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寮?
しおりを挟む皆に手を振ったリイは、光都へと戻る。
シリウスがいないので、徒歩だ。
いい鍛錬になると、マラソンの気分で走った。
ルフィスを守ろうと思ったら、延々百キロくらい走れないとね!
……超絶インドアだった前世の自分が聞いたら卒倒しそうだけど、今世の身体はめちゃくちゃ軽い。
剣を振ったり、駆けたり、跳んだりが簡単にできる。
あと、力持ち?
いかつい兄ちゃんをぽこんと吹っ飛ばせるのはじいちゃんのおかげだと思うけど、力も強いみたい。
もしかしてチート? と思うけど、ささやかだな!
創造主のごめんなさいとか、鑑定スキルとか、魔法が使えるとかは何にもない。
「ステータス、オープン!」
指を掲げてみても、何にも出ない。
恥ずかしいだけだ。
さすが残念な異世界転生!
さみしいけど、ルフィスの傍にゆけそうなので、すべてよいことにする。
ああでも、身体能力の割に見た目がそんなにムキムキにならないのも、残念だな!
ほら、いかついと、
「あぁん?」
だけでルフィスを守れそうだから!
そこは悔しいが、仕方ない。
鍛錬鍛錬と思って、全速力で走る、ゆっくり走る、また全速力で走る、を延々繰り返したリイは、思っていたより遥かに早く光都に到着した。
ぴかぴかの光都は、今日も眩しい。
今日も道端にゴミが落ちてない!
毎回確認しちゃうよ。凄いなあ。
王宮への道は、白銀の星がきらめく旗が連なっているので間違いようがない。
聳え立つ白亜の城にあんぐり口を開けたリイは、門を警護している衛士に笑われた。
「王宮見学させてあげたいけど、ごめんね」
すまなそうに眉を下げる衛士に、大事に懐に仕舞った光騎士の徽章を見せる。
「寮に入れると聞いたのですが」
徽章とリイを見つめた衛士は、跳びあがった。
「光騎士さまに、大変な失礼を致しました!
光騎士団の寮は、王宮の右手奥にございます。
あちらの白い建物の裏側となっております!」
ぴしりと敬礼してくれる衛士に、あわあわする。
「いえあの、あ、ありがとう」
ぺこりと頭を下げて、教えてくれた建物へと向かった。
「………………ここ?」
あんぐり、口を開けた。
ぴかぴかに磨きあげられた白い石に、大きく開いたリイの口が映っている。
門扉は金銀で彩られ、中央には白銀の星がきらめいた。
それほど高い建物がない中、5階建ては奮っている。
白い建物は薄汚れてしまいそうなのに、まるで新築みたいな佇まいでぴかぴか光を反射した。
寮ってこう、今にも潰れそうな木造で、雨漏りとかして、寮を取り仕切ってくれるおばちゃんが『おかえりー』とかお玉と一緒に笑ってくれるイメージが…………も、もしかして、前世は相当年寄りかも!
「あのう、すみません、この間の至光騎士戦で優勝したリイです。
光騎士の寮ってこちらでしょうか……?」
おっかなびっくり顔を出した。
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