物と一緒でいい。重くなるから、最初はヨニとトマの贈り物を選ぶのはどうかな」
「はい!」
みーの贈り物の選択肢は、でっかいぬいぐるみもあるんだよ。予算と売ってるブツを見て相談だよ。
ヨニには、お茶セット! とか贈ったらどうかなって思ってたけど『仕事しろ』の圧みたいだよね……?
トマのエプロンも、もしかしてそんな感じになっちゃう!?
「何を贈ったら、喜んでくれるかなー?」
市場の露店をのぞきこみながら考えるのが、楽しい。
「キーアが選んでくれたものなら、皆よろこぶと思う」
微笑んでくれる最愛の推しが、今日も最高にかっこいーです!
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