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……え……?
…………………………。
待って?
ラザさまが、俺の唇に、ぶどうを押しこんだ。
これは
『レイは、俺のもの』
同意するなら、喰え。
拒むなら、吐け。
そ、そういう、ことだった……?
そして、俺は、食べました。
皮も、しっかり、食べました。
と、いうことは……?
『俺は、あなたのものです』
宣言したって、いうこと──!?
きゃ──!
は、はははは、はずかしい……!
え、ちょっと待って、めちゃくちゃ、はずかしいんですけど……!
ほっぺが、燃える!
て、帝王陛下じゃない人に、そ、そんなこと言っちゃって、よ、よかったのかな……?
俺と国、飛ばない……?
カタカタしちゃう──! だけじゃないんだよ!
ラザさまの唇に、ぶどうを押しこんじゃった──!
そ、そそそそそれって、
『ラザさまは、俺のもの』
同意するなら、食べてください。
ちがうなら、拒んでください。
そ、そそそ、そういうことを、言ったっていうこと……?
て、帝王陛下の、弟君に──?
そ、そそそそそそそして、ラザさまは、た、たたたたた食べ、た…………!?
『俺は、レイのもので、いーよ』
って、言ってくれたっていうこと……?
それは、ヤヤさん、のけぞる。
爆速で走ってくる。
わかる──!
じゃなかったぁあ──!
「も、もももももも、申しわけございません──!
し、知らぬことは、罪にございます。
わ、わたくしは、なんという無礼を──!」
床につきそうなほど、膝を折り、胸に手をあてる。
メゼア帝国と属国で、心からの最大限の謝罪を表す敬礼だ。
俺も、国も、飛んじゃうよ──!
ぼろぼろ泣きそうな俺に、敬礼を解くよう、かるく手をあげたラザは首をふる。
「知らぬのだろうと、わかっていた。からかっただけだ」
くつくつ楽しそうに笑ったラザが、俺の頭をなでようとして、止まる。
忌々しそうに、髪飾りをにらんだ。
「外せ。刺さる。
ヤヤ」
鋭い視線に跳びあがったヤヤは、うやうやしく膝を折る。
「か、かしこまりました」
しゃっとヤヤが俺の傍まで来てくれる。
素早い動きに流れる、ひとつに結ばれた、つやつやの闇の髪まで洗練されて、闇の瞳が心配そうに俺の顔をのぞきこむ。
「おそれいります、レイさま、髪飾りにふれてお外ししても、よろしいでしょうか?」
あまりのヤヤのうるわしさに見とれちゃって、ちょっと反応が遅れた。
こう、所作の綺麗な、敬意と恭順をもって働いてくれる従僕さんを、はじめて見たよ!
うちの従僕、鼻息で『空気椅子しろ』だからね。いちおう、あるじを残して、帰っちゃうからね!
──すごいなあってヤヤさんに、うっとりしていたら、ラザさまの視線に、ぷっすり貫かれた気がした。
刺さる髪飾りに、大変ご立腹みたいだよ。
危ないものをつけてきて、ごめんなさい!
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