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営業だよ
しおりを挟むこれが、
「トエは、学食で一番美味しそうなのは何だと思う?」
とかいう質問だと
「カツサンド!!」
という答えがちゃんと返ってくるんだな。
「メファ先輩が、すんごい冷たいってどういうこと?」
と聞くと
「噂?」
一応答えてくれる。
でも、ゲームのこととか、この世界のこととか、転生者のこととか、そういう大事なことを聞こうとすると、絶対誰かに邪魔されちゃうみたいだ。
メファとお昼ご飯はうれしいけど!
……メファと仲良くしてたら、またえっちなお仕置きしてくれるかな♡
………………。
これ、お仕置きの本来の意義を、全く果たしてない……?
メファが連れてきてくれたのは校舎の隅っこにある、メファと出逢ったちいさな庭だった。
春のうららかな陽射しに、あたためられた白いベンチがひっそり佇む。
「今日は野菜サンドだよ。
はい、半分こ」
ふわふわのはちみつの髪を揺らして、はちみつの瞳を輝かせて、にこにこして、野菜サンドを分けてくれるメファが、めちゃくちゃかわいー!
「お金払うよ、メファ!」
メファに貰ったお金を翳す俺に、メファは微笑んだ。
「仕事の話をするんだから、時給の代わりにご飯だよ」
「おお! ホワイトだ!」
首を傾げるメファは、多分、転生者じゃない。
「えと、従業員に、やさしい企業!」
「ふふ、そうなりたいな」
微笑むメファが、めちゃくちゃかわいー♡
「仕事の話って?」
首を傾げた俺に、メファは頷いた。
「エルフ特製、えっちな薬を、ビエル王国で販売できないかなって思って。
リユィ、王子と仲良いでしょう?
そこから販路を見出したいなと」
おぉう、営業だ!
………………?
そんな展開、ゲームにあったかな?
いや、それ以前に!
「俺、全ッッ然!! これっぽっちも!! 王子と仲良くないから!!」
絶叫した。
あの3人に近づくのは、真剣に危険!!
回されるから!
さいあくだから!!
血の気の引いた顔で震える俺に、目を見開いたメファは、色々察してくれたみたいだ。
「そっか、ごめんね、酷いこと言って」
あわあわした俺は、ぶんぶん首を振る。
「あ、あの、力になれなくて、ごめん。
え、えとえと……そ、そうだ! ギルドに行ったら、薬を扱ってくれないかな?」
「ぎるど?」
首を傾げるメファに頷く。
「えと、こういう世界では、ギルドっていう冒険者組合みたいのがあって、そこで作った薬を買ってくれたり、流通させてくれたりするんだ、と思う」
オンライン小説ではそうだった、ような気がする。
薬を作ってスローライフとかね。
俺、頭弱いから向いてなさそうだなって思ってたけど。
憧れだったよ!
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