133 / 142
おまけのお話
ディゼの愛
しおりを挟むはじめまして、お久しぶりです!
見てくださる方がいらっしゃるのか心配なのですが、いらっしゃったら、心からありがとうございます。
完結したらお話はお終いだと思っていたのですが、全話にいいねを最大の10入れてくださった方がいらっしゃって、とても大変だったと思うのですが、めちゃくちゃ吃驚して、ものすごく感動しました、ほんとうにありがとうございます……!
おひと方最大で10だと思うので、他にもいいねを押してくださったり、エールを送ってくださったり、お気に入りに入れてくださったり、読んでくださる方がいらっしゃることに驚きと感謝の気持ちでいっぱいです。
何とか御礼できないかと、ちょこっとでも楽しんで戴けるお話が書けたらと読み直してみたのですが、リユィのテンションの高さにびっくりしました(笑)そしてえろい(笑)
ついてきてくださって、楽しんでくださった方がいらっしゃるのかと思うと涙が出るくらいうれしいです。ありがとうございます。
御礼に何かお書きしたいと思えたのは、読んでくださった方、エールやいいねをくださった方のおかげです。
感謝の気持ちをめいっぱい籠めて、ディゼのお話をお書きしました。
すこしでも楽しんでくださったら、とてもとてもうれしいです。
────────────────────
「ディー」
おっきな紫の目をほんのり潤ませて、淡い紅に染まる頬で、とろけるようにほころぶ唇で名を呼んでくれるのが、角を捧げ、命を捧げた最愛のリユィだなんて、しあわせの頂だ。
ぎゅう。
抱きしめたら、これ以上のしあわせなんてないみたいに、笑ってくれる。
手を繋いで、ちっちゃな手で俺の背を抱きしめて
「ディー、だいすき」
毎日、愛を紡いでくれる。
「……頭、おかしくなると思う」
ぽそぽそ呟いたら、リユィが跳びあがる。
「つらい? しんどい? 病院いこー、ディー!」
わたわた俺の手を引っ張る涙目のリユィの髪をくしゃくしゃ撫でる。
「しあわせすぎて」
見開かれた紫の瞳が、俺を見あげる。
真っ赤に染まる頬が、潤んでゆく瞳が、そのちいさな身体のすべてが、俺だけに捧げられているだなんて。
その角を胸に宿していても、毎晩味わっていても、ふわふわするんだ。
リユィが赤ちゃんの時から、傍にいた。
ちょっとずつおっきくなって、まあ今もちっちゃいけど、それでも赤ちゃんよりは確実に成長して、なのにリユィは赤ちゃんの時と変わらず、ずっと俺にべったりだった。
「ディーがそばにいてくれなきゃ、いや!」
「ディーは、おれのなの!」
ぎゅうっと抱きつかれるたび、安心した。
ああ、リユィは、俺がすきだ。
赤ちゃんの時から、ずっと。
永遠に変わらないものだと思っていたんだ。
なのに魔界を追放されて、元王子になったリユィは、もう傍にいなくていいと言った。
俺を、いらないと。
絶望は、今も鼓動を焦がす。
気持ちは簡単に移ろうものだと知っていたはずなのに、何をうぬぼれていたのだろう。
リユィには、ずっと、俺しかいなくて。
リユィは、永遠に、俺を愛していると。
愚かしくも、信じていたんだ。
俺には、ずっと、リユィしかいなくて。
俺は、永遠に、リユィを愛しているから。
ちいさな箱庭の世界が壊れる音を聞いていた。
断絶が長く続かなかったのは、俺がリユィの傍にいないことに耐えられなかったからだ。
わあわあ叫んで、気持ちを繋げて、身体を繋げて。
これ以上ないしあわせを手に入れたはずだった。
なのに、胸の奥で闇が蠢く。
しあわせは、一瞬で、崩れ去る。
リユィはまた言うだろう。
『もう傍にいなくていい』
『ごめんね、ディー。俺はもう、愛してない』
壊れるなら、最初から、壊してしまえ。
真っ暗な闇に、呑まれた。
リユィをめちゃくちゃに穢して、憎まれたほうがいい。
それなら捨てられるのは、酷いことをしたせいだ。
俺にはリユィしかいないのに、リユィには俺以外が幾らでもいて、飽きたから、つまらないから、捨てられるんじゃない。
言い訳が欲しかったんだ。
いつか壊れてしまうなら、憎まれて、きらわれて終わってしまう、正当な理由が。
いつ終わるかと脅えて生涯を過ごすなら、しあわせの絶頂で、叩き壊してしまいたかった。
リユィと、俺を。
闇をぶちまけたら、一瞬で壊れる。
一瞬で終わる。
襲う虚無とともに、安堵した。
もうリユィに捨てられることに、脅えなくていい。
それでも愛してくれたら、心の奥底で願ってはいたけど、叶えられるなんて思いもしなかった。
こんなに汚くて、情けなくて、卑怯で、おぞましい俺を、愛してくれるのが、リユィだなんて。
至上のさいわいと、比類なき恐怖を手に入れた。
いつも、こわい。
リユィはまた『もう傍にいなくていい』言うかもしれない。
角をもらったけど、それでも。
俺が必要でなくなる日が、来るかもしれない。
震える怖ろしさを背負っているから、リユィが笑ってくれたら、胸が熱い。
手を繋いでくれたら、鼓動が跳ねる。
抱きしめて、口づけてくれるたび思うんだ。
俺は、リユィのものだって。
リユィの傍にいるために生まれた。
リユィの傍にいられなくなったら、壊れる。
こわいから、切なさは胸に迫る。
おそろしいから、愛しさが香り立つ。
「リユィ」
ささやいて、抱きしめられるしあわせを噛み締めるたび、思うんだ。
「リユィだけを、愛してる」
いつ、壊れてしまっても
いつ、リユィが俺をすきじゃなくなっても
それでも、ずっと
あいしてる
615
あなたにおすすめの小説
悪役令息に転生して絶望していたら王国至宝のエルフ様にヨシヨシしてもらえるので、頑張って生きたいと思います!
梻メギ
BL
「あ…もう、駄目だ」プツリと糸が切れるように限界を迎え死に至ったブラック企業に勤める主人公は、目覚めると悪役令息になっていた。どのルートを辿っても断罪確定な悪役令息に生まれ変わったことに絶望した主人公は、頑張る意欲そして生きる気力を失い床に伏してしまう。そんな、人生の何もかもに絶望した主人公の元へ王国お抱えのエルフ様がやってきて───!?
【王国至宝のエルフ様×元社畜のお疲れ悪役令息】
▼2025年9月17日(水)より投稿再開
▼この作品と出会ってくださり、ありがとうございます!初投稿になります、どうか温かい目で見守っていただけますと幸いです。
▼こちらの作品はムーンライトノベルズ様にも投稿しております。
【完結】悪役に転生したので、皇太子を推して生き延びる
ざっしゅ
BL
気づけば、男の婚約者がいる悪役として転生してしまったソウタ。
この小説は、主人公である皇太子ルースが、悪役たちの陰謀によって記憶を失い、最終的に復讐を遂げるという残酷な物語だった。ソウタは、自分の命を守るため、原作の悪役としての行動を改め、記憶を失ったルースを友人として大切にする。
ソウタの献身的な行動は周囲に「ルースへの深い愛」だと噂され、ルース自身もその噂に満更でもない様子を見せ始める。
魔界最強に転生した社畜は、イケメン王子に奪い合われることになりました
タタミ
BL
ブラック企業に務める社畜・佐藤流嘉。
クリスマスも残業確定の非リア人生は、トラックの激突により突然終了する。
死後目覚めると、目の前で見目麗しい天使が微笑んでいた。
「ここは天国ではなく魔界です」
天使に会えたと喜んだのもつかの間、そこは天国などではなく魔法が当たり前にある世界・魔界だと知らされる。そして流嘉は、魔界に君臨する最強の支配者『至上様』に転生していたのだった。
「至上様、私に接吻を」
「あっ。ああ、接吻か……って、接吻!?なんだそれ、まさかキスですか!?」
何が起こっているのかわからないうちに、流嘉の前に現れたのは美しい4人の王子。この4王子にキスをして、結婚相手を選ばなければならないと言われて──!?
悪役令息(Ω)に転生したので、破滅を避けてスローライフを目指します。だけどなぜか最強騎士団長(α)の運命の番に認定され、溺愛ルートに突入!
水凪しおん
BL
貧乏男爵家の三男リヒトには秘密があった。
それは、自分が乙女ゲームの「悪役令息」であり、現代日本から転生してきたという記憶だ。
家は没落寸前、自身の立場は断罪エンドへまっしぐら。
そんな破滅フラグを回避するため、前世の知識を活かして領地改革に奮闘するリヒトだったが、彼が生まれ持った「Ω」という性は、否応なく運命の渦へと彼を巻き込んでいく。
ある夜会で出会ったのは、氷のように冷徹で、王国最強と謳われる騎士団長のカイ。
誰もが恐れるαの彼に、なぜかリヒトは興味を持たれてしまう。
「関わってはいけない」――そう思えば思うほど、抗いがたいフェロモンと、カイの不器用な優しさがリヒトの心を揺さぶる。
これは、運命に翻弄される悪役令息が、最強騎士団長の激重な愛に包まれ、やがて国をも動かす存在へと成り上がっていく、甘くて刺激的な溺愛ラブストーリー。
結婚初夜に相手が舌打ちして寝室出て行こうとした
紫
BL
十数年間続いた王国と帝国の戦争の終結と和平の形として、元敵国の皇帝と結婚することになったカイル。
実家にはもう帰ってくるなと言われるし、結婚相手は心底嫌そうに舌打ちしてくるし、マジ最悪ってところから始まる話。
オメガバースでオメガの立場が低い世界
こんなあらすじとタイトルですが、主人公が可哀そうって感じは全然ないです
強くたくましくメンタルがオリハルコンな主人公です
主人公は耐える我慢する許す許容するということがあんまり出来ない人間です
倫理観もちょっと薄いです
というか、他人の事を自分と同じ人間だと思ってない部分があります
※この主人公は受けです
異世界転移した元コンビニ店長は、獣人騎士様に嫁入りする夢は……見ない!
めがねあざらし
BL
過労死→異世界転移→体液ヒーラー⁈
社畜すぎて魂が擦り減っていたコンビニ店長・蓮は、女神の凡ミスで異世界送りに。
もらった能力は“全言語理解”と“回復力”!
……ただし、回復スキルの発動条件は「体液経由」です⁈
キスで癒す? 舐めて治す? そんなの変態じゃん!
出会ったのは、狼耳の超絶無骨な騎士・ロナルドと、豹耳騎士・ルース。
最初は“保護対象”だったのに、気づけば戦場の最前線⁈
攻めも受けも騒がしい異世界で、蓮の安眠と尊厳は守れるのか⁉
--------------------
※現在同時掲載中の「捨てられΩ、癒しの異能で獣人将軍に囲われてます!?」の元ネタです。出しちゃった!
俺、転生したら社畜メンタルのまま超絶イケメンになってた件~転生したのに、恋愛難易度はなぜかハードモード
中岡 始
BL
ブラック企業の激務で過労死した40歳の社畜・藤堂悠真。
目を覚ますと、高校2年生の自分に転生していた。
しかも、鏡に映ったのは芸能人レベルの超絶イケメン。
転入初日から女子たちに囲まれ、学園中の話題の的に。
だが、社畜思考が抜けず**「これはマーケティング施策か?」**と疑うばかり。
そして、モテすぎて業務過多状態に陥る。
弁当争奪戦、放課後のデート攻勢…悠真の平穏は完全に崩壊。
そんな中、唯一冷静な男・藤崎颯斗の存在に救われる。
颯斗はやたらと落ち着いていて、悠真をさりげなくフォローする。
「お前といると、楽だ」
次第に悠真の中で、彼の存在が大きくなっていき――。
「お前、俺から逃げるな」
颯斗の言葉に、悠真の心は大きく揺れ動く。
転生×学園ラブコメ×じわじわ迫る恋。
これは、悠真が「本当に選ぶべきもの」を見つける物語。
続編『元社畜の俺、大学生になってまたモテすぎてるけど、今度は恋人がいるので無理です』
かつてブラック企業で心を擦り減らし、過労死した元社畜の男・藤堂悠真は、
転生した高校時代を経て、無事に大学生になった――
恋人である藤崎颯斗と共に。
だが、大学という“自由すぎる”世界は、ふたりの関係を少しずつ揺らがせていく。
「付き合ってるけど、誰にも言っていない」
その選択が、予想以上のすれ違いを生んでいった。
モテ地獄の再来、空気を読み続ける日々、
そして自分で自分を苦しめていた“頑張る癖”。
甘えたくても甘えられない――
そんな悠真の隣で、颯斗はずっと静かに手を差し伸べ続ける。
過去に縛られていた悠真が、未来を見つめ直すまでの
じれ甘・再構築・すれ違いと回復のキャンパス・ラブストーリー。
今度こそ、言葉にする。
「好きだよ」って、ちゃんと。
転生令息は冒険者を目指す!?
葛城 惶
BL
ある時、日本に大規模災害が発生した。
救助活動中に取り残された少女を助けた自衛官、天海隆司は直後に土砂の崩落に巻き込まれ、意識を失う。
再び目を開けた時、彼は全く知らない世界に転生していた。
異世界で美貌の貴族令息に転生した脳筋の元自衛官は憧れの冒険者になれるのか?!
とってもお馬鹿なコメディです(;^_^A
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる