悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?

  *  ゆるゆ

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あれ?

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「セゥスさま、どうなさったのですか!」

 びっくりして叫んだ 僕に、みんながきょとんと瞬いた。

「……ごめん、何でもないんだ。……ユィリは皆から愛されているんだと、うれしくて」

 微笑むセゥスに、ノゥスが凛々しい 眉を しかめる。

「やきもちで、こげこげのくせに」

 ぶっすりしたつぶやきに、セゥスは笑った。

「僕の気もちを代弁してくれるのは、うれしいような 、恥ずかしいような、いたたまれない気がするから、もういいよ。 ありがとう、ノゥス」

 ノゥスの肩を抱くセゥス殿下が、きらきらしてる。 


 顔面偏差値Maxの2人が、いちゃいちゃしてる……!

 尊い──!

 じゃなかった!


「あ、あの、セゥスさまのお腹が真っ暗なんですけど、だいじょうぶですか」

 僕の言葉にセゥスは緑の瞳を見開き、他のみんなは、きょとんとした。

「まっくら?」

 首をかしげるノゥスに、突っこんでみました。

「枕じゃないよ」

「…………………………。」


 …………え……?

 みんなの目が、つめたい!

 きゃ──!


 こほんと咳払いしたカイが首をかしげる。

「さわやかに見せかけても、お腹のなかは真っ暗だと思いますが、ユィリおぼっちゃまがおっしゃっているのは、 そういう意味でしょうか」

 カイの不敬満開 が、止まらないよ……!

 僕を想ってくれるからだと思うと、うれしいんだけど、喜んだら、だめな気がする……!

「セゥスさまは、お腹のなかも 爽やかで、やさしいよ!」

 僕の言葉に、うんうんノゥスとくーちゃんが、うなずいてる。

 首の角度とタイミングがおそろいで、とっても可愛い!

 じゃなかった!

「そうじゃなくて、ふつうにお腹が真っ暗に見えるんですけど」

 …………………………。

 みんなが沈黙した。

「ユィリおぼっちゃま、すぐ医士に見てもらいましょう」

 心配そうに、カイが僕をおひめさま抱っこしてくれようとするのを、あわてて止める。

 おひめさまは、とってもうれしいけど、今じゃない!


「……え、みんなには見えないの?」

 みんなが顔を見合わせた。

「見えねえよ 。いつも通り、かっこいー」

 首をふる、のーすちゃんが、ブラコンです。

「せーにーたま、おなか、ぺったんこなの!」

 くーちゃんが、可愛いです。

「待て、くー。その言い方だと、 俺の腹は、ぷよってるみたいじゃないか。
  俺も、ぺったんこ だぞ!」

 のーすちゃんが、おこです。

「うぅん、おにーたま、むちってしてるの」

 ふるふる首をふる、くーちゃんの、このみではないらしいです。

「待て!  それは筋肉であって脂肪じゃない!
 そこ、めちゃくちゃ大事だから!」

「うぅん、おにーたま、はずかしがりやさんなの」

 背伸びするくーちゃんに、のーすちゃんが、かがんであげてる。
 のーすちゃんの鼻をぷにぷにする、くーちゃんが、かわいいよ!

「ち、違う……!」

 一生懸命 否定する、のーすちゃんと、くーちゃんの漫才が楽しいです。

「わ、わかった、 見せるから!」

 のーすちゃんが腹筋の割れたお腹を見せてくれるみたいです!

 きゃ──!


 きっと、きらきらの目になってる僕の隣で

「いや、 見せなくて結構です。全く、 求められていないので」

 カイのお顔が、スンってしてる。

 のーすちゃんが、涙目になってる!


「え、僕 、めちゃくちゃ見たいです!」

 手をあげた僕に、カイと、セゥスさまと、くーちゃんと、ノクさまの視線が刺さったよ!

 のーすちゃんが、うれしそうに、いそいそ 見せようとしてくれるのを止めたのは、ずっと心配そうに見守ってくれていたノクさまでした。

「だめだよ、ノゥスちゃん!
 お腹を見せるのは、伴侶のために取っておかないと。
 初めての夜に、初めて見せるんだよ!
 きゃ──!」

「きゃ──!」

 ノクさまと一緒に僕も「きゃ──!」しました。

 ふたりで、くねくねだよ!


 皆の目が、なまあたたかくなってる。

 よかった、つめたくなくて!


「ユィリおぼっちゃま、あまり ご興奮なさるとお身体にさわります。お目のことも 心配ですので、 もう帰りましょう」

 カイが疲れた顔になってる!

 うん、じゃあ、 そろそろおいとま……じゃなかった!


「セゥスさま、お腹が痛いんじゃありませんか!」

 聞いた僕に、緑の瞳が丸くなってる。






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