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はじめてのともだち
しおりを挟む決意のちっちゃなユィルを、透夜の瞳がのぞきこむ。
「帝籍を捨て、平民になることになりますよ?」
「私は存在しないことにされた者。帝籍など、元々ない」
自嘲したことさえなかったかのように、ユィルは胸を張る。
「ユィルと呼んでくれ」
ふうわり笑った透夜は、かがんでユィルと目をあわせる。
「よろしく、ユィル」
手を差しだしたら、赤くなった頬で、そっとユィルが透夜の手をにぎる。
「う、うん、トゥヤ」
微笑む透夜に真っ赤になったユィルが、ぎゅっと透夜の手をにぎった。
「わがきみも、貴族籍を捨て、平民になることになります」
ロロァもユィルを真似するように、胸を張った。
「僕、ロロァ!」
くしゃりと笑った透夜が、わしゃわしゃ、ロロァとユィルの頭をなでる。
「では行こう、ユィル、ロロァさま」
「はい!」
透夜と手を繋ぐロロァに、ユィルがぷくりとふくれる。
「……ロロァにだけ、さまがついてる……」
透夜は笑う。
「ロロァさまは、我が主ですから」
真っ赤になるロロァの隣で、ぷくりとユィルがふくれた。
「私は!」
透夜は首をひねる。
「うーん、ともだち?」
「と、ともだち!」
ユィルの頬が、真っ赤になった。
「前世から数えても初めての、ともだち」
照れくさい頬で透夜が笑う。
「わ、私も、は、はじめてだ!」
きらきらの瞳で、ユィルが透夜の手をにぎる。
「と、とーやは、ぼ、僕のなんだから!」
うるうるの涙目で、ぎゅうぎゅう透夜の手をにぎるロロァが、天使だ。
「暗殺人形にされた皆は、すきに生きていいんだけど、このままだとどうしていいか解らんよな。というわけで、俺らと一緒に来る? 感情とか、記憶とか戻ってくるように、俺も一緒に協力するから」
ひとりひとりの手をにぎり、目を見つめて告げる。
こくこくうなずいた皆が、透夜の手をにぎった。
「4、9番、信じ、る」
「おお! 話せるようになったか! でも俺、透夜な。皆にも番号じゃなくて、名前をちゃんとつけような!」
「な、なまえ!」
皆の瞳が、きらきらしてる。
ててれってってって──!
暗殺人形だった孤児12人と、ユィルが仲間になった!
「よし、じゃあ出奔決行──!」
ロロァを前に抱え、後ろにユィルを背負った透夜が、軽々と城壁を跳び越えようとして
バチィイイ────!
「いってぇえエエ──!」
前世と比べ物にならないはず(希望)の顔面が潰れた──!
ちがった!
「ご無事ですか、わがきみ、ユィル!」
おでこをごちんしたらしいロロァが、涙目でうなずいた。
「僕、へいき!」
「わ、私も、問題ない」
ちょっとムチ打ちっぽくなったユィルも、首を押さえてうなずいた。
「……なんか、ある。透明な壁みたいなの。皆は通れる?」
透夜の言葉に、仲間の皆が一斉に城壁を越えようとして、透夜と同じようにバチンと顔からブチ当たった。
「いひゃい」
「痛覚も戻ってよかった」
透夜はちいさく笑う。
暗殺人形だった時は、すべての感情がなくて、感覚さえ遠かった。
自分が重傷を負っていることさえ解らず、指令を果たすために攻撃を続けて死んでしまった仲間が、沢山いる。
12人にまで減ってしまった仲間たちを見つめて、49番だった透夜は唇を噛んだ。
今まで辛かった分も、皆がしあわせになれるよう、力を尽くそう。
そのためにも、脱出だ!
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