僕の、しあわせ辺境暮らし

  *  ゆるゆ

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しゃいこー?




 チタの講義は、とても分かりやすかった。

 生徒が僕とムニャしかいないからかもしれないけれど、僕が、ちょっと『わかりゃなぃかも』首をかしげると、すぐに分かりやすく言い直してくれる。

 教えてくれたのは、人体のこと、主な病気の症状と薬草のことだけじゃない。

 薬草をどうやって乾燥させて薬にするのか。
 薬草ごとに、使ってもいい上限の重量が決められていて、それを決して越えないこと。

 単体では薬になっても、組みあわさると毒になる薬草があるので、細心の注意を払うこと。
 それぞれの薬草の量は規定内でも、あわせた量が多くなると、毒になってしまうので、薬の総重量は規定を決して越えないこと。

 薬草の調合の仕方、ちいさな布に包む方法、薬草の量り方、天秤の使い方。

「ふにゃ!」

 頭が燃えちゃう!

 あわあわする僕の隣で、薄い木の板に、ていねいに文字を書きつけていたムニャは微笑んだ。

「言われたことは一応ぜんぶ覚えたと思うけれど、書いておいたから、いつでも見直せるよ」

「むーちゃん、いっかぃ、きぃたら、おぼえちゃうの?」

「だいたいは」

 はにかむようにムニャが笑う。

「しゅごぃ!」

 僕と一緒に講士のチタまで拍手してくれた。


「座学は今日でお終いです。明日は実践してみましょう。薬をつくってみましょうね」

「あい!」

 元気にお返事した僕を、チタとムニャの手がなでなでしてくれた。


  



 薬士になる。

 決めたことも、なりたいと思ったことも、嘘じゃない。

 でも、めちゃくちゃ、お勉強だよ……!

「た、たぃへん……!」

 ……ほんとに、僕にできるかな。

 心配になっちゃうくらい、覚えることでいっぱいだよ……!

「……ふにゃ」

 一生懸命書いた、薄い木の板を見直すたびに『こんなに覚えられるのかな……?』くらくらしちゃう……!


 へしゃげそうな僕の頭を、ムニャの手がやさしくなでてくれる。

「僕は細かい使用量を覚えたり、効能を覚えたり、こういうのは得意みたい」

 頭が燃えちゃった僕を抱っこして、ムニャが微笑む。

「僕が、ぽての辞書になる。
 わからないことがあったら、いつでも聞いてもらえるように、がんばるよ」

「だ、だめ……! ぼくも、がんばゆ……!」

 ちっちゃな手をにぎる僕の顔をのぞきこんだムニャが、ささやいた。

「僕は、細かいことが苦手なんだ。薬草を天秤で量ったり、薬をちいさな布に包んだり、そういうのは向いていない。
 でも、ぽては、とっても上手でしょう?」

 僕は首をかしげる。

「そ、かな?」

「とっても。僕は、覚えるのが得意。ぽては、手先が器用。
 得意なことで活躍して、苦手なところを補えばいいんだよ」

 得意なところで、がんばる。
 苦手なところは、たすけてもらう。

「……いぃの……?」

「もちろん!」
 ムニャが、笑ってくれる。


「ぽてと、僕は、得意なところと苦手なところが反対だなんて、最高のふたりだよ!」

「しゃぃこー!」

 燃えるほっぺで飛びあがる僕を、抱っこしてくれるムニャの頬が、ふうわり紅い。


「ふたりで、補いあって、最高のふたりになろう!」

「あい!」


 ふたりで。


 それは、ひとりきりで、がんばるより。

 ずっと、ずっと、どきどきするのです。









 ────────────────


 ずっと読んでくださる方、お気に入りや、いいねや、エールで応援してくださる方、いつもほんとうにありがとうございます!

 自作の絵を動かすならいいのかなと思って表紙にした絵で動画をつくりました!(笑)
 ちっちゃい感じなら、きがるに描けるので、あまりにお気に入りが減ったりポイントが激減しなければ、ちょこちょこ表紙をお描きできるかもしれません?
 
 お話も楽しんでいただけるといいなと思って、ぽて と むーちゃんと一緒に、がんばりますー!



感想 54

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