悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?

  *  ゆるゆ

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第一声!

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 …………うぅん?

 ちょっと待ってね。

 僕、きんにくひめの王子さまじゃないよね。

 よわよわ悪役令息なんだけど……! 今は!

 これから、つよつよ元悪役令息になる予定だけど──!


 僕は、セゥスさまのものだから。


 ごめんね、きんにくひめ!

 じゃなかった!


 おひめさまを目覚めさせるのは、運命の王子じゃないの??

 ……僕でいいのかな……?

 だいじょぶ?

 もしも、万一、僕のちっちゃな治癒魔法が奇跡を起こして、きんにくひめが目覚めて

『ああ、きみが救ってくれたんだね! この筋肉こそ、運命だ! 運命の王子! 伴侶になろう!』とかならない……??


 た、たいへん……!

 僕は、セゥスさまと伴侶に……!

 きゃ──!


 もだもだしたら、セゥスさまが何かを察したらしく、背中から抱っこしてくれる。やさしい。

「ユィリ、だいじょうぶ?」

 やさしい声に、こくこくうなずいた僕は、覚醒した!

 そうだ、べつに治癒士が、運命の王子じゃなくていいよね?

 運命の人が多過ぎて、治癒士さん困っちゃうよね!

 アーシェくん、たいへん!


 というわけで、だいじょぶそうなので、続行です!


 いめーじ!

 こう、お団子に刺さった串が、ぶっとくぶっとくなるイメージ!

 お団子がちっちゃくなって、串が太くなる、いめーじ!

 お団子の欠片が、魔脈に流れないように、串が吸い取ってゆく、いめーじ!

「ふにににに──!」

 がんばる僕の魔力が、手のひらからあふれてく。

 かったい、かったいのに開いた穴が、ちょっとずつ、ちょっとずつ、僕の魔力に食べられるように広がってゆく。


「……はにゃー……ちょっと、きゅーけい……」

「ユィリ、とってもがんばったよ。えらいえらい」

 セゥスさまが、抱っこして、なでなでしてくれる。

 しあわせすぎて、こわい……!

 きゃ──♡


「僕もお手伝いできたらいいのに、ごめんね」

 眉をさげるアーシェくんに、首をふった。

「僕のしてるの、まったく、全然意味がないかもしれないけれど、でもがんばってみるね!」

 カイとセゥスさまに魔力を何度も補給してもらいつつ、かったいコブが、ちっちゃくなるまで、がんばりました!

 コブがちっちゃくなったら、きんにくひめの魔力が流れようとして、コブを流してしまいそうになってる……!

「あー! 待って待って待って! コブの欠片を流しちゃったら、また詰まっちゃう!
 きんにくひめの魔脈の流れを、一時的に止めるには──!?」

 叫んだ僕に、のーすちゃんが、カッと陽の瞳を見開いた。


「衝撃だ! トトラ、ちゅうしろ──!」

 のーすちゃんに叫ばれたトトラが


「むちゅう──!」

 ちゅうしてる……!


 きゃ──!



「今だ、ゆーり!」

 のーすちゃんが仕切ってくれてる!
 ありがとう!

 僕、がんばるよ!


「ふににににぃいいいい──!」

 僕の魔力、最大出力──!


 トトラのちゅうに、びっくりして流れが止まってくれたみたいな、きんにくひめの魔脈の中の、かったいのを包みこむように、膨張する──!

 あんなにかったくて、カツンカツンしていたのが、僕の魔力につつまれて、やさしく溶けてゆく。

 最後の力を振り絞って、かったいのに塞がれて圧迫されていた魔脈の壁を、治癒の緑のひかりでやさしくなでた。


「今までよく耐えてくれて、ありがとうね」

 きらきら、やさしい光が、舞いあがる。


「よし、撤退……!」

 糸みたいに戻った僕の魔力を引きあげる。



 きんにくひめの魔力が、脈打った。

 輝くひかりが、舞いあがる。


 ずっと堰き止められていた、ラディの魔力がめぐりはじめる。


 長い陽のまつげが、かすかに動いた。


「お兄ちゃん……!」


 むちゅう……!

 トトラのちゅうが、止まらない……!


 きんにくひめの、まぶたが、ゆうるり、ひらいてく。




「……トトラ……お兄ちゃんが寝てる間に、ちゅうするのを止めなさい……」


 ひと月ぶりに起きた、きんにくひめが、疲れてる──!







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