【完結】伴侶がいるので、溺愛ご遠慮いたします

  *  ゆるゆ

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ヴィルの夢

るーるー




 かわいい魔物さんな、うさちゃんを怖がらせないように、ノィユはじっと、がまんです!

 かりかり

 白い歯で角うさちゃんが、おやつを食べてくれる。

 かわいい!

 どきどきしながら見守っていたら、角うさちゃんが『平気だよ』みたいに振りかえる。

「きゅ」

 ちいさな鼻を鳴らした。

 様子を見守っていたのだろう、うさちゃんたちが、そろそろ森から出てきてくれる。

「きゅ?」

 首をかしげてくれる。

『かわい──! きゃ──!』

 もだもだしたいのを、がまんです!

 きゅっと拳をにぎって、そうっと見守る。


「きゅ」

 おやつ、食べてくれた!

 かりかりかり

 ふわふわのお耳が、くるりと動く。


「きゅ」

 大きな闇色の瞳で、見あげてくれる。


『かわい──!』

 ああ、ヴィルといっしょに感動を分かちあいたいよー!

 涙目になりながら、次々に来てくれる、うさちゃんたちを見守った。

 おやつがなくなったら、補充です!


「るーるーるー」

 効果があるのか謎だけど『仲よくしたいよ!』気もちをこめて、声をだす。

 うさちゃんたちの耳だけが、一斉に僕のほうを向いた。

『か、かわいい……! ぎゃ──!』

 もだえたい!

 くねくねしちゃう!


 ノィユはまだ3歳でちっちゃくて、何の鍛錬もしていなくて(ヴィルの伴侶なのにごめんなさい……)よわよわなので、うさちゃんも警戒しないのかもしれない。

 よわよわだからこそ、いいこともあるよね!

 どきどきしながら、うさちゃんたちを見守っていたら、そーっと、そーっとヴィルが極限まで気配を消して近づいてきた。

『ヴィル!』

 声をあげたいのを我慢して、ヴィルを手招く。

 たぶん視認していなければ、透夜にしか分からないだろうくらい気配を消したヴィルが、そっと近づいた。

 気配が消えても、目には見える。
 顔をあげたうさぎさんたちが、首をかしげる。


「きゅ?」

「なかよく、したいだけなの」

 驚かせないように、そうっと話した。

「今まで、襲われたから攻撃したけど、ヴィルは、ほんとうはそんなこと、したくなかった。
 皆と、なかよくしたいって、思ってたんだ」

 人間の言葉は通じないかもしれない。

 でも、気もちはきっと、伝わる気がする。


 ──ひどいことをして、ごめんなさい。

 もう、ひどいことを、したくない。

 なかよくしたい。


 祈るような気もちは、きっと。


 おやつをのせた手を、そうっとのばす。

「きゅ」

 ぽしぽし歩いてきてくれた、うさちゃんが、ノィユの手からおやつを食べてくれた。


『きゃ──!』

 飛び跳ねたいのを、我慢する。

 ヴィルの手にも、おやつをのせた。


 そうっとヴィルが、手を差しだす。

「きゅ」

 ふんふんヴィルの手をかいだ、うさちゃんが、ヴィルの手からおやつを食べた。


「──……っ……」

 ヴィルの肩が、ふるえる。

「きゅ」

 ヴィルの手に、ふあふあの耳がふれる。

「……っ……」

 藍の瞳が、揺れる。


 のばした腕で、ちいさなヴィルの頭をつつみこむように、抱きしめた。

「よかったね、ヴィル」

 ささやいたら、うなずいてくれる。


「……ありがとう、ノィユ」



 あなたが、涙の瞳で笑ってくれるなら


 僕は、なんだって、できる気がするのです。







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