おひめさまな俺、帝王に溺愛される

  *  ゆるゆ

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……え……?




 …………………………。

 待って?


 ラザさまが、俺の唇に、ぶどうを押しこんだ。

 これは

『レイは、俺のもの』

 同意するなら、喰え。
 拒むなら、吐け。

 そ、そういう、ことだった……?


 そして、俺は、食べました。
 皮も、しっかり、食べました。

 と、いうことは……?

『俺は、あなたのものです』

 宣言したって、いうこと──!?

 きゃ──!

 は、はははは、はずかしい……!
 え、ちょっと待って、めちゃくちゃ、はずかしいんですけど……!

 ほっぺが、燃える!

 て、帝王陛下じゃない人に、そ、そんなこと言っちゃって、よ、よかったのかな……?

 俺と国、飛ばない……?

 カタカタしちゃう──! だけじゃないんだよ!


 ラザさまの唇に、ぶどうを押しこんじゃった──!

 そ、そそそそそれって、

『ラザさまは、俺のもの』

 同意するなら、食べてください。
 ちがうなら、拒んでください。

 そ、そそそ、そういうことを、言ったっていうこと……?

 て、帝王陛下の、弟君に──?

 そ、そそそそそそそして、ラザさまは、た、たたたたた食べ、た…………!?


『俺は、レイのもので、いーよ』

 って、言ってくれたっていうこと……?


 それは、ヤヤさん、のけぞる。
 爆速で走ってくる。

 わかる──!


 じゃなかったぁあ──!


「も、もももももも、申しわけございません──!
 し、知らぬことは、罪にございます。
 わ、わたくしは、なんという無礼を──!」

 床につきそうなほど、膝を折り、胸に手をあてる。
 メゼア帝国と属国で、心からの最大限の謝罪を表す敬礼だ。

 俺も、国も、飛んじゃうよ──!

 ぼろぼろ泣きそうな俺に、敬礼を解くよう、かるく手をあげたラザは首をふる。

「知らぬのだろうと、わかっていた。からかっただけだ」

 くつくつ楽しそうに笑ったラザが、俺の頭をなでようとして、止まる。
 忌々しそうに、髪飾りをにらんだ。

「外せ。刺さる。
 ヤヤ」

 鋭い視線に跳びあがったヤヤは、うやうやしく膝を折る。

「か、かしこまりました」

 しゃっとヤヤが俺の傍まで来てくれる。
 素早い動きに流れる、ひとつに結ばれた、つやつやの闇の髪まで洗練されて、闇の瞳が心配そうに俺の顔をのぞきこむ。

「おそれいります、レイさま、髪飾りにふれてお外ししても、よろしいでしょうか?」

 あまりのヤヤのうるわしさに見とれちゃって、ちょっと反応が遅れた。

 こう、所作の綺麗な、敬意と恭順をもって働いてくれる従僕さんを、はじめて見たよ!
 うちの従僕、鼻息で『空気椅子しろ』だからね。いちおう、あるじを残して、帰っちゃうからね!

 ──すごいなあってヤヤさんに、うっとりしていたら、ラザさまの視線に、ぷっすり貫かれた気がした。
 刺さる髪飾りに、大変ご立腹みたいだよ。

 危ないものをつけてきて、ごめんなさい!





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