悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?

  *  ゆるゆ

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てっぱん




 ……ラゼン王国……?

 なんか聞いたことある気がする……!

 顔をあげたら、さっとかがんだカイが、僕の耳元で、ささやいてくれました。

「隣国です。ロベナ王国と並ぶほどの小国で、小国仲間として交流が深く、王子殿下もよく留学にいらっしゃいます」

 待って、隣の国のことさえ『なんか聞いたことある』な僕は、やばくない……!?

 悪役令息である前に、人として、もうちょっとお勉強しよう……!

 あんぽんたんの子すぎるのは、切ないよ。

 きゃ──!

 ショックを受ける僕の頭を、なでなでしてくれたカイが続けてくれる。

「お兄さまが王太子殿下ということは、こちらは王立魔法学園に留学中の第11王子ではないかと」

「11!
 それはすごいね!
 お兄ちゃん、すんごい年上だ!」

 おかあさんも、おとうさんも、めちゃくちゃ頑張ったんだね!

 びっくりする僕に、もしゃもしゃさんは首をふる。

「いや、うちの国は、血は全く関係ないんだ。
 国で最も優秀な子が集められ、王子として認定され、王となるための教育を徹底的に施される。
 みんなと血のつながりはないけど、切磋琢磨する同志だよ。
 暗殺とか血生臭いことする国もあるけど、うちはみんなで王を盛りたてて支えようっていう国なんだ。
 僕は11番目に優秀ってことだね!」

 もしゃもしゃさんが、ものすごくうれしそうに胸を張ってる。

「じゃあ一番優秀なお兄ちゃんが、おけがを?」

 心配で眉をさげた僕は、ぽんと手を打つ。

「すんごい治癒魔法を使える、すんごく可愛い男の子がいるよ!
 診てもらえるよう、お願いしてみたらどうかな!」

 なるほど『鉄板BL』だからね。

 平民の主人公は、才能と尽力あふれる治癒魔法と、可愛さと、やさしさで、ロベナ王国王太子殿下の心を、わしづかみ!

 ちょこっとしたすり傷しか治せない、意地悪で、悪役令息な王太子殿下の伴侶(予定)とは契約破棄!

 このまま一気に、らぶらぶになるかと思ったら、隣国ラゼン王国の王太子が、おけがで、ぴんちに──!

 あわてて治療している間に、ふたりの距離が近づいて……?


 あぁ、ふたりの王太子から

「伴侶になってください」

 言われちゃった──!


 どちらを選ぶの、主人公──!

 っていう鉄板だね!

 僕、理解したよ!


 これは悪役令息な僕としては、今までひどいことをした罪滅ぼしの気もちも込めて、最高にかっこいい2人の王太子の間で揺れ動く恋心を、応援するべきなんじゃないかな!


「さっきお話して、今度ケーキ……焼き菓子を一緒に食べる約束をしたんだよ!
 僕、紹介してあげようか?」

 にこにこする僕を止めたのは、カイです。


「ユィリおぼっちゃま……!
 治癒魔法が使える方は、他国では聖人と崇められることもあるほどで、国家の大切な人なのです。時には王族をも、しのぐほどの」

「そ、そうなの……!?」

 僕、ろいやる……!?

 ……いや、僕はちょこっとした、すり傷しか治せなかったね。

 全然ろいやるじゃ、なかったね……!


「王の許可もなく、隣国の王子に独断で紹介なさるのは……!」

 あわあわ止めてくれるカイの向こうで、もしゃもしゃさんが、にっこり笑った。

「とってもうれしいお話を、ありがとう!
 僕、ラゼン王国第11王子、トトラ・11・ラゼンだよ。
 よろしくね、もっちもっち!」

 …………………………。


 自己紹介する前に、もっちもっちと呼ばれてしまいましたよ……?

 僕、そんなに、だいふくなの……?

 きゃ──!




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