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すねすね
しおりを挟む獣人仲間にふたたび逢えたリトが、跳びあがって喜んで興奮して万一吐血したらいけないので、テデも一緒に行ってくれることになった。
「ふぇ……テデ、めぃわく、ごめなしあ」
頭を下げるリトに、テデは首を振る。
「ジゼさまとも一緒にいられるんだから、ご褒美だよ!」
胸を叩いて笑ってくれる。
「ぼ、僕もゆく!」
ちっちゃい翼をぱたぱたしながら、レォンが手を挙げる。
微笑んだジゼが頷いて、セバを振り返る。
「護衛として来てくれるか」
「よろこんで」
胸に手をあて腰を折るセバは、家令として完璧なだけじゃなく、護衛としても完璧そうだ!
「何かあったら、すぐ知らせるんだよ。飛んでゆくからね」
ゲォルグがリトとジゼの頭をなでなでなでなでしてくれる。
「あい!」
こくこく頷いたら、赤い頬のジゼが手を握ってくれた。
「では父上、行って参ります」
「気をつけて。セバも」
「行って参ります、わがきみ」
ほほえんだセバがこうべを垂れる。
ゲォルグの指がセバの髪をわしゃわしゃ撫でて、頬を、うなじをなぞって、そっと離れた。
耳まで真っ赤になってるセバが、かわいい。
「今日はサザに乗ってゆこう。最近遠駆けできなかったから、すねていて可哀想だ」
ジゼの言葉に、ぴょこんとリトが跳びあがる。
「リトを転移門まで運んでくれた馬だ。憶えているか」
「あい! おぅましゃん!」
こくこく頷くリトのしっぽが、楽しみと不安にぽふりと揺れた。
前は病気で辛かったのでやさしいお馬さんは乗せてくれたのだと思うけれど、今のリトは元気だ。
馬は賢くて、乗る人の技量がすぐ解るらしい。
あんぽんたんだな、と思われると足を進めてくれないという。
「……僕、あんぽんたんでし……」
お馬さんが駆けてくれる気がしない──!
「何を言う。リトはとてもよく頑張っている。あんぽんたん具合では俺のほうが上だぞ」
笑うジゼの後ろで、セバがうむうむしてる。
否定してほしかったらしいジゼが、しょんもりしてる。
「テデとセバ、レォンさまはどうぞ馬車へ」
リトを抱きあげたジゼが胸を張る。
「ぼ、僕も一緒にお馬さんに乗るのだ!」
しゃっとちっちゃな手を挙げるレォンに、ジゼは首を振った。
「馬が脅えます。強大な魔力は隠しても隠しきれるものではありません。敏感な生き物ですから」
残念そうに告げるものの、リトを抱っこする手が『ふふん』ってしてる。
「くぅう──!」
涙目になるレォンと、うれしそうなジゼを代わる代わる見たリトは、身を引き剥がすように、ほんとは微塵も出たくないジゼの腕の中から飛び降りた。
「リト!?」
あわあわするジゼを後ろに、リトのちっちゃな手が、レォンのちっちゃな頭をなでなでする。
ジゼとふたりきりでお馬さんに乗るのも大変すてきだと思うのですが!
レォンを泣かせたままは、心が痛むのです。
「サザしゃん、お話し、してみましあ!」
「う、うん!」
ぎゅう、とリトの手を握って、涙目で頷くレォンの頬が真っ赤だ。
「……ぶぅ」
すねた唇でふくれるジゼが、世界の至宝だ──!
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