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だっこ
「じゅーま、しょーかんって、たぃへんな、まほぅ、でしょう?
とっても、むちゅかしぃ。
めーちゃん、こんなとこに、とじこめられて、ひとりきり。
できゆなら、むかしのほんを、ょんで、がんばった?」
聞いた僕に、ぎゅっとメィユが唇を噛む。
「……いけないことかもしれない、しかられるかもしれない、怖かったけど……でも……闇魔法のことを知りたくて……古語なんて、僕にはむつかしくて、わからないのに、闇魔法の本だけは、読めたんだ。だから──」
ふるえるメィユの手が、僕へとのびる。
「……ともだちが、ほしくて……」
こぼれる涙が、僕の頬を濡らした。
ふるえるメィユを、ちいさな前足で抱きしめる。
「ひとりが、さみしぃ、の、あたり、まえだよ。めーちゃん、なんにも、わゆく、ない!」
ぎゅうぎゅうメィユを抱きしめた僕は、ちいさな頭を肉球でぽふぽふした。
「めーちゃん、ひとりで、よく、がんばたね」
「……るーちゃんが来てくれたのは、ほんとに、奇跡だ。
従魔召喚をすると、こわい悪魔が出て、食べられちゃうこともあるって、書いてあった。
──それでも、僕は、ひとりぽっちじゃ、なくなりたくて……」
嗚咽にふるえる肩を、抱きしめる。
「もう、めーちゃんは、ひとりじゃ、ないよ。
ぼくが、いゆ」
やさしくメィユの髪をなでた僕は、埃まみれの本棚を見あげた。
「おふろ、はいゆ、まえに、ほかのも、みてみゆ?」
そう、僕には前世の知識があるので!
埃まみれの書庫を探検するのは、お風呂の前に限るのです!
お風呂の後に埃まみれになったら、泣いちゃう!
「あ、あの、あんまりさわると、バレちゃって、しかられる、かも。
は、はやく出よう、るーちゃん!」
あわあわ僕をうながすメィユに、首をふる。
「とぅの、なかに、あゆの、は、めーちゃんの、すきに、して、いーはず、だよ!」
たぶん!
というか、塔に閉じこめる時点で、大間違いだから!
ぷりぷりする僕のしっぽが、ばふばふして、紅い瞳をまるくしたメィユが声をたてて笑う。
笑ったら、ちょこっと元気が出たみたいだ。
緊張で青かった顔色が、やわらかな朱に染まる。
「……あの、ほんとは、ないしょで、あの、いちおう見てみたんだけど、僕に読めたのは、闇魔法の本だけだったんだ。ぜんぶ、古語みたいで、背表紙を読むことさえ、むつかしくて」
「なゆほろ? めーちゃん、だっこ」
前足をのばしたら、ふしぎそうにメィユが瞬いた。
「? う、うん」
僕を抱きあげてくれたメィユの腕のなかから、僕は本棚に並んだ本の背表紙を見つめる。
そう、ちょっと背丈が足りなかったのです。
めーちゃんのおかげで、よく見えるよ!
「いしぇかい、てんせぃ、ちーと、こぅりん!」
前足を掲げてみた!
「しゅてたしゅ、おぷん!」
……………………………………。
…………………………。
………………。
何も起こらなかった!
「ふにに」
むうっと顔をしかめた僕は、本棚の背表紙を見つめる。
集中する。
いでよ、異世界転生チート──!
キュアァ──っと光があふれて、カッと目が開いて、読めるように──…………な、ならなかった!
………………ちょっと待って。
異世界転生って言えば言語理解じゃないの!?
涙目になっちゃった!
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