悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?

  *  ゆるゆ

文字の大きさ
197 / 214

わすれてた

しおりを挟む



 そうでした!

 僕、セゼァおばあちゃんの脚線美を、たんのうするためじゃなくて、ちょこっとした、すり傷を治しにきたのでした!

「ちょこっとしたすり傷を、見せてください!」

「……あ、ああ」

 上半身も脱いでくれようとしていたセゼァおばあちゃんも『……そういえば、すり傷を治してもらうために呼んだんだったな……』みたいな顔になってる!

 いっしょに忘れてたね。

 でも、忘れるくらい痛くない、ちょこっとしたすり傷なら、すり傷のほうは心配なさそう!

 よかった、よかった。
 いくら、つよつよ治癒士とはいえ、むつかしいケガは大変そうで、心配なのですよ。

 にこにこした僕は、セゼァおばあちゃんの前に、かがむ。

 おばあちゃんは、すねにできた、ちょこっとしたすり傷を見せてくれた。

「これだ。地味に痛い」

「わかる!」

 口から出てた!

 セゼァおばあちゃんが、誇らしそうに、うむうむしてる。

 そう、ちょこっとした、すり傷って、ほんとうに地味に痛くて、地味にしょんぼりするよね。


 そんな、しょんぼりを癒すのが、つよつよ治癒士、もっちもっちなのです!

 ちがった、つよつよ治癒士ユィリなのです!


「ほんとだ、ちょこっと痛そうですね」

 うむうむしたら

「か、かなり痛い! 不敬であるぞ!」

 しかられました!

 そうだよね、ちょこっとした、すり傷も『ツバつけとけば治る』とか言われちゃうと、ほんとに痛いし、せつないし、しょんぼりしちゃうよね。

「わかる!」

 また口から出た僕に、セゼァおばあちゃんが、ちょっとはずかしそうに、うなずいてる。

 セゼァおばあちゃんを、なでなでしたくなった僕は、おばあちゃんの、おひざをぽんぽんして、ちょこっとした、すり傷を観察した。

 ……うみが出たりは、していないみたい?

 海くんじゃなくて、ケガによくできる、あの黄色い、うみね。侵入してきた細菌たちと、僕たちの身体の白血球さんたちが闘ってくれた、尊い遺骸なんだよ……! せつない!

 そう、そのせつない印は、ほぼ細菌感染している感じなので、注意が大事なのです。たぶん!

 ──でも、セゼァおばあちゃんの傷には、ないみたい。

 とかいう以前に!

 セゼァおばあちゃんの、ちょこっとしたすり傷、暗いもやで、もあもあだよ!


『何これ!』

 叫んだら、セゼァおばあちゃんを心配させちゃうので、あわあわ僕は口を覆う。

 足全体を見たときは気づかなかったけど、傷口を魔力をこめた目で見たら、もあもあしてる!


 この間、くーちゃんの、かなり深いすり傷を治癒したけど、あのときは、こんなの見えなかった。
 傷口が見えただけだったよ。

 くーちゃん、体内も、ぴっかぴっかだからね。
 若さ、はじけてる!

 でも、セゼァおばあちゃんの傷口は、うみが出てるのか、どうかさえ見えにくいくらい、くらーい、もやもやが!

「カイ、水魔法の清潔な水で、傷口を洗ってほしいんだけど」

 振り向いたら、すぐにカイがうなずいてくれる。

「かしこまりました。失礼してもよろしいでしょうか、セゼァさま」

 胸に手をあてて膝を折って、礼節もかんぺきなカイに、セゼァおばあちゃんの小鼻がふくらんだ。

「うむ。よい!」

 うれしそうな、ちょっと赤いほっぺだよ。
 尊敬されると、うれしいよね!


「……おばあさま、こんなに分かりやすく、ちょろかった……?」

 セゥスが首をかしげてる。






しおりを挟む
感想 463

あなたにおすすめの小説

夫には好きな相手がいるようです。愛されない僕は針と糸で未来を縫い直します。

伊織
BL
裕福な呉服屋の三男・桐生千尋(きりゅう ちひろ)は、行商人の家の次男・相馬誠一(そうま せいいち)と結婚した。 子どもの頃に憧れていた相手との結婚だったけれど、誠一はほとんど笑わず、冷たい態度ばかり。 ある日、千尋は誠一宛てに届いた女性からの恋文を見つけてしまう。 ――自分はただ、家からの援助目当てで選ばれただけなのか? 失望と涙の中で、千尋は気づく。 「誠一に頼らず、自分の力で生きてみたい」 針と糸を手に、幼い頃から得意だった裁縫を活かして、少しずつ自分の居場所を築き始める。 やがて町の人々に必要とされ、笑顔を取り戻していく千尋。 そんな千尋を見て、誠一の心もまた揺れ始めて――。 涙から始まる、すれ違い夫婦の再生と恋の物語。 ※本作は明治時代初期~中期をイメージしていますが、BL作品としての物語性を重視し、史実とは異なる設定や表現があります。 ※誤字脱字などお気づきの点があるかもしれませんが、温かい目で読んでいただければ嬉しいです。

記憶を無くしたら家族に愛されました

レン
BL
リオンは第三王子で横暴で傲慢で侍女や執事が少しでも気に入らなかったら物を投げたり怒鳴ったりする。家族の前でも態度はあまり変わらない… 家族からも煩わしく思われたていて嫌われていた… そんなある日階段から落ちて意識をなくした…数日後目を覚ましたらリオンの様子がいつもと違くて…

私と子供より、夫は幼馴染とその子供のほうが大切でした。

小野 まい
恋愛
結婚記念日のディナーに夫のオスカーは現れない。 「マリアが熱を出したらしい」 駆けつけた先で、オスカーがマリアと息子カイルと楽しげに食事をする姿を妻のエリザが目撃する。 「また裏切られた……」 いつも幼馴染を優先するオスカーに、エリザの不満は限界に達していた。 「あなたは家族よりも幼馴染のほうが大事なのね」 離婚する気持ちが固まっていく。

初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結保証】

星森 永羽
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。 だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。 しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。 王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。 そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。 地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。 ⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。

伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい

マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。 最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡) 世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。

お決まりの悪役令息は物語から消えることにします?

麻山おもと
BL
愛読していたblファンタジーものの漫画に転生した主人公は、最推しの悪役令息に転生する。今までとは打って変わって、誰にも興味を示さない主人公に周りが関心を向け始め、執着していく話を書くつもりです。

田舎育ちの天然令息、姉様の嫌がった婚約を押し付けられるも同性との婚約に困惑。その上性別は絶対バレちゃいけないのに、即行でバレた!?

下菊みこと
BL
髪色が呪われた黒であったことから両親から疎まれ、隠居した父方の祖父母のいる田舎で育ったアリスティア・ベレニス・カサンドル。カサンドル侯爵家のご令息として恥ずかしくない教養を祖父母の教えの元身につけた…のだが、農作業の手伝いの方が貴族として過ごすより好き。 そんなアリスティア十八歳に急な婚約が持ち上がった。アリスティアの双子の姉、アナイス・セレスト・カサンドル。アリスティアとは違い金の御髪の彼女は侯爵家で大変かわいがられていた。そんなアナイスに、とある同盟国の公爵家の当主との婚約が持ちかけられたのだが、アナイスは婿を取ってカサンドル家を継ぎたいからと男であるアリスティアに婚約を押し付けてしまう。アリスティアとアナイスは髪色以外は見た目がそっくりで、アリスティアは田舎に引っ込んでいたためいけてしまった。 アリスは自分の性別がバレたらどうなるか、また自分の呪われた黒を見て相手はどう思うかと心配になった。そして顔合わせすることになったが、なんと公爵家の執事長に性別が即行でバレた。 公爵家には公爵と歳の離れた腹違いの弟がいる。前公爵の正妻との唯一の子である。公爵は、正当な継承権を持つ正妻の息子があまりにも幼く家を継げないため、妾腹でありながら爵位を継承したのだ。なので公爵の後を継ぐのはこの弟と決まっている。そのため公爵に必要なのは同盟国の有力貴族との縁のみ。嫁が子供を産む必要はない。 アリスティアが男であることがバレたら捨てられると思いきや、公爵の弟に懐かれたアリスティアは公爵に「家同士の婚姻という事実だけがあれば良い」と言われてそのまま公爵家で暮らすことになる。 一方婚約者、二十五歳のクロヴィス・シリル・ドナシアンは嫁に来たのが男で困惑。しかし可愛い弟と仲良くなるのが早かったのと弟について黙って結婚しようとしていた負い目でアリスティアを追い出す気になれず婚約を結ぶことに。 これはそんなクロヴィスとアリスティアが少しずつ近づいていき、本物の夫婦になるまでの記録である。 小説家になろう様でも2023年 03月07日 15時11分から投稿しています。

【本編完結】攻略対象その3の騎士団団長令息はヒロインが思うほど脳筋じゃない!

哀川ナオ
BL
第二王子のご学友として学園での護衛を任されてしまった騎士団団長令息侯爵家次男アルバート・ミケルセンは苦労が多い。 突撃してくるピンク頭の女子生徒。 来るもの拒まずで全ての女性を博愛する軽薄王子。 二人の世界に入り込んで授業をサボりまくる双子。 何を考えているのか分からないけれど暗躍してるっぽい王弟。 俺を癒してくれるのはロベルタだけだ! ……えっと、癒してくれるんだよな?

処理中です...