【完結】国で一番かっこいい騎士の伴侶に選ばれてしまいました

  *  ゆるゆ

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はじめて

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 セィムはシァルのご両親に、シァルはセィムの両親に、ふたりで一緒に、ちゃんとあいさつにゆきました。

「まあまあまあ」

「へぇえぇえ」

 シァルのご両親は、によによして

「えぇえぇえぇ──!」

「な、ななななな何がどうなったんだ、セィム──!」

 セィムの両親は卒倒しそうになりながら、祝福してくれました。



 カィザ選王国では国務院で誓約を提出したら伴侶になれるのだけれど、シァルの伴侶は選王陛下に謁見しなくてはならないと言われて、セィムは仰け反った。が、当然かと思い直した。

 救国の英傑が伴侶をもつのだ。
 選王陛下の認可がいるのも当たり前だろう。

 選王候補の一切は伏せられて、論文のみで競われる。
 実際にお逢いできるのは、ほんの限られた者のみだという選王に、はじめてセィムは拝謁した。

 見あげる玉座にたたずむ、ちいさな人に、息をのむ。

 ──ちっちゃ……!

 え、うそ、6歳くらい……!?


「……僕がシァルの伴侶になる予定だったのに……!」

 選王陛下に、ものすごく恨めしい目で見られました……

 きもちわかる。
 ごめんよ。

 それでもシァルは譲れない!
 たとえ、相手が選王であろうとも──!

 ぎゅ、とシァルの手をにぎるセィムに、シァルがうっとりしてくれる。うれしい。


「陛下、め、ですよ。
 僕だって、セィムの伴侶になりたいのを我慢してるんですから」

 隣の宰相閣下がたしなめてくれた。やさしい。
 何か聞こえたけど、空耳だろうと思っていたら、選王が目をむいた。


「宰相が──! 僕以外と伴侶になりたいって言ったぁアァ──!」

「陛下も今、シァルさまと伴侶になりたいって、おっしゃったじゃないですか」

「僕はいいの──! うわぁあぁあん! 宰相が、ひどいぃい──!」

 シァルが選王に狙われていたことを聞いても『さもありなん』としか思わなかったセィムだが、国の未来は心配になった。

 隣のシァルは肩を揺らして笑ってる。

「だいじょうぶ。死ぬほど仕事ができるふたりだから」

 ……あの論文を、カィザ選王国民のほとんどが票を投じた素晴らしい論文を、ちっちゃなこの子が書いたんだ。今の政策を断行しているのは、このふたりなんだ……

 茫然としたセィムは、選王候補の一切を秘す、その意味がようやく理解できた。

 だからこそ、カィザ選王国には大陸で最高の頭脳が結集し、その人たちが国を導いてゆくんだ。
 まだ歩きはじめたばかりのか弱い国を、シァルが守ってくれている。

 この3人が、国を支えてくれているんだ。

 そのシァルの伴侶が自分だなんて、ちょっと埋まりたくなるけど、シァルの伴侶が自分以外だなんて、絶対にいやなので、セィムは丸まりそうな背をのばす。

 宰相閣下は、ぜんぶわかったように微笑んでくれた。

「おしあわせに。ほら、陛下。お祝いを」

 宰相におひざ抱っこされて、ごきげんになった選王陛下が、励ましてくれた。

「はじめての夜だな。がんばるのだぞ!」


 ……そう、ふたりとも成人済みなので、本日は、初夜なのです……!

 はじめて!

 いやこんな魔法を習得しても、使い道がお風呂に入るのがめんどくちゃい時しかないよ……いやそれってめちゃくちゃ便利だな、ありがたい、と思って使っていた清浄魔法を、本来の用途(たぶん)で使うときが来るなんて──!

 緊張のセィムは、朝から、カチコチしている。

 シァルも緊張しているのだとおもう、そっと恥ずかしそうに、セィムの手を握ってくれる指の先が、冷たい。


「や、やさしく、する」

 セィムの声まで、カチコチだ。


「……うん、セィム」

 シァルの耳が、真っ赤だ。


「帰ってからね」

 宰相閣下に突っこまれた。

「がんばってー」

 ひらひらちいさな手を選王が振ってくれた。





 緊張しすぎて、セィムはご飯をつくるどころじゃなかった。
 お昼はふたりで食堂に入って、夜はお惣菜を買ってきた。

 何を食べたかさえ覚えていない。
 何の味もしなかった。

 今まで色恋には無縁だったセィムは、なにもかもが初めてだ。

 ちゃんとできるのか、ちゃんとシァルを満足させてあげられるのか心配すぎて、ぐるんぐるん、めまいがする。


 お風呂で、めちゃくちゃ、めちゃくちゃきれいに、足の指の先まできれいに洗った。清浄魔法を使えばいいだけなのに、それはもう、ていねいに。

 指がふやけて、ふにゃふにゃになって、のぼせてくらくらして、ようやくセィムは風呂を出る。

 月明かりに浮かびあがるシァルが、あまりにも輝かしくて、息ができない。


「……シァル……」

 さま、と言いそうな唇を、あわてて止めた。

 白い寝台に、そっとシァルの手をひいた。

 カチコチなセィムを、シァルが心配そうにのぞきこむ。


「……あ、あの、セィム、いやなら──」

「そんなわけないだろう──!」

 叫んでいた。

 びくりと止まったシァルを、抱きしめる。


 情けなくても、みっともなくても、セィムは言おうと思った。

 でないとシァルはまた『きもちわるい』ありえない解釈をしてしまう。


「……はじめて、なんだ。何もかも、シァルが、はじめて。……だから、ちゃんとシァルをよろこばせてあげられるか、心配で……」

 打ち明けたセィムに、赤い頬でシァルが笑う。


「俺も、はじめて」

「……え……」


「誰にも、言えなかったから。誰とも、したくなかったから」


 ぎゅ、とシァルのたくましい腕がセィムを抱きしめる。



「……俺も、ぜんぶ、セィムが、はじめて」


 シァルの空の瞳が、あまく、うるんだ。



「セィムしか、知りたくない」



 吐息が、燃えた。



 ──……あぁ、そうだ。


 したことない。

 ぜんぶ、はじめて。


 それは、ちっとも、みっともないことじゃない。情けないことじゃない。




 きみだけを、知ることができる


 きみだけに、すべてを捧げられる



 最高の、しあわせ















────────────────


 ずっと読んでくださって、ありがとうございます!

  ぴ さまのリクエストと、皆さまのご投票で、R指定なふたりが、はじまります!
 
 これで終わりじゃないです、ちゃんと書きます!(笑)がんばりますー!

 昨日のインスタは、いつものふたりの動画で、今日の動画はちっちゃい選王と宰相の演説です!(笑)フォロワーさまが0になるかもしれない、それでも投稿しようと思って作りました。いっしょに行きましょうー! 

 と! えろの視点がシァル(受)かセィム(攻)どちらがいいか、伺うアンケートをしていますー!@siro0088
 明日はセィムでいきます(笑)その後、がっつりを(笑)どっちで行くかを伺いたいです!

 皆さまのご希望でえろを書くので(笑)ご希望に沿う形がいいなと思って!
 ずっとセィムだったのでそのままセィムで書こうとしたのですが、あれ、もしかしてシァルのほうがいいのかな……と思って伺ってみました。

 セィムにとろとろにされちゃいたいか、シァルを抱いてとろとろにしちゃいたいかの選択です(笑)

 もしよかったら、ご感想でもお気軽に、どちらがいいか、どうぞです!
 多い方に進みますー!
 1票の重みが、すごいです(笑)投票だいじ(笑)



 今日のはまだ全年齢かなと思うのでタイトルに * がついていないのですが、明日からR18になるので、苦手な方はどうぞ回避してくださいね。

 読んでくださること、お気に入りや、いいねやエール、ご感想で応援してくださることが、いつも、とてもうれしいです。

 ほんとうに、ありがとうございます!
 





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