【完結】残念な悪役の元王子に転生したので、何とかざまぁを回避したい!

  *  ゆるゆ

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……強制力?

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「ちっちゃいのが、頑張って走ってるー!」

「ちっちゃい言うな!」

 ぷりぷり拳を握る俺の声は、たぶん2階の窓まで、届かない。

 向こうの声は聞こえる不思議。
 さすが都合のいいゲームの世界だ!


「かーわい♡」

「いいなあ、魔力最低クラス、あんなかわいーのと一緒に授業で」

「しかも、頭も弱めなんだろ?」

「頭弱い言うな!」

 ほんとのことを言われると、傷つくんだぞ!

 ちょっと涙目な俺を、隣を走るトエが、なでなでしてくれる。

 トエ、やさしー!


「ちんまいのが仲良くしてるー!」

「ちんまい言うな!」

 ぷんぷんするのに、降ってくるのは、やっぱり笑顔だ。


「俺、次の試験で、魔力最低クラス狙おうかなあ♡」

 あちこちの教室の窓から声がして、手が振られた。
 思わず振り返したら、歓声があがる。

 幾つもの顔のなかに、ぴんくの髪と、殺人光線で俺をギリギリ睨みつける目を見つけた俺は、ぴょこんと跳びあがった。


 な、情けないけど、いじわるメーター上がるの怖いんだもん……!

 この遠い距離でも、上がってそうないじわるメーター!
 ……恐怖しかない。


「うわあ、凄いね、レイト」

 くつくつ笑うトエに、息をのむ。


「やっぱり、トエ、知って……」

「ダ────ッッシュ!!」

 テチの掛け声に、足の回転を、頑張って速めてみた!


「ちまちましてて、かーわい♡」

「ち、ま、ち……ま……い、う……な……!」

 ぜえぜえしながら拳を握ったら、なぜか拍手が起きた!


「よくがんばった!」

 テチも褒めてくれる。


「えへへ」

 笑ったら、皆が顔を覆ってうずくまった。

 ぜえぜえ息は切れたけど、トエと一緒に走ってると、ちょっぴし評判がよいみたいで、よかった!








「トエ、やっぱり、この世界のこと、何か知って──」

「こ──ら──!
 授業中に話をするな!」

 テチに叫ばれた。


「リユィは前に出て、問題を解け!」

 また黒板の前に立たされて、


「全っっ然ちが──う! 授業を真面目に聞け!」

「き、聞いてるもん!」

 涙目で拳を握る俺に、クラスの皆が真っ赤になって、テチはちょっと前屈みになった。

 トエが肩を揺らして笑ってる。


 しょんぼりするのか、楽しいのか、解らなくなってきたよ!

 あったかい笑い声ってあるんだなあ。
 さみしい前世を思い出した俺は、なんだか胸があったかくなった。



「トエ、あの、ちょっと話を──」

「次は魔法の実技だよ! トエもリユィも、グラウンドに集合──!」

 クラスメイトが気さくに声を掛けてくれるのはうれしいけど、今じゃなかった!


「あの、トエ、お昼を一緒に──」

「あ、リユィ!
 仕事の話があるんだ、来て!」

 とびきり可愛いメファにどよめく教室で、メファに腕を引っ張られた俺は、確信した。



 強制力か何かで、トエに質問できないようになってる────!!








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