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恋敵?
しおりを挟む「リトを独り占めしようとなさるから、そのような目に」
喉を鳴らしてセバが笑ってる。
ぶすくれたジゼは、ふいと目を逸らした。
「……最近、全然、リトとふたりに、なれない、から……」
ほんのり紅に染まる眦が、尊い──!
思わず拝むリトに、セバが笑う。
伸びたセバの手が、やさしくジゼの頭を撫でた。
「やきもちも、さみしい思いも、胸がぎゅっとするのも、くるしさも、いとしさも、すべて、あなた様の輝きに」
「……父上のように、なれるだろうか」
ちいさな声に、セバが微笑む。
「あなたは、どうか、あなたらしく。
未来のあなたを決めるのは、いつも、あなたです」
瞬いたジゼが、笑う。
「父上が、セバに夢中になる気持ちが、わかる」
シャ──!
光を超える速さで、ゲォルグが現れた!
「セバは私のものだから」
ぎゅうううう
細い腰をゲォルグに抱きしめられたセバが、真っ赤になって顔を覆ってる。
広すぎるジェディス邸の奥にたたずむ森の近くに厩舎があって、馬車を牽いてくれる白馬さんや、ジゼの愛馬のサザや、ゲォルグの愛馬が暮らしてる。
御者さんが厩番も兼ねていて、ムキムキの腕をあげて白い歯で笑ってくれた。
「おはようございます、若! お出かけですか?」
「久しぶりにサザに乗ろうと思って」
ジゼの言葉に、御者さんが眉をあげる。
「すねてやしたぜ。乗せてくれやすかねえ」
にやにやする御者さんにジゼが項垂れた。
「……反省している。時間を見つけて会いに来てはいたが、遠乗りはできなかったからな。ソゾがずっと世話をしてくれていただろう、ありがとう」
ジゼの言葉に、目をちょっとうるっとさせたソゾが胸に手をあてる。
「厩番の俺にも勿体ないお言葉、ありがとうごぜえやす、若」
ガチムチの身体であざやかに礼をすると、とても映える。
ぱちぱち拍手するリトに、目をまるくしたソゾが照れくさそうに笑った。
「おお、リトもサザに乗せてもらうのか。……もしかしてレォンさまも!?」
仰け反るソゾに、リトが手を挙げる。
「僕、お話し、してみゆ、でし!」
「……あー」
ソゾの目が遠くなる。
「だ、だめでしか!」
あわあわするリトと目を合わせるように屈んだソゾは、深く深く頷いた。
「最愛であり半身たる若が、リトばっかり構いに構いに構い倒してるのを、サザはずーっと厩舎でひとりぽっちで、いや周りに馬いるけど、でも気持ちとしてはひとりぽっちで、ずーっと眺めてた訳だよ。若がリトにめろめろしてんのを、延々! 毎日! 気持ちわかる!?」
「あぅあ──!」
めろめろしてるとか幻聴が聞こえたけど、獣人のとってもよい耳でも、聞き間違えることはあると思う! たぶん!
最愛の半身が、ぽっと出てきたよく解らないのに構い倒している憤激大爆発は、最愛の推しが、ぽっと出てきたよく解らない可愛い男の子と溺愛報道が出て号泣うずくまりみたいな感じなのかも!
なら、めちゃくちゃわかる!
「……おうましゃん……ごめなしあ……」
ぺしょぺしょになった耳としっぽで、リトはしょんぼり項垂れた。
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