悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?

  *  ゆるゆ

文字の大きさ
98 / 256

たどりつきました!




 申しわけなくて涙目になった僕は、ようやく、ようやく! きんにくひめの元まで、たどり着きました。

 でもね、僕が倒れてから次の朝だからね。

 そんなにお待たせしてないからね!

 倒れた翌朝にも、ちゃんと来る僕!
 悪役令息じゃなくなる僕です!

 えへん!

 胸を張る、もちもちな僕の心の中がわかったみたいに、セゥスさまが、なでなでしてくれる。


 やさしい。

 うれしい。

 ほっぺが、ふあふあ熱くなって、がんばる気もちが満ちてくる。


 あなたの隣にいられなくなったら、世界が終わってしまうような気がするみたいに。

 あなたが隣で笑ってくれたら、どんなこともできる気がするのです。



「よし、じゃあ今日も頑張っていきます!」

 カイとセゥスさまの魔力をもらったので、たぶん昨日よりは頑張れるはず!

 ──と、思ったのですが。


「……んん、カイ、ちょこっとだけ魔力ください」

 腕を伸ばしたら、とろけるようにカイが笑ってくれる。

「よろこんで」

「待って、ユィリ、魔力なら僕が」

 セゥスさまが補給してくれようとするのを、カイが止めた。

「あなたが光の魔力を補給しすぎて、ユィリさまのなかで魔力の均衡が崩れているのですよ。
 水の魔力を補給できるのは、わたくしだけですから」

 カイが、とってもいい笑顔だ。

 この間から魔力を補給してもらっているので、体の中の魔力のバランスが、ちょこっとわかるようになってきたよ。

 今は光が多めなので、魔力探査がちょっとしにくそうなのです。

 きんにくひめは体積がおっきいので、万全の状態で臨みたいよ!

 またちょこっと頑張って、しゅるしゅる終了とか、さみしすぎるのです。

 がんばる僕!


『いや、魔力もらってるだけじゃん』
『自分の力じゃないじゃん』
『がんばってないじゃん』
 わかってるから言わないで!

 魔力をもらわないと、今の僕はちょっと頑張ることさえできないのです……

 これは一朝一夕には改善できないからね。
 毎日魔力の修練をがんばって、ちょっとずつ使える魔力を増やしていこうと思います。


 ちゅう

 カイが、僕のうなじに口づけてくれる。

 ひんやり冷たくて、ほんのり甘いカイの魔力が満ちてゆく。


「はい、ありがとう!」

 ぎゅう

 小さな頭を押しのけた僕に、目を見開いたカイが、ぶっすりしてる。


「……まだ、ほんのちょっとしか……」

「魔力の均衡が、ちょこっと、わかるようになったんだよ!
 これでとってもいい感じ!」

 ちっちゃな両手を握った僕は、目を閉じる。

「じゃあ、いきます!」

「がんばって、ユィリくん!」

 トトラの応援を背に、僕はきんにくひめの、おっきい手を、そっとにぎった。

 昨日もしてみたから、やり方は、なんとなく身体が覚えてくれている。

 今日はセゥスさまとカイの魔力が補充されたけど、僕の魔力が大きくなったというより、僕の魔力はちっちゃいままなんだけど、補充する魔力タンクが隣に控えてくれてる感じ。

 ほっそい蛇口の上に、ちっちゃいタンクがついてたのが、予備の大きいタンクがつきましたみたいな感じなんだよ。

 出てゆく魔力は細いままなので、きんにくひめの、おっきい身体のなかにも、そうっと入ってゆけるみたいです。


 僕の髪が、こぼれる魔力に舞いあがる。


 あぁ、もったいない──!
 じゃなくて集中です!

 きんにくひめの指から、そうっと僕の魔力を流しこむ。

 昨日、行けたところまでは、僕ときんにくひめの間に道ができたみたいで、すんなり通してもらえた。

 その先を、傷つけないように、驚かせないように、細く細くした魔力で、そうっとたどる。


 カチリ。

 硬い、硬い何かに阻まれるように、僕の魔力が止まった。


「…………あ。……何か、ある……?」


 僕の魔力、ほっそいほっそい、多分この世界で最弱の僕の魔力さえ入る隙間のない、みっちりした何かが、ひめの魔力の道を塞いでる。







────────────────


 ずっと読んでくださって、ありがとうございます!

 やっと、きんにくひめ来ました!(笑)

 というわけで? のーすちゃんの、あいしてる動画が、しっぱいしたのと(笑)ちょっとカイっぽいけどリベンジしたのが(笑)あがっています。

 インスタ @yuruyu0 アイドルっぽいセゥスや、こんなになってたら話が違ってたユィリもいます(笑)
 Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます
 プロフのwebサイトから飛べるので、もしよかったら!

 もうすぐユィリも2か月になります。連載中にこんなにお気に入りに入れていただいたのは、初めてだと思うのです。
 だいふくユィリが、いちばんに……!(笑)
 まだ連載させていただいているのは、お気に入りに入れてくださる方、いいねやエール、ご感想で応援してくださる方、だいふくユィリをずっと見守ってくださる、あなたさまのおかげです。

 ユィリがほんとうにセゥスがだいすきで、ああこれはお気に入り0になるかもと思ったのですが、それでもずっと応援してくださる方、見てくださる、あなたさまに、感謝の気もちでいっぱいです。

 心から、ありがとうございます!




感想 534

あなたにおすすめの小説

あなたの愛したご令嬢は俺なんです

久野字
BL
「愛しい令息と結ばれたい。お前の家を金銭援助するからなんとかしろ」 没落寸前の家を救うため、強制的な契約を結ばれたアディル。一年限りで自分の体が令嬢に変わる秘薬を飲まされた彼は、無事に令息と思いを通じ合わせることに成功するが……

悪役令嬢にされたので婚約破棄を受け入れたら、なぜか全員困っています

かきんとう
恋愛
 王城の大広間は、いつも以上に華やいでいた。  磨き上げられた床は燭台の光を反射し、色とりどりのドレスが揺れるたびに、まるで花畑が動いているかのように見える。貴族たちの笑い声、楽団の優雅な旋律、そして、ひそやかな噂話が、空気を満たしていた。  その中心に、私は立っていた。  ――今日、この瞬間のために。 「エレノア・フォン・リーベルト嬢」  高らかに呼ばれた私の名に、ざわめきがぴたりと止む。

家族に忘れられていた第五王子は愛され生活を送る

りーさん
ファンタジー
 アズール王国の王宮には、多くの王子や王女が住んでいる蒼星宮という宮がある。  その宮にはとある噂が広まっていた。併設されている図書館に子どもの幽霊が現れると。  そんなある日、図書館に出入りしていた第一王子は子どものような人影を見かける。  その時、父である国王にすら忘れられ、存在を知られていなかった第五王子の才覚が露になっていく。

【完結】転生した悪役令息は、お望み通り近付きません

カシナシ
BL
「お前など、愛す価値もない」 ディディア・ファントム侯爵令息が階段から落ちる時見たのは、婚約者が従兄弟を抱きしめている姿。 (これって、ディディアーーBLゲームの悪役令息じゃないか!) 妹の笑顔を見るためにやりこんでいたBLゲーム。引くほどレベルを上げた主人公のスキルが、なぜかディディアに転生してそのまま引き継いでいる。 スキルなしとして家族に『失敗作』と蔑まれていたのは、そのスキルのレベルが高すぎたかららしい。 スキルと自分を取り戻したディディアは、婚約者を追いかけまわすのを辞め、自立に向けて淡々と準備をする。 もちろん元婚約者と従兄弟には近付かないので、絡んでこないでいただけます? 十万文字程度。 3/7 完結しました! ※主人公:マイペース美人受け ※女性向けHOTランキング1位、ありがとうございました。完結までの12日間に渡り、ほとんど2〜5位と食い込めた作品となりました!あああありがとうございます……!。゚(゚´Д`゚)゚。 たくさんの閲覧、イイね、エール、感想は、作者の血肉になります……!(o´ω`o)ありがとうございます!(●′ω`人′ω`●)

人気アイドルの俺、なぜかメンバー全員に好かれてます

七瀬
BL
デビュー4年目の人気アイドルグループ「ECLIPSE(エクリプス)」に所属する芹沢 美澄(せりざわみすみ)は、昔からどこか抜けていてマイペースな性格。 歌もダンスも決して一番ではないはずなのに、なぜかファンからもメンバーからも目を離されない存在だった。 世話焼きな幼なじみ、明るく距離の近い同い年、しっかり者で面倒見のいい年上、掴みどころのない自由人、そして無言で隣にいるリーダー——。 気づけば、美澄の周りにはいつも誰かがいて、当たり前のように甘やかされていく。

記憶を無くしたら家族に愛されました

レン
BL
リオンは第三王子で横暴で傲慢で侍女や執事が少しでも気に入らなかったら物を投げたり怒鳴ったりする。家族の前でも態度はあまり変わらない… 家族からも煩わしく思われたていて嫌われていた… そんなある日階段から落ちて意識をなくした…数日後目を覚ましたらリオンの様子がいつもと違くて…

悪役令息に転生して絶望していたら王国至宝のエルフ様にヨシヨシしてもらえるので、頑張って生きたいと思います!

梻メギ
BL
「あ…もう、駄目だ」プツリと糸が切れるように限界を迎え死に至ったブラック企業に勤める主人公は、目覚めると悪役令息になっていた。どのルートを辿っても断罪確定な悪役令息に生まれ変わったことに絶望した主人公は、頑張る意欲そして生きる気力を失い床に伏してしまう。そんな、人生の何もかもに絶望した主人公の元へ王国お抱えのエルフ様がやってきて───!? 【王国至宝のエルフ様×元社畜のお疲れ悪役令息】 ▼不定期連載となりました。 ▼この作品と出会ってくださり、ありがとうございます!初投稿になります、どうか温かい目で見守っていただけますと幸いです。 ▼こちらの作品はムーンライトノベルズ様にも投稿しております。

悪役令嬢と同じ名前だけど、僕は男です。

みあき
BL
名前はティータイムがテーマ。主人公と婚約者の王子がいちゃいちゃする話。 男女共に子どもを産める世界です。容姿についての描写は敢えてしていません。 メインカプが男性同士のためBLジャンルに設定していますが、周辺は異性のカプも多いです。 奇数話が主人公視点、偶数話が婚約者の王子視点です。 pixivでは既に最終回まで投稿しています。