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そうでした
ぴょこぴょこ踊る僕に、チタがやさしく笑ってくれる。
「実習生が処方すると、薬代が半額になるんだ。薬士が隣で監督で付いているから、ちゃんとした薬を処方してもらえる」
「おぉ!」
半額、しゅごい!
「だからとっても人気でね、たくさんの症例を見て、実際に薬を調合できる」
「おお!」
拍手する僕の隣で、ムニャも微笑む。
「よい制度ですね」
「でしょう。薬士組合に紹介料と監督料を払って、薬草代を引くと、あまり残らなくなっちゃうんだけど、それでもちょこっとは、もらえるよ」
微笑むチタせんせーが、輝いて見える……!
「おぉお……! おべんきょ、しながら、おかね、かしぇげゆ……!
ありがとぅ、チタしぇんしぇー!」
きゅう。
抱きついたら、真っ赤な頬で笑ってくれた。
「基礎講義を受けて、ひと月、実習をがんばって、終了試験に合格できたら、薬士組合認定の薬士になれるよ!」
「おぉお、こぅにん……!」
「これがもらえるよ」
チタ先生の胸で輝く紋章を、うっとり見あげる。
「しゅごぃ!」
熱いほっぺで、拍手する僕の頭を、チタの手がなでなでしてくれる。
お勉強をがんばった、たこの手だ。
「がんばってね、ぽて、ムニャ!」
「あい!」
ちっちゃな拳をにぎる隣で、ちょっと心配そうにムニャが微笑んだ。
「ん? どしたの、むーちゃん」
首をかしげる僕の服のすそを、くいくいムニャが引っぱる。
「ん??」
ちょっと心配そうにムニャが僕を引っぱって、薬士組合を出る。
「ん???」
ぽてぽて歩くムニャに、くいくい、やさしく引っぱられて、やって来たのは近くの薬草組合だ。
「ホーおじいちゃん、大切なお話が!」
そうっとささやくムニャに、目を見開いたホーおじいちゃんが、防音魔導具を起動する。
「ほいほい、どうしたのかの?
魔導具を起動した相談料は、銅貨5枚じゃぞ! いひひひひ!」
楽しそうに目を輝かせるホーおじちゃんに、しゃっとムニャが、おかねをとりだした。
「まいどあり」
にこにこ受けとったホーおじいちゃんの魔導具が起動していることを確かめてから、そうっとムニャが唇を開く。
「このままでは、僕とぽてが、正式な薬士になってしまいます!」
「んん?」
首をかしげるホーおじいちゃんと僕に、ムニャは声をひそめた。
「めざせ、闇なんじゃ……?」
そうっと聞くムニャに、ぴょこんと僕は跳びあがる。
そうでした!
闇薬士になるのでした!
あわあわする僕とムニャに、ホーおじいちゃんが笑う。
「闇っていうのは、まあ、ほら、のう、称号みたいなもんじゃな。
薬士組合の薬士としての紋章は、もらっておいたほうがええ。
ちゃんとした薬士だっていう証明になるからの。
そんで、商売は、闇と」
イヒヒヒヒ。
笑うホーおじいちゃんが、闇っぽい!
あわあわした僕は、白いおひげの、ホーおじいちゃんを見あげる。
「あ、あにょ、あにょ、くしゅし、くみあぃ、と、やくそー、くみあぃ、に、ホーおじいちゃんと、チタしぇんしぇーに、めぃわく、かから、にゃい?」
心配で聞く僕の隣で、ムニャもうなずく。
「そうです、大変なことになったりしませんか」
心配そうに眉をさげるムニャと僕の頭を、ホーおじいちゃんが、なでなでしてくれた。
────────────────
ずっと読んでくださって、ありがとうございます!
追記です。
いろいろ切羽つまってしまって、ストックも尽きてしまって、4月6日の更新はおやすみです、ごめんなさい!
楽しみにしてくださっている方がいらっしゃるのか分かりませんが(笑)遅くなるかもしれませんが、明日は更新できるように、がんばりますー!
いつも見てくださる方、お気に入りや、いいねや、エールやご感想で応援してくださる方、ほんとうにありがとうございます!
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