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ねむれる
しおりを挟む1週間旅行の準備を、カイが完璧にしてくれました!
僕は、見守ってただけでした。
お手伝いしようとすればするほど
「ゆりさま、ぬいぐるみは3つまでにしましょうね」
「はぅう……!」
お邪魔になりそうだったから。
よわよわな僕……!
「バナナ、おやつに入らないみたいなんだけど、ロベナ王国にバナナがなかった──!」
泣いちゃう僕を、わけもわからずそれでも、ぽふぽふしてくれるカイが、最高にやさしいです!
「バナナがおやつに入らないとか最高じゃない?」
うむうむしてくれるアーシェくん、わかってる!
「じゃあ出発するねー!
僕の馬車に、ついてきてね!」
僕の家の前までお迎えに来てくれたトトラの馬車に続いて、僕の馬車が発進です!
ぽくぽく。
「あぁ、ゆりちゃん──!」
「無事に帰ってくるんだよ──!」
「行かないで──!」
家族のお見送りが、今生の別れみたいだよ……!
不吉で怖いんですけど……!
きゃ──!
「あぁ、じゃあ、俺が護衛でついて行くから」
準備万端なサザお兄ちゃんも来てくれるそうです?
「馬が二頭立ての馬車だから3人ぐらい乗れるだろ……って、なんで4人乗ってるの……?」
サザお兄ちゃんが引きつる前で、のーすちゃんと、アーシェくんが手をあげてる。
「一緒の方が楽しいと思って」
「僕、ひとりぽっちで寂しいんだけど……!」
トトラが泣いちゃうので、みんなでくるくる馬車を移動しながら、ラゼン王国へ行くことになりました。
国の境界には、まあまあ険しい山脈があるんだけど、トンネルが通っているので、馬車で行けるんだよ。
はじめての宿、はじめての外国!
「わ──!」
めちゃくちゃどきどきしたんだけど、オンラインBL小説の世界だからか、ロベナ王国とまあまあよく似ていました……
「交流が深いからね、似ちゃうよね」
残念がる僕の肩を、トトラが、ぽんぽんしてくれる。
言葉も、大陸共通語でおそろいだから、違う街に来たぐらいの感覚なんですけど……!
ちょっとしょんぼり。
「早速で申しわけないけど王宮に向かってもいいかな」
すまなさそうに聞いてくれるトトラに、アーシェくんと一緒にうなずいた。
ほんとうに、王宮なの……?
聞きたくなるくらい、装飾を削ぎ落とした真白な宮だった。
「民のために頑張るのが、ラゼン王国の王族だから」
微笑むトトラが、かっこいい。
アーシェの頬が、ちょっと赤くなってる。
「眠る前はずっと第一王子だったんだけど、起きなくなっちゃったから今は仕方なく2番だった兄ちゃんが第一王子をやってるんだ」
白い王宮の最奥、大きな天蓋付きのベッドが鎮座する部屋に通されました。
眠れる美男だよ──!
きゃ──!
どきどきする僕と一緒に、アーシェもちょっと緊張しているみたいだ。
トトラが薄い白の紗を、そうっと持ちあげる。
「お兄ちゃん、治癒魔法を使える人が来てくれたよ」
やさしく声をかけたトトラが、僕とアーシェを招いてくれる。
そーっとのぞきこんだアーシェが、息をのむ音が聞こえた。
おぉ、これはめちゃくちゃ、かっこいいんじゃ──!
期待ではちきれそうな僕も、そうっとのぞきこむ。
眠れる…………美男…………?
大きな寝台からはみ出てしまいそうな、筋肉がみっしりしているガチムチお兄さんが眠っていた。
アーシェのぴんくの瞳が、うるうるしてる。
確かにとってもかっこいいんだけど、アーシェのすきなタイプではなかったみたいです?
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