【完結】残念な悪役の元王子に転生したので、何とかざまぁを回避したい!

  *  ゆるゆ

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おまけのお話

ディゼの愛

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 はじめまして、お久しぶりです!
 見てくださる方がいらっしゃるのか心配なのですが、いらっしゃったら、心からありがとうございます。

 完結したらお話はお終いだと思っていたのですが、全話にいいねを最大の10入れてくださった方がいらっしゃって、とても大変だったと思うのですが、めちゃくちゃ吃驚して、ものすごく感動しました、ほんとうにありがとうございます……!

 おひと方最大で10だと思うので、他にもいいねを押してくださったり、エールを送ってくださったり、お気に入りに入れてくださったり、読んでくださる方がいらっしゃることに驚きと感謝の気持ちでいっぱいです。

 何とか御礼できないかと、ちょこっとでも楽しんで戴けるお話が書けたらと読み直してみたのですが、リユィのテンションの高さにびっくりしました(笑)そしてえろい(笑)
 ついてきてくださって、楽しんでくださった方がいらっしゃるのかと思うと涙が出るくらいうれしいです。ありがとうございます。

 御礼に何かお書きしたいと思えたのは、読んでくださった方、エールやいいねをくださった方のおかげです。
 感謝の気持ちをめいっぱい籠めて、ディゼのお話をお書きしました。
 すこしでも楽しんでくださったら、とてもとてもうれしいです。


────────────────────



「ディー」

 おっきな紫の目をほんのり潤ませて、淡い紅に染まる頬で、とろけるようにほころぶ唇で名を呼んでくれるのが、角を捧げ、命を捧げた最愛のリユィだなんて、しあわせの頂だ。

 ぎゅう。

 抱きしめたら、これ以上のしあわせなんてないみたいに、笑ってくれる。
 手を繋いで、ちっちゃな手で俺の背を抱きしめて

「ディー、だいすき」

 毎日、愛を紡いでくれる。

「……頭、おかしくなると思う」

 ぽそぽそ呟いたら、リユィが跳びあがる。

「つらい? しんどい? 病院いこー、ディー!」

 わたわた俺の手を引っ張る涙目のリユィの髪をくしゃくしゃ撫でる。

「しあわせすぎて」

 見開かれた紫の瞳が、俺を見あげる。

 真っ赤に染まる頬が、潤んでゆく瞳が、そのちいさな身体のすべてが、俺だけに捧げられているだなんて。
 その角を胸に宿していても、毎晩味わっていても、ふわふわするんだ。


 リユィが赤ちゃんの時から、傍にいた。
 ちょっとずつおっきくなって、まあ今もちっちゃいけど、それでも赤ちゃんよりは確実に成長して、なのにリユィは赤ちゃんの時と変わらず、ずっと俺にべったりだった。

「ディーがそばにいてくれなきゃ、いや!」

「ディーは、おれのなの!」

 ぎゅうっと抱きつかれるたび、安心した。

 ああ、リユィは、俺がすきだ。
 赤ちゃんの時から、ずっと。

 永遠に変わらないものだと思っていたんだ。

 なのに魔界を追放されて、元王子になったリユィは、もう傍にいなくていいと言った。

 俺を、いらないと。

 絶望は、今も鼓動を焦がす。
 気持ちは簡単に移ろうものだと知っていたはずなのに、何をうぬぼれていたのだろう。

 リユィには、ずっと、俺しかいなくて。
 リユィは、永遠に、俺を愛していると。

 愚かしくも、信じていたんだ。

 俺には、ずっと、リユィしかいなくて。
 俺は、永遠に、リユィを愛しているから。


 ちいさな箱庭の世界が壊れる音を聞いていた。
 断絶が長く続かなかったのは、俺がリユィの傍にいないことに耐えられなかったからだ。
 わあわあ叫んで、気持ちを繋げて、身体を繋げて。
 これ以上ないしあわせを手に入れたはずだった。

 なのに、胸の奥で闇が蠢く。

 しあわせは、一瞬で、崩れ去る。

 リユィはまた言うだろう。
『もう傍にいなくていい』

『ごめんね、ディー。俺はもう、愛してない』

 壊れるなら、最初から、壊してしまえ。

 真っ暗な闇に、呑まれた。
 リユィをめちゃくちゃに穢して、憎まれたほうがいい。
 それなら捨てられるのは、酷いことをしたせいだ。
 俺にはリユィしかいないのに、リユィには俺以外が幾らでもいて、飽きたから、つまらないから、捨てられるんじゃない。

 言い訳が欲しかったんだ。

 いつか壊れてしまうなら、憎まれて、きらわれて終わってしまう、正当な理由が。
 いつ終わるかと脅えて生涯を過ごすなら、しあわせの絶頂で、叩き壊してしまいたかった。

 リユィと、俺を。

 闇をぶちまけたら、一瞬で壊れる。
 一瞬で終わる。
 襲う虚無とともに、安堵した。

 もうリユィに捨てられることに、脅えなくていい。

 それでも愛してくれたら、心の奥底で願ってはいたけど、叶えられるなんて思いもしなかった。

 こんなに汚くて、情けなくて、卑怯で、おぞましい俺を、愛してくれるのが、リユィだなんて。

 至上のさいわいと、比類なき恐怖を手に入れた。


 いつも、こわい。
 リユィはまた『もう傍にいなくていい』言うかもしれない。
 角をもらったけど、それでも。
 俺が必要でなくなる日が、来るかもしれない。

 震える怖ろしさを背負っているから、リユィが笑ってくれたら、胸が熱い。
 手を繋いでくれたら、鼓動が跳ねる。
 抱きしめて、口づけてくれるたび思うんだ。

 俺は、リユィのものだって。

 リユィの傍にいるために生まれた。
 リユィの傍にいられなくなったら、壊れる。

 こわいから、切なさは胸に迫る。
 おそろしいから、愛しさが香り立つ。

「リユィ」

 ささやいて、抱きしめられるしあわせを噛み締めるたび、思うんだ。

「リユィだけを、愛してる」


 いつ、壊れてしまっても
 いつ、リユィが俺をすきじゃなくなっても


 それでも、ずっと

 あいしてる






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