僕の、しあわせ辺境暮らし

  *  ゆるゆ

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しゅごい!




 ぼうぜんとムニャが、降りつもる大量の雪を見つめる。

「……ゆ、雪を……? しまう……?」

 僕は、こっくり、うなずいた。

「むーちゃんが、ゆき、なぃなぃ、できたら、ゆきかき、しなくて、いーの!」

 星のきらめく夜の瞳が、まるくなる。

「な、なるほど……! ぽて、天才だね!」

 抱っこしてくれたら、笑顔がこぼれた。

「えへへ。やてみゆ?」

「やってみよー!」

 元気に拳をかかげたムニャが、沈む夕日に落ちる雪の影にふれる。

 シャ──!

「おぉおおおお──!」

「むーちゃん、しゅごい!」

 跳びあがって拍手した。

 お家の軒下の雪が、なくなったよ!

 しゅごい!

「さしゅが、むーちゃん!」

 ぱちぱち拍手しながら、くるくる踊る僕に、照れくさそうな朱い頬でムニャが笑う。

「……これ、出せるのかな……?」

 ムニャの指が、影のなかで、ひらめく。

 ドサドサドサァア──!

「おぉおおお!」

 お家の前に、巨大な雪だるまができました!

「むーちゃん、しゅごい! かっこいー!」

 まるくなった夜の瞳が、とろける。

「えへへへへ」

 朱い頬で、うれしそうに笑ってくれるむーちゃんが、とびきり、かわいーです!


「むーちゃんの、おかげで、ぉてて、つめたぃ、なぃなぃ、なの。ありがとぅ、むーちゃん」

 ちべたいお手々で抱きしめたら、ムニャが笑う。

「ぽての役に立てて、うれしい」

 ぎゅう。

 抱きしめてくれたら、鼓動が跳ねる。

「ぼく、ぼくも! むーちゃんの、やくに、たちたぃ、の!」

「何にもしてくれなくても、ぽては、ここにいてくれるだけで、僕はとっても、しあわせだよ」

 やさしく頭をなでてくれるムニャを見あげて、笑う。

「僕と、むーちゃん、いっしょの、きもちね」

 おでこを、くっつけて笑ったら、地平線が紅く染まる。

「あわわ! いしょが、にゃいと……!」

 あったかいムニャの腕のなかから抜けだした僕は、雪のなくなった冷たい地面を探した。
 枯れてしまった草も多いけれど、なかには緑のまま、がんばっている草がある。

 家の近くに生えていて、雑草みたいに扱われて、あまり見向きもされないけれど、とても香りのよい草がある。
 ぎざぎざの葉で、裏はほんのり白い。
 ふわふわの毛が生えたような、子どもたちには、ふわふわ草と呼ばれる草だ。

 水はすくなめ、ひかげがすきで、風は苦手。ひっそり、どこの家のお庭にも生えていて、とてもよい香りで辺りを清めてくれる。

「ふあふあ……ふぁふぁ……」

 ちいさな手で、雪に濡れた地面を探す。
 ちいさな指が、ふあふあにふれた。

「あ、あった! むーちゃん! こりぇ!」

 お家の前にできた、大きな雪だるまを、雪だるまっぽくしているムニャに叫んだら、あわあわムニャが駆けつけてくれる。

「ぽて、すごい!」

 つめたく、真っ赤になった手で、ムニャがほめてくれる。
 熱い頬で、僕は地面に生えている草をなでた。

「いたく、して、ごめんな、しゃい。
 ちょとだけ、くだしゃい」

 ちいさな指で、そうっとつまむ。

 きらきらちいさな緑の光が瞬いて、僕の手のなかに、とてもいい香りの草がひと房、きらめいた。

 そうっとムニャへと差しだす。

「むーちゃん、いーにぉいなの」

 僕の手に鼻を近づけたムニャが、目をみはる。

「すごい……! とても香り高いね! かいだことのない香りだ。
 家の横に生えている草とは思えない……」

 ぽかんとするムニャに、熱い頬で笑う。

「ぉにくと、いっしょに、にゆと、ぉいしーって! ……ぼく、たべたこと、なぃ、けど、ちゅくった、こと、あゆ!」

 ちいさな胸をたたいて、笑ったら、ムニャの瞳が泣きだしそうに揺れる。

「これからは、ふたりで一緒に、食べようね」

 ぎゅうぎゅう抱きしめてくれるから。

「あい!」

 ぎゅうぎゅう抱きしめて、笑った。






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