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いや
誘惑しないなんて
「いやです」
あなたに、もっと、愛でてほしいから。
思うだけで、顔が熱い。
ラザさまの、おねだりなら、何だって聞いてあげたい俺ですが。
ラザさまの、おしかりは、あんまり聞く気もちが起きないのですよ……!
ごめんなさい!
火照る頬を隠すように
ぎゅう
抱きついたら、紅くなったラザが、抱きしめてくれる。
低く、かすれた声が、耳朶に降る。
「……抱くぞ」
『うれしい』
つむぎかけた言葉は、口のなかで消えた。
……俺は、男です。
打ち明けても、あなたは、そう言ってくれますか……?
──そんなこと、天が裂けても、ありえない。
思った瞬間、泣き崩れそうになる。
──俺は、ずっと、あなたを、だましている。
真実が、胸を刺す。
「レイ?」
心配そうに、ラザが俺の顔をのぞきこむ。
「心配するな。これでも理性は鋼鉄だ。今まで耐えたんだから。あと2年くらい、耐えてやる」
ささやきに、涙を隠すように、うなずいた。
『ごめんなさい、ラザさま。
その2年後は、きっと来ない』
『──俺は、男だから』
言えない言葉が、苦く、苦く、胸を裂いた。
しょんぼりする俺をあやすように、ラザが抱きしめてくれる。
白い天蓋に包まれるたび、あなたとふたりだけの世界になる気がする。
……ほんとは向こうにヤヤや騎士が控えていたりするけれど、見えない、聞こえないふりは、とっても上手になった。
白い寝台で、俺の髪をすきながら、ラザがささやく。
「メゼア帝国は、巨大だ。
歴史も長く、国も大きく、貴族たちは血で繋がって、強大な権力をほしいままにし、不正や収賄、権力をかさに着た差別や暴行や理不尽な徴収が横行している」
俺はラザの陽の瞳を見あげる。
「お父上の代で、腐敗が更に進んだと、うかがいました」
ラザは、うなずく。
「父は……弱い人だったんだと思う。腐敗した貴族たちに立ち向かうより、流されるほうを選んでしまった。
そういう父を見ていたから、俺のような子どもが育ったのだろう。わるいことばかりでは、ないのかもしれん」
ちいさく笑ったラザが、俺の頭をやさしくなでる。
国と国との関係を理解するための基礎知識として、メゼア帝国の歴史も学んだから、知っている。
上位貴族、高位貴族たちを断罪しようとした帝王が暗殺され、高位貴族が産んだ子が王となり、傀儡の帝王が生まれたことさえあったことを。
──今も、ラザさまは刺客を差し向けられている。
「ラザさままで、お命を狙われるなんて……」
唇の端をあげたラザが、俺の額に口づけてくれる。
「命を狙われようと、返り討ちにできる。
自信ができたからこそ、はじめたんだ。
──一掃を」
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ずっと読んでくださって、ほんとうに、ありがとうございます!
近況ボードにもお書きしたのですが『もふもふ獣人に転生したら最愛の推しに溺愛されています』というお話が、第12回BL大賞さまで選んでくださった編集部の皆さま、多大なるご尽力をたまわりました編集者さま、応援してくださった皆さまのおかげで、本になることになりました! イラストは、サマミヤアカザさまです!
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いつもなら、すぐ力尽きて1日1回更新になるのですが(笑)そろそろあやしいですが(笑)まだ何とか2回更新をつづけていられるのは、お忙しいなか、お時間をつくって読んでくださる方、お気に入りに入れてくださった方、いいねやエール、ご感想で応援してくださる方のおかげです!
レイちゃんとラザを書くのは、とっても楽しいのです!(笑)
楽しさが伝わっていたら、ふたりと一緒に、とてもうれしいです。
ずっと読んでくださること、心から、ありがとうございます!
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