悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?

  *  ゆるゆ

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ねむれる

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 1週間旅行の準備を、カイが完璧にしてくれました!
 僕は、見守ってただけでした。

 お手伝いしようとすればするほど

「ゆりさま、ぬいぐるみは3つまでにしましょうね」

「はぅう……!」

 お邪魔になりそうだったから。

 よわよわな僕……!


「バナナ、おやつに入らないみたいなんだけど、ロベナ王国にバナナがなかった──!」

 泣いちゃう僕を、わけもわからずそれでも、ぽふぽふしてくれるカイが、最高にやさしいです!

「バナナがおやつに入らないとか最高じゃない?」

 うむうむしてくれるアーシェくん、わかってる!


「じゃあ出発するねー!
 僕の馬車に、ついてきてね!」

 僕の家の前までお迎えに来てくれたトトラの馬車に続いて、僕の馬車が発進です!

 ぽくぽく。


「あぁ、ゆりちゃん──!」

「無事に帰ってくるんだよ──!」

「行かないで──!」

 家族のお見送りが、今生の別れみたいだよ……!

 不吉で怖いんですけど……!

 きゃ──!


「あぁ、じゃあ、俺が護衛でついて行くから」

 準備万端なサザお兄ちゃんも来てくれるそうです?

「馬が二頭立ての馬車だから3人ぐらい乗れるだろ……って、なんで4人乗ってるの……?」
 
 サザお兄ちゃんが引きつる前で、のーすちゃんと、アーシェくんが手をあげてる。

「一緒の方が楽しいと思って」

「僕、ひとりぽっちで寂しいんだけど……!」

 トトラが泣いちゃうので、みんなでくるくる馬車を移動しながら、ラゼン王国へ行くことになりました。


 国の境界には、まあまあ険しい山脈があるんだけど、トンネルが通っているので、馬車で行けるんだよ。

 はじめての宿、はじめての外国!

「わ──!」

 めちゃくちゃどきどきしたんだけど、オンラインBL小説の世界だからか、ロベナ王国とまあまあよく似ていました……

「交流が深いからね、似ちゃうよね」

 残念がる僕の肩を、トトラが、ぽんぽんしてくれる。

 言葉も、大陸共通語でおそろいだから、違う街に来たぐらいの感覚なんですけど……!

 ちょっとしょんぼり。

「早速で申しわけないけど王宮に向かってもいいかな」

 すまなさそうに聞いてくれるトトラに、アーシェくんと一緒にうなずいた。


 ほんとうに、王宮なの……?

 聞きたくなるくらい、装飾を削ぎ落とした真白な宮だった。

「民のために頑張るのが、ラゼン王国の王族だから」

 微笑むトトラが、かっこいい。
 アーシェの頬が、ちょっと赤くなってる。

「眠る前はずっと第一王子だったんだけど、起きなくなっちゃったから今は仕方なく2番だった兄ちゃんが第一王子をやってるんだ」

 白い王宮の最奥、大きな天蓋付きのベッドが鎮座する部屋に通されました。

 眠れる美男だよ──!

 きゃ──!

 どきどきする僕と一緒に、アーシェもちょっと緊張しているみたいだ。

 トトラが薄い白の紗を、そうっと持ちあげる。

 
「お兄ちゃん、治癒魔法を使える人が来てくれたよ」

 やさしく声をかけたトトラが、僕とアーシェを招いてくれる。
 そーっとのぞきこんだアーシェが、息をのむ音が聞こえた。


 おぉ、これはめちゃくちゃ、かっこいいんじゃ──!

 期待ではちきれそうな僕も、そうっとのぞきこむ。


 眠れる…………美男…………?


 大きな寝台からはみ出てしまいそうな、筋肉がみっしりしているガチムチお兄さんが眠っていた。


 アーシェのぴんくの瞳が、うるうるしてる。

 確かにとってもかっこいいんだけど、アーシェのすきなタイプではなかったみたいです?







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