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ヴィルの夢
るーるー
かわいい魔物さんな、うさちゃんを怖がらせないように、ノィユはじっと、がまんです!
かりかり
白い歯で角うさちゃんが、おやつを食べてくれる。
かわいい!
どきどきしながら見守っていたら、角うさちゃんが『平気だよ』みたいに振りかえる。
「きゅ」
ちいさな鼻を鳴らした。
様子を見守っていたのだろう、うさちゃんたちが、そろそろ森から出てきてくれる。
「きゅ?」
首をかしげてくれる。
『かわい──! きゃ──!』
もだもだしたいのを、がまんです!
きゅっと拳をにぎって、そうっと見守る。
「きゅ」
おやつ、食べてくれた!
かりかりかり
ふわふわのお耳が、くるりと動く。
「きゅ」
大きな闇色の瞳で、見あげてくれる。
『かわい──!』
ああ、ヴィルといっしょに感動を分かちあいたいよー!
涙目になりながら、次々に来てくれる、うさちゃんたちを見守った。
おやつがなくなったら、補充です!
「るーるーるー」
効果があるのか謎だけど『仲よくしたいよ!』気もちをこめて、声をだす。
うさちゃんたちの耳だけが、一斉に僕のほうを向いた。
『か、かわいい……! ぎゃ──!』
もだえたい!
くねくねしちゃう!
ノィユはまだ3歳でちっちゃくて、何の鍛錬もしていなくて(ヴィルの伴侶なのにごめんなさい……)よわよわなので、うさちゃんも警戒しないのかもしれない。
よわよわだからこそ、いいこともあるよね!
どきどきしながら、うさちゃんたちを見守っていたら、そーっと、そーっとヴィルが極限まで気配を消して近づいてきた。
『ヴィル!』
声をあげたいのを我慢して、ヴィルを手招く。
たぶん視認していなければ、透夜にしか分からないだろうくらい気配を消したヴィルが、そっと近づいた。
気配が消えても、目には見える。
顔をあげたうさぎさんたちが、首をかしげる。
「きゅ?」
「なかよく、したいだけなの」
驚かせないように、そうっと話した。
「今まで、襲われたから攻撃したけど、ヴィルは、ほんとうはそんなこと、したくなかった。
皆と、なかよくしたいって、思ってたんだ」
人間の言葉は通じないかもしれない。
でも、気もちはきっと、伝わる気がする。
──ひどいことをして、ごめんなさい。
もう、ひどいことを、したくない。
なかよくしたい。
祈るような気もちは、きっと。
おやつをのせた手を、そうっとのばす。
「きゅ」
ぽしぽし歩いてきてくれた、うさちゃんが、ノィユの手からおやつを食べてくれた。
『きゃ──!』
飛び跳ねたいのを、我慢する。
ヴィルの手にも、おやつをのせた。
そうっとヴィルが、手を差しだす。
「きゅ」
ふんふんヴィルの手をかいだ、うさちゃんが、ヴィルの手からおやつを食べた。
「──……っ……」
ヴィルの肩が、ふるえる。
「きゅ」
ヴィルの手に、ふあふあの耳がふれる。
「……っ……」
藍の瞳が、揺れる。
のばした腕で、ちいさなヴィルの頭をつつみこむように、抱きしめた。
「よかったね、ヴィル」
ささやいたら、うなずいてくれる。
「……ありがとう、ノィユ」
あなたが、涙の瞳で笑ってくれるなら
僕は、なんだって、できる気がするのです。
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