75 / 184
てっぱん
しおりを挟む……ラゼン王国……?
なんか聞いたことある気がする……!
顔をあげたら、さっとかがんだカイが、僕の耳元で、ささやいてくれました。
「隣国です。ロベナ王国と並ぶほどの小国で、小国仲間として交流が深く、王子殿下もよく留学にいらっしゃいます」
待って、隣の国のことさえ『なんか聞いたことある』な僕は、やばくない……!?
悪役令息である前に、人として、もうちょっとお勉強しよう……!
あんぽんたんの子すぎるのは、切ないよ。
きゃ──!
ショックを受ける僕の頭を、なでなでしてくれたカイが続けてくれる。
「お兄さまが王太子殿下ということは、こちらは王立魔法学園に留学中の第11王子ではないかと」
「11!
それはすごいね!
お兄ちゃん、すんごい年上だ!」
おかあさんも、おとうさんも、めちゃくちゃ頑張ったんだね!
びっくりする僕に、もしゃもしゃさんは首をふる。
「いや、うちの国は、血は全く関係ないんだ。
国で最も優秀な子が集められ、王子として認定され、王となるための教育を徹底的に施される。
みんなと血のつながりはないけど、切磋琢磨する同志だよ。
暗殺とか血生臭いことする国もあるけど、うちはみんなで王を盛りたてて支えようっていう国なんだ。
僕は11番目に優秀ってことだね!」
もしゃもしゃさんが、ものすごくうれしそうに胸を張ってる。
「じゃあ一番優秀なお兄ちゃんが、おけがを?」
心配で眉をさげた僕は、ぽんと手を打つ。
「すんごい治癒魔法を使える、すんごく可愛い男の子がいるよ!
診てもらえるよう、お願いしてみたらどうかな!」
なるほど『鉄板BL』だからね。
平民の主人公は、才能と尽力あふれる治癒魔法と、可愛さと、やさしさで、ロベナ王国王太子殿下の心を、わしづかみ!
ちょこっとしたすり傷しか治せない、意地悪で、悪役令息な王太子殿下の伴侶(予定)とは契約破棄!
このまま一気に、らぶらぶになるかと思ったら、隣国ラゼン王国の王太子が、おけがで、ぴんちに──!
あわてて治療している間に、ふたりの距離が近づいて……?
あぁ、ふたりの王太子から
「伴侶になってください」
言われちゃった──!
どちらを選ぶの、主人公──!
っていう鉄板だね!
僕、理解したよ!
これは悪役令息な僕としては、今までひどいことをした罪滅ぼしの気もちも込めて、最高にかっこいい2人の王太子の間で揺れ動く恋心を、応援するべきなんじゃないかな!
「さっきお話して、今度ケーキ……焼き菓子を一緒に食べる約束をしたんだよ!
僕、紹介してあげようか?」
にこにこする僕を止めたのは、カイです。
「ユィリおぼっちゃま……!
治癒魔法が使える方は、他国では聖人と崇められることもあるほどで、国家の大切な人なのです。時には王族をも、しのぐほどの」
「そ、そうなの……!?」
僕、ろいやる……!?
……いや、僕はちょこっとした、すり傷しか治せなかったね。
全然ろいやるじゃ、なかったね……!
「王の許可もなく、隣国の王子に独断で紹介なさるのは……!」
あわあわ止めてくれるカイの向こうで、もしゃもしゃさんが、にっこり笑った。
「とってもうれしいお話を、ありがとう!
僕、ラゼン王国第11王子、トトラ・11・ラゼンだよ。
よろしくね、もっちもっち!」
…………………………。
自己紹介する前に、もっちもっちと呼ばれてしまいましたよ……?
僕、そんなに、だいふくなの……?
きゃ──!
1,397
あなたにおすすめの小説
私たちの離婚幸福論
桔梗
ファンタジー
ヴェルディア帝国の皇后として、順風満帆な人生を歩んでいたルシェル。
しかし、彼女の平穏な日々は、ノアの突然の記憶喪失によって崩れ去る。
彼はルシェルとの記憶だけを失い、代わりに”愛する女性”としてイザベルを迎え入れたのだった。
信じていた愛が消え、冷たく突き放されるルシェル。
だがそこに、隣国アンダルシア王国の皇太子ゼノンが現れ、驚くべき提案を持ちかける。
それは救済か、あるいは——
真実を覆う闇の中、ルシェルの新たな運命が幕を開ける。
婚約破棄をしておけば
あんど もあ
ファンタジー
王太子アントワーヌの婚約者のレアリゼは、アントワーヌに嫌われていた。男を立てぬ女らしくないレアリゼが悪い、と皆に思われて孤立無援なレアリゼ。彼女は報われぬままひたすら国のために働いた……と思われていたが実は……。
記憶を無くしたら家族に愛されました
レン
BL
リオンは第三王子で横暴で傲慢で侍女や執事が少しでも気に入らなかったら物を投げたり怒鳴ったりする。家族の前でも態度はあまり変わらない…
家族からも煩わしく思われたていて嫌われていた… そんなある日階段から落ちて意識をなくした…数日後目を覚ましたらリオンの様子がいつもと違くて…
婚約破棄のあと、あなたのことだけ思い出せない
柴田はつみ
恋愛
伯爵令嬢セシリアは、王宮の舞踏会で王太子レイヴンから公開の場で婚約破棄を言い渡され、その場で倒れた。
目覚めた彼女は、礼儀も常識も覚えているのに――ただ一つ、レイヴンだけを思い出せない。
「あなたは、どなたですか?」
その一言に、彼の瞳は壊れた。
けれどレイヴンは何も語らず、セシリアを遠ざける。彼女を守るために、あの日婚約を捨てたのだと告げられないまま。
セシリアは過去を断ち切り、王宮の侍女として新しい生活を始める。
優しく手を差し伸べる護衛騎士アデルと心を通わせていくほど、レイヴンの胸は嫉妬と後悔で焼けていった。
――守るために捨てたはずなのに。忘れられたまま、他の男に笑う彼女を見ていられない。
一方、王宮では“偽聖女”の陰謀と、セシリアの血に眠る秘密が動き出す。
記憶を取り戻せば、彼女は狙われる。取り戻さなければ、二人は永遠に届かない。
これは、忘れてしまった令嬢と、忘れられてなお愛を捨てられない王太子が、もう一度“選び直す”恋の物語。
悪女と呼ばれた死に戻り令嬢、二度目の人生は婚約破棄から始まる
冬野月子
恋愛
「私は確かに19歳で死んだの」
謎の声に導かれ馬車の事故から兄弟を守った10歳のヴェロニカは、その時に負った傷痕を理由に王太子から婚約破棄される。
けれど彼女には嫉妬から破滅し短い生涯を終えた前世の記憶があった。
なぜか死に戻ったヴェロニカは前世での過ちを繰り返さないことを望むが、婚約破棄したはずの王太子が積極的に親しくなろうとしてくる。
そして学校で再会した、馬車の事故で助けた少年は、前世で不幸な死に方をした青年だった。
恋や友情すら知らなかったヴェロニカが、前世では関わることのなかった人々との出会いや関わりの中で新たな道を進んでいく中、前世に嫉妬で殺そうとまでしたアリサが入学してきた。
母は何処? 父はだぁれ?
穂村満月
ファンタジー
うちは、父3人母2人妹1人の7人家族だ。
産みの母は誰だかわかるが、実父は誰だかわからない。
妹も、実妹なのか不明だ。
そんなよくわからない家族の中で暮らしていたが、ある日突然、実母がいなくなってしまった。
父たちに聞いても、母のことを教えてはくれない。
母は、どこへ行ってしまったんだろう!
というところからスタートする、
さて、実父は誰でしょう? というクイズ小説です。
変な家族に揉まれて、主人公が成長する物語でもなく、
家族とのふれあいを描くヒューマンドラマでもありません。
意味のわからない展開から、誰の子なのか想像してもらえたらいいなぁ、と思っております。
前作「死んでないのに異世界転生? 三重苦だけど頑張ります」の完結記念ssの「誰の子産むの?」のアンサーストーリーになります。
もう伏線は回収しきっているので、変なことは起きても謎は何もありません。
単体でも楽しめるように書けたらいいな、と思っておりますが、前作の設定とキャラクターが意味不明すぎて、説明するのが難しすぎました。嫁の夫をお父さんお母さん呼びするのを諦めたり、いろんな変更を行っております。設定全ては持ってこれないことを先にお詫びします。
また、先にこちらを読むと、1話目から前作のネタバレが大量に飛び出すことも、お詫び致します。
「小説家になろう」で連載していたものです。
【完結】長い眠りのその後で
maruko
恋愛
伯爵令嬢のアディルは王宮魔術師団の副団長サンディル・メイナードと結婚しました。
でも婚約してから婚姻まで一度も会えず、婚姻式でも、新居に向かう馬車の中でも目も合わせない旦那様。
いくら政略結婚でも幸せになりたいって思ってもいいでしょう?
このまま幸せになれるのかしらと思ってたら⋯⋯アレッ?旦那様が2人!!
どうして旦那様はずっと眠ってるの?
唖然としたけど強制的に旦那様の為に動かないと行けないみたい。
しょうがないアディル頑張りまーす!!
複雑な家庭環境で育って、醒めた目で世間を見ているアディルが幸せになるまでの物語です
全50話(2話分は登場人物と時系列の整理含む)
※他サイトでも投稿しております
ご都合主義、誤字脱字、未熟者ですが優しい目線で読んで頂けますと幸いです
※表紙 AIアプリ作成
処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜
放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!?
「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」
不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる