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両親にあいさつにゆくのです
おわびに来ました
「おわびに来ましたー! ごめんくださーい!」
ちいさな手を挙げたルティに、クヒヤ殿下の宮殿の門番は仰け反った。
「また来たぁア──!」
187人目のぴんくの髪のルティだもん。そうなるよね。
「世界一愛らしいルティが見えるでしょう。今度こそ本物です」
トトがドヤ顔で『世界一かわいい』言ってくれるのは、とっても、とってもうれしいのです。
へにゃりと溶けた顔で、凛々しくてかっこいいトトを見あげる。
「ありがとう、トト」
きゅ、とトトの小指をにぎったら、真っ赤になったトトが、ぽそぽそつぶやいた。
「……カティに習った? それ」
うん、たしかにカティがやりそう!
「これは前世の知識。きゅんきゅんした?」
きゅきゅ、とトトの小指をにぎって、笑う。
「めちゃくちゃした──!」
ぎゅむぎゅむトトが抱っこしてくれるので、しあわせに浸っていたら、門番さんがあんぐり口を開けた。
「……え、あの、クヒヤ殿下狙いなんじゃ……?」
「他の男と、いちゃついてる……!」
かつてないぴんくの髪のルティの所業なのだろう、門番さんがわたわたして、見あげるほど大きな白い門が開きゆく。
「やあ、187人目のルティ。やっと本物のお出ましだね」
短い水の髪を揺らして、クヒヤが楽しげに笑う。
背を正したルティは、前世のおわびの記憶どおり、直角に頭をさげた。
「大変、大変なご迷惑をおかけして、誠に申しわけございませんでした──!」
隣で、びっくりしたらしいトトも、いっしょに頭をさげてくれる。
「お世話になりました」
「きみのお世話はしてないよ」
クヒヤは笑って手を挙げた。頭をあげていいという合図らしい。
久しぶりに逢ったクヒヤは、カティを独り占めできて、満たされに満たされているのだろう。
つやつやしてる。
カティがよれよれしていないか、ちょこっと心配になったルティは、そうっと口を開いた。
「両親のことも、186人もルティが来ちゃったことも、ほんとうに申しわけなく思っています。
あの、両親とカティは元気ですか」
そうっと顔をあげたルティに、クヒヤは微笑んだ。
「おいで」
広やかな宮殿を歩くクヒヤの後に続いたルティは、香る花と飛沫に、目をみはる。
白い宮を彩るように植えられた緑の樹々に白い花々が咲き誇り、噴水がやわらかな弧をえがいて落ちてゆく。
風には花と水の香と竪琴の音が満ちて、鼻と耳をくすぐった。
「……さ、すが王子ですね……!」
ぽかんとするルティに、クヒヤは笑った。
「母宮の宮殿でもあるからね。広すぎて使い道がなくて困っていたから、ご両親がいらっしゃるのは丁度よかったよ」
微笑んでくれるクヒヤが、両親を頼んだ上に186人もルティが来たのに、ひとこともルティに文句を言わないクヒヤが、やさしすぎて、涙が出そうだ。
「ルティ──!」
駆けてくる、ぴんくの髪に、視界が潤む。
生まれたときからずっと、離れたことなんて、なかった。
色々あっても、ずっと近くにいるんだろうと思ってた。
離れたら、次に逢えたときは、もう双子のかたわれではなくなってしまうのかと思っていたけれど。
「……カティ」
飛びつくように抱きしめられて、カティのとろけるような香りを吸いこんだら、泣いてしまった。
「うわあん! ルティ、あいしてるー!」
おんなじ気もちだったらしいカティの叫びを、抱きしめる。
「あいしてる、カティ」
ぎゅうぎゅう抱っこしたら、背中が冷たくなった。
「……それはどういうことかな。説明してもらおうか、カティ、ルティ」
クヒヤのヤンデレが発動してる──!
「なかよし双子ということです」
胸を張ってくれるトトが、癒しだ。
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