僕の、しあわせ辺境暮らし

  *  ゆるゆ

文字の大きさ
88 / 91

そうでした




 ぴょこぴょこ踊る僕に、チタがやさしく笑ってくれる。

「実習生が処方すると、薬代が半額になるんだ。薬士が隣で監督で付いているから、ちゃんとした薬を処方してもらえる」

「おぉ!」

 半額、しゅごい!

「だからとっても人気でね、たくさんの症例を見て、実際に薬を調合できる」

「おお!」

 拍手する僕の隣で、ムニャも微笑む。

「よい制度ですね」

「でしょう。薬士組合に紹介料と監督料を払って、薬草代を引くと、あまり残らなくなっちゃうんだけど、それでもちょこっとは、もらえるよ」

 微笑むチタせんせーが、輝いて見える……!

「おぉお……! おべんきょ、しながら、おかね、かしぇげゆ……!
 ありがとぅ、チタしぇんしぇー!」

 きゅう。

 抱きついたら、真っ赤な頬で笑ってくれた。


「基礎講義を受けて、ひと月、実習をがんばって、終了試験に合格できたら、薬士組合認定の薬士になれるよ!」

「おぉお、こぅにん……!」

「これがもらえるよ」

 チタ先生の胸で輝く紋章を、うっとり見あげる。

「しゅごぃ!」

 熱いほっぺで、拍手する僕の頭を、チタの手がなでなでしてくれる。
 お勉強をがんばった、たこの手だ。

「がんばってね、ぽて、ムニャ!」

「あい!」

 ちっちゃな拳をにぎる隣で、ちょっと心配そうにムニャが微笑んだ。



「ん? どしたの、むーちゃん」

 首をかしげる僕の服のすそを、くいくいムニャが引っぱる。

「ん??」

 ちょっと心配そうにムニャが僕を引っぱって、薬士組合を出る。

「ん???」

 ぽてぽて歩くムニャに、くいくい、やさしく引っぱられて、やって来たのは近くの薬草組合だ。

「ホーおじいちゃん、大切なお話が!」

 そうっとささやくムニャに、目を見開いたホーおじいちゃんが、防音魔導具を起動する。

「ほいほい、どうしたのかの?
 魔導具を起動した相談料は、銅貨5枚じゃぞ! いひひひひ!」

 楽しそうに目を輝かせるホーおじちゃんに、しゃっとムニャが、おかねをとりだした。

「まいどあり」

 にこにこ受けとったホーおじいちゃんの魔導具が起動していることを確かめてから、そうっとムニャが唇を開く。

「このままでは、僕とぽてが、正式な薬士になってしまいます!」

「んん?」

 首をかしげるホーおじいちゃんと僕に、ムニャは声をひそめた。

「めざせ、闇なんじゃ……?」

 そうっと聞くムニャに、ぴょこんと僕は跳びあがる。

 そうでした!
 闇薬士になるのでした!

 あわあわする僕とムニャに、ホーおじいちゃんが笑う。


「闇っていうのは、まあ、ほら、のう、称号みたいなもんじゃな。
 薬士組合の薬士としての紋章は、もらっておいたほうがええ。
 ちゃんとした薬士だっていう証明になるからの。
 そんで、商売は、闇と」

 イヒヒヒヒ。

 笑うホーおじいちゃんが、闇っぽい!

 あわあわした僕は、白いおひげの、ホーおじいちゃんを見あげる。

「あ、あにょ、あにょ、くしゅし、くみあぃ、と、やくそー、くみあぃ、に、ホーおじいちゃんと、チタしぇんしぇーに、めぃわく、かから、にゃい?」

 心配で聞く僕の隣で、ムニャもうなずく。

「そうです、大変なことになったりしませんか」

 心配そうに眉をさげるムニャと僕の頭を、ホーおじいちゃんが、なでなでしてくれた。








 ────────────────


 ずっと読んでくださって、ありがとうございます!

 追記です。
 いろいろ切羽つまってしまって、ストックも尽きてしまって、4月6日の更新はおやすみです、ごめんなさい!

 楽しみにしてくださっている方がいらっしゃるのか分かりませんが(笑)遅くなるかもしれませんが、明日は更新できるように、がんばりますー!

 いつも見てくださる方、お気に入りや、いいねや、エールやご感想で応援してくださる方、ほんとうにありがとうございます!



感想 54

あなたにおすすめの小説

一人、辺境の地に置いていかれたので、迎えが来るまで生き延びたいと思います

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
大きなスタンビートが来るため、領民全てを引き連れ避難する事になった。 しかし、着替えを手伝っていたメイドが別のメイドに駆り出された後、光を避けるためにクローゼットの奥に行き、朝早く起こされ、まだまだ眠かった僕はそのまま寝てしまった。用事を済ませたメイドが部屋に戻ってきた時、目に付く場所に僕が居なかったので先に行ったと思い、開けっ放しだったクローゼットを閉めて、メイドも急いで外へ向かった。 全員が揃ったと思った一行はそのまま領地を後にした。 クローゼットの中に幼い子供が一人、取り残されている事を知らないまま

【完結・続編別立】片想いの相手が「そろそろ恋愛したい」と言ったので、用済みの俺はニートになることにしました。

はぴねこ
BL
 高校生の頃、片想いの親友に告白した。  彼はノンケだったから玉砕して友人関係も終わるものだと思っていた。  もしかすると気持ち悪いと軽蔑される覚悟までしていたのに、彼は「今は恋愛をしている時間がないんだ」と自分の夢を語ってくれた。  彼は会社を興した祖父のことをとても尊敬していて、自分も起業したいと熱く語ってくれた。  そして、俺の手を握って「できれば親友のお前には俺の右腕になってほしい」と言われた。  同性愛者の俺のことを気持ち悪いと遠ざけることもせずに、親友のままでいてくれた彼に俺は感謝して、同じ大学に進学して、大学の頃に彼と一緒にゲームを作成する会社を起業した。  あれから二十年間、本当に二人三脚で駆け抜けてきた。  そして、昨年売り出したVRMMOが世界的に大ヒットし、ゲーム大賞を取ったことを祝うパーティーで親友が語った言葉に俺の覚悟も決まった。 「俺もそろそろ恋愛したい」  親友のその言葉に、俺は、長年の片想いを終わらせる覚悟をした。  不憫な拗らせアラフォーが”愛”へと踏み出すお話です。

【16話完結】あの日、王子の隣を去った俺は、いまもあなたを想っている

キノア9g
BL
かつて、誰よりも大切だった人と別れた――それが、すべての始まりだった。 今はただ、冒険者として任務をこなす日々。けれどある日、思いがけず「彼」と再び顔を合わせることになる。 魔法と剣が支配するリオセルト大陸。 平和を取り戻しつつあるこの世界で、心に火種を抱えたふたりが、交差する。 過去を捨てたはずの男と、捨てきれなかった男。 すれ違った時間の中に、まだ消えていない想いがある。 ――これは、「終わったはずの恋」に、もう一度立ち向かう物語。 切なくも温かい、“再会”から始まるファンタジーBL。 お題『復縁/元恋人と3年後に再会/主人公は冒険者/身を引いた形』設定担当AI /チャッピー AI比較企画作品

【完結】Restartー僕は異世界で人生をやり直すー

エウラ
BL
───僕の人生、最悪だった。 生まれた家は名家で資産家。でも跡取りが僕だけだったから厳しく育てられ、教育係という名の監視がついて一日中気が休まることはない。 それでも唯々諾々と家のために従った。 そんなある日、母が病気で亡くなって直ぐに父が後妻と子供を連れて来た。僕より一つ下の少年だった。 父はその子を跡取りに決め、僕は捨てられた。 ヤケになって家を飛び出した先に知らない森が見えて・・・。 僕はこの世界で人生を再始動(リスタート)する事にした。 不定期更新です。 以前少し投稿したものを設定変更しました。 ジャンルを恋愛からBLに変更しました。 また後で変更とかあるかも。 完結しました。

死んだ王妃は二度目の人生を楽しみます お飾りの王妃は必要ないのでしょう?

なか
恋愛
「お飾りの王妃らしく、邪魔にならぬようにしておけ」  かつて、愛を誓い合ったこの国の王。アドルフ・グラナートから言われた言葉。   『お飾りの王妃』    彼に振り向いてもらうため、  政務の全てうけおっていた私––カーティアに付けられた烙印だ。  アドルフは側妃を寵愛しており、最早見向きもされなくなった私は使用人達にさえ冷遇された扱いを受けた。  そして二十五の歳。  病気を患ったが、医者にも診てもらえず看病もない。  苦しむ死の間際、私の死をアドルフが望んでいる事を知り、人生に絶望して孤独な死を迎えた。  しかし、私は二十二の歳に記憶を保ったまま戻った。  何故か手に入れた二度目の人生、もはやアドルフに尽くすつもりなどあるはずもない。  だから私は、後悔ない程に自由に生きていく。  もう二度と、誰かのために捧げる人生も……利用される人生もごめんだ。  自由に、好き勝手に……私は生きていきます。  戻ってこいと何度も言ってきますけど、戻る気はありませんから。

虐げられた令息の第二の人生はスローライフ

りまり
BL
 僕の生まれたこの世界は魔法があり魔物が出没する。  僕は由緒正しい公爵家に生まれながらも魔法の才能はなく剣術も全くダメで頭も下から数えたほうがいい方だと思う。  だから僕は家族にも公爵家の使用人にも馬鹿にされ食事もまともにもらえない。  救いだったのは僕を不憫に思った王妃様が僕を殿下の従者に指名してくれたことで、少しはまともな食事ができるようになった事だ。  お家に帰る事なくお城にいていいと言うので僕は頑張ってみたいです。        

【完結済み】乙男な僕はモブらしく生きる

木嶋うめ香
BL
本編完結済み(2021.3.8) 和の国の貴族の子息が通う華学園の食堂で、僕こと鈴森千晴(すずもりちはる)は前世の記憶を思い出した。 この世界、前世の僕がやっていたBLゲーム「華乙男のラブ日和」じゃないか? 鈴森千晴なんて登場人物、ゲームには居なかったから僕のポジションはモブなんだろう。 もうすぐ主人公が転校してくる。 僕の片思いの相手山城雅(やましろみやび)も攻略対象者の一人だ。 これから僕は主人公と雅が仲良くなっていくのを見てなきゃいけないのか。 片思いだって分ってるから、諦めなきゃいけないのは分ってるけど、やっぱり辛いよどうしたらいいんだろう。

「私に愛まで望むとは、強欲な女め」と罵られたレオノール妃の白い結婚

きぬがやあきら
恋愛
「私に愛まで望むな。褒賞に王子を求めておいて、強欲が過ぎると言っている」 新婚初夜に訪れた寝室で、レオノールはクラウディオ王子に白い結婚を宣言される。 それもそのはず。 2人の間に愛はないーーどころか、この結婚はレオノールが魔王討伐の褒美にと国王に要求したものだった。 でも、王子を望んだレオノールにもそれなりの理由がある。 美しく気高いクラウディオ王子を欲しいと願った気持ちは本物だ。 だからいくら冷遇されようが、嫌がらせを受けようが心は揺るがない。 どこまでも逞しく、軽薄そうでいて賢い。どこか憎めない魅力を持ったレオノールに、やがてクラウディオの心は……。 すれ違い、拗れる2人に愛は生まれるのか?  焦ったい恋と陰謀+バトルのラブファンタジー。