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はつどう?
正直さんな僕に、王がちいさく笑う。
「他は正しいということだろう。稀代の治癒士を国外に出すのは、大変に残念だが、我らの仕打ちを思えば仕方ないことと思う」
凛々しい眉をさげた王が、胸に手をあてる。
「セゥスと伴侶(予定)契約を結んでほしいと、こちらからお願いしておきながらの破棄、誠に申しわけなかった」
心からの謝罪を表してくれた。
「いつか帰ってきてくれたら、うれしく思う」
微笑んだ王が許可をくれたので、海くんと多紀くんの島に、お出かけです!
「スイカ!」
踊っちゃいそうな僕を寝台に押しこめるのは、セゥスだ。
「だめだよ、ユィリ。海を超えられる体力が戻らないと。今はよく眠って、体力と魔力を戻そうね」
ぽんぽん僕にお布団を着せてくれたセゥスが、海を振りかえる。
「秘境だろうが、僕もついていくから」
断言するセゥスに、のーすちゃんが手をあげる。
「俺も」
さっとカイも手をあげる。
「わたくしも」
「ぼくも! ぼくもいくー!」
両手をあげる、くーちゃんが、かわいーです!
「……うわあ……」
海くんが、行く前から、げんなりしてる!
「いや、クゥスは留守番しようか。船だし、揺れるし、吐くぞ~」
海くんが、こわ~いお顔で、おどしてる!
涙目になった、くーちゃんが、首をふる。
「いや! もっちもっちと、いくもん!
もっちもっちと、はなれたら、ぼく、びょーきに、なっちゃうんだもん!」
ぷっくりふくれる涙目のくーちゃんが、とびきり、かわいー!
「くーちゃん、かわいー!」
抱っこしようとした手を、止められた。
「こら、ゆーり、あまやかすな」
ぺちりと僕の手を阻むノゥスに、僕はぴょこんと跳びあがる。
「のーすちゃんが、僕をしかった!」
のーすちゃんの陽の瞳が、まるくなる。
「……う? あ、ああ、まあ……クゥス関連のことは……」
もごもごしてる。
「ユィリ単独だと無理だよね」
セゥスがちいさく笑う。
「ゆりさまを、しかれるのはセゥスさまくらいでしょう」
吐息するカイに、セゥスの笑みがとろけた。
「ユィリを愛しているから」
ぎゅう
僕を抱っこしてくれるセゥスが、あったかい。
「えへへ。僕も、セゥス、だいすき」
ぎゅう
いい香りのするセゥスを抱っこしたら、後ろでくーちゃんが、ぷっくりふくれた。
「もっちもっち、うわきは、だめなの!」
「いや、クゥスが浮気だから。僕が伴侶(予定)だから」
キリっと宣言するセゥスに、ぷっくりなクゥスが涙目だ。
「ああ、ほら、泣いちゃうから、留守番しよう。な?」
海くんが、なでなでしてあげてる!
「いーやー! ぼーくーもー、いーくー!」
くーちゃんの、だだっこ発動!
「こりゃ!」
凛々しい眉をつりあげるノゥスに、くーちゃんは首をふった。
「おにーたま、ばっかり、ずるぃの! ぼくも、いくの! もっちもっちと、いっしょなの!」
ぎゅうううう
抱き着かれた僕は、眉をさげる。
「僕も、とっても、気もちわるくなったよ。げーげーしちゃうよ」
真実を伝えたら、クゥスが涙目だ!
「あぅう……!」
「それに僕、セゥスといちゃいちゃしちゃうよ」
熱い頬で言ってしまいました……!
「ふぇえ……!」
涙目になったクゥスが、首をふる。
「そ、それでも、もっちもっちと、いく……!」
ちっちゃな両手をにぎるクゥスに、あきらめたように海が笑う。
「わかった。じゃあ、おいで。
つらくなったら、帰してやるから」
ぽわぽわ赤い頬で、海を見あげたクゥスが笑う。
「ぁりがとう、もしゃもしゃ」
「……おい、もしゃもしゃってなんだ!」
切れ長の目をつりあげる海くんが、ちょっと涙目です!
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第11回BL小説大賞にエントリーするために修正と加筆を加え、作者のつぶやきは削除しました。(23'10'20)
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