【完結】残念な悪役の元王子に転生したので、何とかざまぁを回避したい!

  *  ゆるゆ

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おまけのお話

雪です!

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 起きたら、おんぼろ寮の冷たい窓硝子の向こうの世界が、真っ白だ。

 跳びあがった俺は、毛布にくるまって眠るディーに抱きついた。

「ディー、雪だよ!」

「……こどもか……」

 ぶっすり低い声が返ってくるのに、しょんぼりする暇がないくらい、雪がうれしい。

「リユィですー」

 ちゅ

 ディーのおでこに唇をくっつけたら、尖った耳の先がふうわり紅くなる。
 火照る頬で笑った俺は、ちっちゃなクローゼットの扉を開けた。

 豪雪地域の方は毎日とても大変だと思うし、大雪の報道があると心が痛むけれど、前世では1年に1回積もるか積もらないかくらいのところに住んでいたし、魔界でも魔王城に雪は降らなかったので、雪が降ったら雪だるまだよ、きゃ──!

 もこもこ、ぬくぬくの服に着替えたら、早速寮の門の前の雪を踏みしめた。

 きゅ

 鳴る音に、ふわりと沈む足に、頬がとろける。

「雪だ──!」

 両手を掲げて飛び跳ねたら、朝から洗濯中の寮監ゾイが凛々しい眉をあげた。

「子どもがいる」

「リユィだよ!」

 そうっと両手で雪をすくう。

「ふあふあ! つべたい! 雪だー!」 

 ふかふかの雪のうえで飛び跳ねたら、遊びにきてくれたらしいエルフのメファが、透きとおる声で笑った。

「子どもがいる」

 蜂蜜の髪が、雪雲の隙間からこぼれる冬の陽射しにきらきら揺れる。

「リユィだってば! えい!」

「わ! な、なに?」

 つくった雪玉を早速投げたら、メファの蜂蜜の瞳がまるくなる。

「雪合戦だよ。知らない? 雪玉を投げるの。当たったら負け! えい!」

「なにそれ! ひどくない!? 遊びにきたのにー!」

 文化が違ったみたいです。メファにはショックだったみたいだ、ごめんよ!

「ご、ごめん、メファ、前世……じゃなかった、えーと、魔界、そう、魔界では、親愛の挨拶で、雪が降ったら、雪玉をぶつけるんだよ!」

「……さすが魔界……」

 メファの目が胡乱になってる。

 魔界にひどい風習を捏造してしまって、ごめんなさい!

「え、えとえと、俺の家だけかな?」

「……さすが魔王……」

 ごめん、父ちゃん!


 やさしいエルフのメファも一緒にできる雪遊びなら──

「雪だるま、つくろー!」

「ゆきだるま?」

「お手本、見せるね。まず、ちっちゃな雪玉をつくってー」

 ぽふぽふ雪玉を作ったら、地面に落として、コロコロ!

「おぉお!」

 蜂蜜の瞳が、きらきらしてる。

「これでね、どんどんおっきく、まるくしていってね」

 うんしょうんしょと押すリユィをメファが手伝ってくれる。

「つめたい!」
「ね!」

「子どもがいる」

 遊びに来てくれたらしいアルフォリアが喉を鳴らして笑った。

「リユィですー」
「メファだよ!」

 ふたりで笑ったら

「天使がいる」

 アルの後ろからやってきたキーザとジェミも笑ってる。

「おっきいほうが胴体、ちっちゃいほうが頭だよ。ちっちゃいのを、おっきいののうえにのせて──お、重──!」

 はりきって大きくし過ぎた!
 しかし、残念な悪役の元王子とはいえ、俺はかあちゃんと、とうちゃんの力を継いでいる!

 やってやるぜ!

 力こぶを盛りあげて持ちあげたのに、ちっちゃい俺は背が届かなかった!

 きゃ──!

「よくがんばりました」

 ディーが頭をなでて、持ちあげた雪玉をひょいとおっきい雪玉のうえにのせてくれる。

「これでいー?」

「う、うん。ありがと、ディー」

 困ったら、いつも飛んできて、たすけてくれる。

 夢みたいで、頬が熱くて、ディーの手をつかまえたら、凛々しいかんばせをほどいて、笑ってくれる。

「これで完成? かわいー!」

 飛び跳ねるメファが可愛いよ!

「目と鼻と口をくっつけて、帽子とマフラーとボタンをくっつけたら、完璧!」

「……猟奇的だな……」

 皆が遠い目になってる──!

「ち、違う違う、本物じゃなくてね、ゾイ、果物とか人参とか帽子とマフラー貸してー!」

 雪だるまの顔をつくって、帽子とマフラーとボタンを装着してみた!

「か──わ──い──い──!」

 飛び跳ねるメファがかわいい。


「えへへへえ」

 笑ったら、後ろからディーの抱きしめる腕が降ってくる。


「リユィがいちばん、かわいー」

 とろけるように、笑ってくれた。










────────────

 ずっと読んでくださって、ありがとうございます!

 昨年はリユィとディーを読んでくださって、お気に入りやいいねやエール、ほんとうにありがとうございました。

 全話にいいねしてくださった方、読んでくださった方のおかげで、またオンラインでお話をお書きして、BL大賞さまに参加させて戴いたりと、とても楽しかったです。ありがとうございます。

 御礼の気もちをこめて、ひさしぶりのリユィとディーでした!


 新しいお話をはじめてみました!

 リユィとディーと一緒に楽しんでくださったら、とてもうれしいです。


 またリユィとディーのお話も更新できたらと思っています。


 いつも心から、ありがとうございます!




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感想 52

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みんなの感想(52件)

ちゅ2 ·͜·

今日はいい推しの日ということで
最推しのディーへエールを❣️
リユィとディーのハロウィン🎃
来年よろしくお願いします🙏

2025.11.04   *  ゆるゆ

最推し……! ありがとうございます!
ディーが、めちゃくちゃ喜んでいます!
ハロウィン、時間の都合で(笑)皆にできなかったのですが、今からやりますか!?(笑)
めちゃくちゃうれしくて、ディー大歓喜なので、ちょこっとお待ちくださいね!(笑)
エール、ディーといっしょに、心から、ありがとうございます!

解除
いぬぞ~
2025.01.24 いぬぞ~

通知ピロピロ来てて獣人とか二個位見たあとこれが1番下にあったので読んで、感想書く前に後書き読んで先にセバさんとこ行ってきました(笑)。

雪だるま楽しそうに作ってるのに、自分の脳内はかわいこちゃん達がかまくら作っておこた擬きに入って、お汁粉とかお雑煮とかおでん食べて、デザートにおみかん食べてました(笑)。

2025.01.24   *  ゆるゆ

いぬぞ~ 様、リユィにもご感想、ありがとうございますー!

びっくりしました! 読んでくださったのですか……! めちゃくちゃうれしいです、ありがとうございます!

通知ピロピロ申し訳ありません……!(笑)一斉更新しちゃいました……(笑)
先にセバをありがとうございます(笑)

かまくらと、おこたといいですよね、最強……!(笑)
しかしお汁粉とお雑煮とおでんは汁まみれに……!(笑)最後おみかんも大変おいしそうです(笑)

解除
ju
2024.05.06 ju

いいですねおまけ
ほのぼのハッピーエンド♡

昨日1話から読み返しました
テンポの良さが心地よい
コミカルで、でも時々胸がぎゅっとして
ステキなお話をありがとうございます

2024.05.06   *  ゆるゆ

juさま、はじめまして*です。
ご感想、ありがとうございます!

1話からまた読んでくださったんですね、とてもうれしいです、ありがとうございます。
楽しいけど、ちょっとぎゅっとするお話が書きたかったので、juさまのお言葉、とてもうれしいです。
おまけを頑張って書いてよかったです。
えろ以外になってしまいますが(笑)もし何か読みたいとかあられたら、お気軽に仰ってくださいね。

ご感想、とてもうれしいです!
ありがとうございますー!

解除

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