【完結】双子の兄が主人公で、困る

  *  ゆるゆ

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両親にあいさつにゆくのです

えぇえ?




 王太子殿下が、ルティとトトに慰謝料をがっぽりくれました!

  いやなこともあったけれど、でもどんなにトトを愛してるか、どんなにトトなしじゃ生きていけないか自覚できたし、トトとの愛が深まったし、よかったかもとルティは思う。

 お金もいっぱいもらえたしね!
 貯蓄だよ、貯蓄。建国のためにね。

 というわけで、ちょこっと使ってトロテ王国へと出発です!

 カティとこんなに離れたのは初めてで、しばらくカティのところでゆっくりしたいなと思って、ちょっとした旅行です。
 ガタガタする乗り合い馬車で、お尻が割れそうになることまで、トトと一緒なら、楽しい。


「ルティ、おいで。抱っこ」

 おひざ抱っこして、ルティのお尻を守ってくれようとする、やさしいトトに首をふる。

「トトだけが、お尻痛いなんて、絶対やだ。一緒に痛くなる」

 でも抱っこはしたいよ!

 というわけで、お隣抱っこです。


「……あー、その、俺らもいるんだけど……」

 乗合馬車に一緒に乗った人たちが、戸惑ってる。ごめんなさい。


 ちょこっと離れていたので、よけいにトトにひっつきたい熱が……!

 仕方ないので、トトの手をにぎる。

 指をからめてにぎるだけで、にぎにぎするだけで、ふわふわ頬が熱くなる。

 見あげたら、トトの瞳がやさしくて、愛にあふれていて、とろけてしまう。

「ルティ、だいすき」

 ちゅ

 頬に口づけてくれたら、しあわせすぎる……!


「だから、俺らもいるんだけど!」

 めろめろしちゃうルティを、紅い頬で抱きしめてくれるトトが今いるのは、乗り合い馬車でした……!


「くぅ……! いちゃいちゃしやがって……!」

 おじちゃんやお兄さんたちに、泣かれました。
 ごめんなさい。



 ちょっと大きめの荷を持って、馬車を乗り継ぎ乗り継ぎ、ルティとトトは、トロテ王国へと向かう。
 ほんとに真剣にお尻が割れそうで心配になってきたころ、ようやく国境の検問が見えてきた。

 石造りの砦には衛士たちが詰めていて、入国する人や物品を審査しているようだ。


「トロテ王国の検問だ! ココ王国の王侯貴族は入国できない。魔紋を提示するように!」

 この世界では、ひとりひとりに違う魔紋、魔力の紋様があって、王侯貴族の魔紋は周辺国に通知されているから、検問を通るときにわかるシステムになっている。

 それで王侯貴族の入国を阻んだり、国賓として丁寧にもてなしたりするんだよ。


「貴族ですね、お帰りを」

 ちょっと豪華な服を着ていたおじちゃんが、衛士に、ぺいってされてる。

「くぅ──! 貴族っていっても、底辺なのに!」

 泣いてる。


「とりあえずぜんぶ入るなと、クヒヤ殿下のご命令です」

 クヒヤがカティのために強権を発動してくれてる!

 自分を虐げるために発動する強権は『ふにゅにゅにゅにゅ!』って思うのに、自分を守るために発動してくれる強権は、うれしいだなんて、強欲だ。

 ちょっと反省しつつ、ルティはトトと一緒に検問の列に並んだ。

 ドディア帝国属国同士であっても入国のときは、麻薬とか毒物とか魔物とか、危険な魔道具とか、呪いのブツとか、輸入禁止なものを持っていないか、チェックされるんだよ。

 防衛がきっちりしてる国は、信頼できてよいと思う。めちゃくちゃ待たされるけど!

 でも、トトと手を繋いでたら、何時間待っても平気だ。


「トト、抱っこ、つらくない?」

「全然。ルティ、羽みたいにかるいから」

 にこにこトトが抱きあげて、ちゅっちゅしてくれる。しあわせ♡


「検問なのに、まだいちゃいちゃしてる……!」

 馬車で一緒だったおじちゃんやお兄ちゃんたちが、泣いてる。


「次の者!」

 身体をぱんぱんされて、鑑定魔法で所持品や悪意を看破するのだろう、青い光が身体を伝った。
 魔紋を出して、平民なことも証明できたルティは、手をあげる。

「こんにちは。クヒヤ殿下の伴侶(予定)なカティの弟、ルティです。
 カティにルティが来たって伝えてくれますか。クヒヤ殿下にも」

 ルティの言葉に、衛士たちの間に、戦慄が走ったのが見えた気がした。


「また来やがった!」

「187人目のルティか──!」


 …………えぇえぇええ…………?

 ルティって、俺のほかに、186人もいるの……?







────────────────

 ずっと読んでくださって、ほんとうにありがとうございます!

 連載中だったお話が完結して、新しいお話をはじめてみたので、ルティとトトと一緒に楽しんでくださったら、とてもうれしいです!

 すんなり逢えるかと思ったら、偽者がいっぱいなルティです(笑)

 トトがいっしょなら最強なので、両親とカティに逢えるまで、ルティ、がんばります!(笑)






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