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ぷにぷに
素行の大変わるい王族さんは、王宮を追いだされて、王都のはずれの離宮にお暮らしだそうです。
魔法学園にも、ほとんど行ってないんだって。
試験も受けないし、公式行事も欠席、公務もしないでおさぼり、言葉遣いも粗暴だし、ちっちゃい子に叫ぶらしい──!
ひ、ひどすぎない……!?
さすが、あんまりよろしくない素行!
こわい……!
でもね。僕もね……!
主人公にいじわるするために、学校に行ってたんだよ。ちっともお勉強しなかったよ!
試験は受けないし、公式行事も欠席だし、公務とか『伴侶(予定)だからしなくていいよね♡』だし、言葉づかいは、ふにゃふにゃだし、よくカイに
「かっこいー! きゃ──♡」
って叫んでるし。
……あれ、僕のことじゃない……?
もしかしなくても、素行わるい仲間じゃない!?
もしかして、もしかしたら、仲よくなれるかも!
「ぼ、僕、もしかしたら、仲よくなれるかも!」
期待に満ち満ちて見あげたロドお兄ちゃんは、吐息した。
「……まあ、昔は、仲よかった気がする。といっても、面識がちょっとあるくらいだと思うけど」
「あ、僕、逢ったことあった? だあれ?」
聞いたらロドお兄ちゃんは凛々しい眉をひそめる。
「……ゆりちゃん、おぼえてない……? ノゥスさまだよ」
………………ノゥスさま……?
「ロド兄──! ゆりちゃんに何てことを聞くんだ……!
今ゆりちゃんは、記憶が混濁して、大変なんだぞ! どうして追い詰めるようなことを言う──!」
騎士の鍛錬をしていたはずのサザお兄ちゃんが、爆速で駆けてきてくれました!
「ご、ごめんね、ゆりちゃん……!
ゆりちゃんのお兄ちゃんな僕ともあろう者が、なんてひどいことを……!」
真っ青になるロドお兄ちゃんに、僕は首をふる。
「へいき、ロドお兄ちゃん。サザお兄ちゃんも、ありがとう」
感謝をこめて、笑ってみました。
いつもより、ほっぺが、ぷにぷにだよ。
「あぁ、ゆりちゃん、なんてかわいい……!」
「天使──!」
お兄ちゃんたちが、僕をぎゅむぎゅむして抱っこしてくれました。
素行のわるい王族さんは、昔に面識がちょこっとあって、魔法学園に通ってるんだから歳も近いみたいです。
「昔から、態度があんまりよくなかったの?」
聞いた僕に、お兄ちゃんたちが顔を見合わせた。
「……いや、最近……?」
「いつからだっけ?」
頭がよくて、記憶力もいいはずのお兄ちゃんたちも、首をかしげてる。
「あんまりご公務にもいらっしゃらないし」
「印象が、粗暴しかない」
おぉ、印象が粗暴……! だいふくな僕と、ちょ、ちょっとだけ、ちがうタイプかな……??
………………。
でも僕、主人公の教科書を隠したり、ノートを破いたり、突き飛ばしたりしたんだよ──!
十分すぎるほど粗暴だよ! 酷いよ! さいていだよ!
ああ、噂が落ちついたら、主人公に『ごめんなさい!』って、ちゃんと謝りに行きたいよ──!
「……僕のほうがひどいから、仲よくできるかも」
すんすん鼻をすする僕を、お兄ちゃんたちが抱っこしてくれる。
「あぁ、ゆりちゃん……!」
「つらいなら、行かなくったって──!」
僕はふるふる首をふる。
「行くの!
光の魔力をもらったら、僕、治癒魔法が使えるようになるかも!」
ちょこっとしたすり傷だけじゃなくて、ささくれも治せるようになるかも!
「何かある前に、わたくしが全力でお守りします!」
うるうるの涙目のカイが、何もない今から剣を抜こうとしてる!
「だ、だいじょうぶだよ、カイ。ちょこっとお話するだけだから」
し、しかし、素行のわるい王族が、だいふくの首にちゅうして、魔力をわけてくれるかな……?
あ、ありえなくない……?
で、でも、カイが泣いちゃうから……!
やれるだけやってみて『大福が何を言ってんだ!』追い払われてから帰ろう!
何にもせずに、カイが泣いてるのを放置するのは、いやなのです!
悪役令息を改めたい、ぷにぷにだいふくユィリとしては!
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