27 / 131
伝説の魔導士と、卑怯に勝負!
しおりを挟むもしかして、鴨葱?
猪が白菜を背負って来ちゃった?
「あの! 伝説の魔導士なら、世界中に散ったエルフを探す、エルフ探知機作れますか!」
拳を握る僕の前の扉が、銀に瞬く。
「ふふん。
僕に勝ったら、作ってあげてもいいよお」
おおお!
さすが伝説!
「卑怯な手段は許されますか!」
「え、卑怯? 大すき!」
……尋常に勝負って言ってたけどな。
温情ありがとうございます!
「よっしゃぁああ──! いきます!」
拳を掲げた僕は、早速クロを抱き締める。
「クロ、お願いね」
全力でクロに頼る僕!
「くろ、がんばる!」
ふんふん鼻を鳴らしてくれるクロが、かわいー!
僕がクロの背に乗ると、クロはすべてを解った目で、裏口に回ってくれた。
えへへん。
魔王さまのお家には、表玄関と勝手口があるのですよ。
伝説の魔導士の弱点!
ゲームをした人なら、みんな知ってる!
いくよ、クロ!
「ひゃっはー!」
掛け声とともに、クロの爆速で突撃した僕は、伝説の魔導士の首の後ろを、こちょこちょした。
「うひょ!
ひははははは! え、待って、何、えぇえ! あ、ちょっと、それは、や、ば────!!
──……ぁっっ♡」
真っ赤になってくずおれる伝説の魔導士の、短い紫紺の髪が、ふわふわ揺れる。
紫紺の瞳は熱に潤んで、愛らしい艶を奏でた。
わあ!
生きてる!
動いてる!
永遠の美少年、伝説の魔導士、キュトだ!
ショタ大すきな皆の心を鷲掴み!
レトゥリアーレさまがいなかったら、僕、キュトたん推しだったよ。
生キュト、尊い!
思わず拝んだ。
「え、おひめさまに拝まれてる!」
キュトも、目がわるいらしい。
赤い頬で涙を拭ったキュトは、ちょっぴり甘い吐息と起き上がった。
「なんで初対面のおひめさまが、僕も知らない僕の弱点を知ってるの?」
「ひめじゃないです」
僕は、拳を握る。
「なんで?」
なぜスルー?
「前世の記憶です」
「わー、なんか、びみょーな病気っぽい」
唇を尖らせる上目遣いのキュトが、可愛いんですけど!
ディスってるのに可愛いとか卑怯!
「キュトさんが、背が伸びないかと毎日めちゃくちゃ牛乳飲んでることも、ぶら下がり健康機にぶら下がりまくってることも、背が伸び~る体操を一日3回毎日してることも知ってます」
「ぎゃぁぁあああ!」
真っ赤になって、頭を抱えてうずくまるキュトが、めちゃくちゃ可愛い。
ちがう、ゲームの知識生きてるなあ!
ということは、僕はやっぱり、レトゥリアーレさまを殺すモブということだ。
うう、つらい。
しかし
「生キュトたん尊い!」
思わず拝む僕を庇うように、扉を蹴破る勢いでエォナが飛び出した。
「ひめさまを幻惑したのか、わるい魔法使いめ!」
金の髪に、金の瞳でナイフを抜くエォナに、キュトは目を見開いた。
「あれ、勇者がいる」
「めちゃくちゃかわいーでしょう!」
エォナを後ろから抱っこして、胸を張ったら、エォナは真っ赤になって、キュトはちょっと鼻を鳴らした。
「まあ、僕の次にね。
ふうん、今度の勇者はきみかあ」
紫紺の瞳に覗き込まれたエォナの瞳から、金の光が消えてゆく。
「今度の?」
「僕は長生きだからねえ。
勇者もいっぱい見てきたよ。色んなのがいたよ」
大きな紫紺の瞳が、細くなる。
「その力に、相応しい心を、養うように」
栗色の瞳を瞬いたエォナは、こくりと頷いた。
「ひめのために、頑張る」
「僕、ひめじゃないからね」
そろそろ解ろう、エォナ!
エォナの両肩を両手で掴んでみた。
栗色の目がうるうるして、ほっぺが赤くなって、ぽーっとしてる。
「……ひめさま」
うん。
わかってくれない。
998
あなたにおすすめの小説
捨てられた生贄オメガ、魔王城で極上の『巣作り』始めます!~不眠症の魔王様、私のクッションで爆睡して溺愛モードに突入~
水凪しおん
BL
「役立たずのオメガ」として冷遇され、血も涙もない魔王への生贄として捨てられたリノ。
死を覚悟して連れてこられた魔王城は、寒くて硬くて、居住性最悪のブラック環境だった!?
「こんなところで寝られるか!」
極限状態で発動したオメガ特有の『巣作り本能』と、神業レベルの裁縫スキルが火を噴く!
ゴミ同然の布切れをフカフカのクッションに、冷たい石床を極上のラグマットにリフォーム。
すると、不眠症で常にイライラしていた魔王ザルドリスが、リノの作った「巣」のあまりの快適さに陥落してしまい……?
「……貴様、私を堕落させる気か」
(※いいえ、ただ快適に寝たいだけです)
殺されるどころか、魔王様に気に入られ、気付けば城中がリノの虜に。
捨てられた生贄オメガが、裁縫一つで魔王城を「世界一のマイホーム」に変える、ほのぼの逆転溺愛ファンタジー!
身代わりにされた少年は、冷徹騎士に溺愛される
秋津むぎ
BL
第13回BL大賞奨励賞頂きました!
最終17位でした!応援ありがとうございます!
あらすじ
魔力がなく、義母達に疎まれながらも必死に生きる少年アシェ。
ある日、義兄が騎士団長ヴァルドの徽章を盗んだ罪をアシェに押し付け、身代わりにされてしまう。
死を覚悟した彼の姿を見て、冷徹な騎士ヴァルドは――?
傷ついた少年と騎士の、温かい溺愛物語。
【本編完結】異世界で政略結婚したオレ?!
カヨワイさつき
BL
美少女の中身は32歳の元オトコ。
魔法と剣、そして魔物がいる世界で
年の差12歳の政略結婚?!
ある日突然目を覚ましたら前世の記憶が……。
冷酷非道と噂される王子との婚約、そして結婚。
人形のような美少女?になったオレの物語。
オレは何のために生まれたのだろうか?
もう一人のとある人物は……。
2022年3月9日の夕方、本編完結
番外編追加完結。
妹を救うためにヒロインを口説いたら、王子に求愛されました。
藤原遊
BL
乙女ゲームの悪役令息に転生したアラン。
妹リリィが「悪役令嬢として断罪される」未来を変えるため、
彼は決意する――ヒロインを先に口説けば、妹は破滅しない、と。
だがその“奇行”を見ていた王太子シリウスが、
なぜかアラン本人に興味を持ち始める。
「君は、なぜそこまで必死なんだ?」
「妹のためです!」
……噛み合わないはずの会話が、少しずつ心を動かしていく。
妹は完璧令嬢、でも内心は隠れ腐女子。
ヒロインは巻き込まれて腐女子覚醒。
そして王子と悪役令息は、誰も知らない“仮面の恋”へ――。
断罪回避から始まる勘違い転生BL×宮廷ラブストーリー。
誰も不幸にならない、偽りと真実のハッピーエンド。
魔界最強に転生した社畜は、イケメン王子に奪い合われることになりました
タタミ
BL
ブラック企業に務める社畜・佐藤流嘉。
クリスマスも残業確定の非リア人生は、トラックの激突により突然終了する。
死後目覚めると、目の前で見目麗しい天使が微笑んでいた。
「ここは天国ではなく魔界です」
天使に会えたと喜んだのもつかの間、そこは天国などではなく魔法が当たり前にある世界・魔界だと知らされる。そして流嘉は、魔界に君臨する最強の支配者『至上様』に転生していたのだった。
「至上様、私に接吻を」
「あっ。ああ、接吻か……って、接吻!?なんだそれ、まさかキスですか!?」
何が起こっているのかわからないうちに、流嘉の前に現れたのは美しい4人の王子。この4王子にキスをして、結婚相手を選ばなければならないと言われて──!?
BLゲームの展開を無視した結果、悪役令息は主人公に溺愛される。
佐倉海斗
BL
この世界が前世の世界で存在したBLゲームに酷似していることをレイド・アクロイドだけが知っている。レイドは主人公の恋を邪魔する敵役であり、通称悪役令息と呼ばれていた。そして破滅する運命にある。……運命のとおりに生きるつもりはなく、主人公や主人公の恋人候補を避けて学園生活を生き抜き、無事に卒業を迎えた。これで、自由な日々が手に入ると思っていたのに。突然、主人公に告白をされてしまう。
悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?
* ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。
悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう!
せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー?
ユィリと皆の動画をつくりました!
インスタ @yuruyu0 絵も動画もあがります。ほぼ毎日更新!
Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新!
プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!
【新版】転生悪役モブは溺愛されんでいいので死にたくない!
煮卵
BL
ゲーム会社に勤めていた俺はゲームの世界の『婚約破棄』イベントの混乱で殺されてしまうモブに転生した。
処刑の原因となる婚約破棄を避けるべく王子に友人として接近。
なんか数ヶ月おきに繰り返される「恋人や出会いのためのお祭り」をできる限り第二皇子と過ごし、
婚約破棄の原因となる主人公と出会うきっかけを徹底的に排除する。
最近では監視をつけるまでもなくいつも一緒にいたいと言い出すようになった・・・
やんごとなき血筋のハンサムな王子様を淑女たちから遠ざけ男の俺とばかり過ごすように
仕向けるのはちょっと申し訳ない気もしたが、俺の運命のためだ。仕方あるまい。
クレバーな立ち振る舞いにより、俺の死亡フラグは完全に回避された・・・
と思ったら、婚約の儀の当日、「私には思い人がいるのです」
と言いやがる!一体誰だ!?
その日の夜、俺はゲームの告白イベントがある薔薇園に呼び出されて・・・
ーーーーーーーー
この作品は以前投稿した「転生悪役モブは溺愛されんで良いので死にたくない!」に
加筆修正を加えたものです。
リュシアンの転生前の設定や主人公二人の出会いのシーンを追加し、
あまり描けていなかったキャラクターのシーンを追加しています。
展開が少し変わっていますので新しい小説として投稿しています。
続編出ました
転生悪役令嬢は溺愛されんでいいので推しカプを見守りたい! https://www.alphapolis.co.jp/novel/687110240/826989668
ーーーー
校正・文体の調整に生成AIを利用しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる