103 / 132
おまけのお話
せっかくなので
ぽぽるるぽっぽっぴー!
透夜とよい子の仲間たちは、鳥麺のレシピを手に入れた!
「これさあ、見たことねえよな」
透夜は皆の顔を覗きこむ。
「ない!」
「はじめて食べた」
「うまかったー!」
赤い頬を押さえてくねくねする皆が、天使だ。
「とーや、すごぃ!」
抱きついてくれるロロァは、今日も天使だ。
「ってことは、売れるんじゃね? 皆の食費も、急に増えた魔導士とか暗殺者のおじちゃんたちとかの療養費も、稼げるんじゃね? 元気になったら手伝ってもらえば、事業拡大!」
「おお!」
「トゥヤ、すげえ!」
拍手してくれた。皆がやさしい。
「というわけで、ごはん隊、隊長山吹! お店で出せるような鳥麺を3種類考えて作ってくれ!」
「えぇ、僕!?」
「ごはん隊、隊長補佐、空! 帝都で鳥麺に使えそうな鳥ガラとか、野菜とか、肉とか、色々調達頼む。山吹をたすけて、新しい麺を考えてみてくれ」
「わ、わかった! やってみるよ!」
ぴょこんと飛び跳ねる空の髪が、ふわふわ揺れてる。
かわいい。
「とーや、浮気、だめだから、ね?」
きゅ。
抱きついてくるロロァは、今日もかわいー!
「でっかい蘇芳と、力持ちの木蓮は、机と椅子と作ってもらおっかな。庭に花を植えてさ、机と椅子を並べて、鳥麺のお店。どう? 雨の日はおやすみ!」
「おお!」
「屋根つくるの、大変だからな。たすかる」
店を造れと言われると悲壮な顔をしていた蘇芳と木蓮の顔が緩んだ。
「野菜畑の面倒見てくれてる胡桃と茜は、庭に花を植えて可愛くして、店っぽくしてくれるかな?」
「が、がんばる!」
「やっと役に立てるね!」
手を握りあって飛び跳ねる胡桃と茜に目を剥いた。
「いつも皆を支えてくれてるだろ。何にも言わなくても野菜畑つくって頑張ってくれてるし。いつも感謝してる、ありがとう」
茜と胡桃の目がうるうるして、皆で抱きしめて、皆で笑った。
「よい子の隠密団で一番やさしげな紫苑と菖蒲に、接客を頼みたい!」
「えぇ!? ぼ、僕!?」
「せ、接客なんて、したことないよ!」
「皆したことねえから、だいじょーぶ!」
「えー、とーや、僕じゃないの?」
ふくれる常葉に、透夜は笑う。
「常葉はたぶん、強い人が見たらわかる。ふつうにビビる」
「ひ、ひどい!」
「いや、常葉、よく殺気がダダ漏れてるから」
藤が突っ込んで、柳もこくこく頷いてる。
「机と椅子をつくるだけなら、使えばいいだけだし、ノーリスク! 皆で鳥麺屋、やってみよー!」
「おー!」
というわけで、よい子の鳥麺屋、はじめました!
材料が家畜用の雑穀と鳥ガラなので、原価がめちゃくちゃ安いよ。
天使なロロァが善意で治癒魔法を使ってくれたりするので、病気や怪我で苦しんでる人が来たりするし、タダでご飯をもらおうとたかりにくる人が来るので、売りつけてみた!
「えぇ!? お金とるの!?」
「当たり前ですー」
他の店で食べるのの半額くらいの値段だから、かなり価格破壊だ。
……ほんとはぼったくりだけど。勿論言わない!
「まあ、それくらいなら……」
渋々金を払ってくれた人たちが
「なんだこれ!」
「うま!」
とても喜んでくれて、行列のできる大人気店になりました!
「いやー、隠密団じゃなくて、鳥麺団でもいいな!」
ほくほくの透夜の隣で、皆が顔を見合わせる。
「……僕らにも、まっとうな仕事が、できるんだね」
「暗殺とか、隠密とか、闇に紛れる仕事じゃない、明るい昼にできる仕事が」
息をのんだ透夜は、頭をさげる。
「……ごめん。皆がどんな仕事したいのか、全然聞かずに、勝手に決めてた。これからはちゃんと、ひとりひとり、どんな仕事したいのか、一緒に考えて、ひとりひとりが自立できるように、頑張るから」
目を見開いた皆が首を振る。
「何が向いてるのかも、わからないし」
「どんな仕事があるのか、わからないし」
「ただ、びっくりして」
「僕たちも、できるんだって」
皆の目に、滲む涙を、抱きしめる。
「何だって、できるさ。皆はもう、自由だ!」
泣き笑いの皆を、抱きしめた。
────────────
ずっと読んでくださって、ありがとうございます!
大晦日限定のはずの鳥麺が、メイン事業に……!(笑)
スープパスタみたいで、透夜もロロァも皆も喜んで美味しく食べているみたいです(笑)
元気にしあわせに暮らす透夜とロロァと皆のお話を、今年もちょこちょこ更新できたらなと思います。
いつも心から、ありがとうございます!
あなたにおすすめの小説
【完結】悪役に転生したので、皇太子を推して生き延びる
ざっしゅ
BL
気づけば、男の婚約者がいる悪役として転生してしまったソウタ。
この小説は、主人公である皇太子ルースが、悪役たちの陰謀によって記憶を失い、最終的に復讐を遂げるという残酷な物語だった。ソウタは、自分の命を守るため、原作の悪役としての行動を改め、記憶を失ったルースを友人として大切にする。
ソウタの献身的な行動は周囲に「ルースへの深い愛」だと噂され、ルース自身もその噂に満更でもない様子を見せ始める。
【新版】転生悪役モブは溺愛されんでいいので死にたくない!
煮卵
BL
ゲーム会社に勤めていた俺はゲームの世界の『婚約破棄』イベントの混乱で殺されてしまうモブに転生した。
処刑の原因となる婚約破棄を避けるべく王子に友人として接近。
なんか数ヶ月おきに繰り返される「恋人や出会いのためのお祭り」をできる限り第二皇子と過ごし、
婚約破棄の原因となる主人公と出会うきっかけを徹底的に排除する。
最近では監視をつけるまでもなくいつも一緒にいたいと言い出すようになった・・・
やんごとなき血筋のハンサムな王子様を淑女たちから遠ざけ男の俺とばかり過ごすように
仕向けるのはちょっと申し訳ない気もしたが、俺の運命のためだ。仕方あるまい。
クレバーな立ち振る舞いにより、俺の死亡フラグは完全に回避された・・・
と思ったら、婚約の儀の当日、「私には思い人がいるのです」
と言いやがる!一体誰だ!?
その日の夜、俺はゲームの告白イベントがある薔薇園に呼び出されて・・・
ーーーーーーーー
この作品は以前投稿した「転生悪役モブは溺愛されんで良いので死にたくない!」に
加筆修正を加えたものです。
リュシアンの転生前の設定や主人公二人の出会いのシーンを追加し、
あまり描けていなかったキャラクターのシーンを追加しています。
展開が少し変わっていますので新しい小説として投稿しています。
続編出ました
転生悪役令嬢は溺愛されんでいいので推しカプを見守りたい! https://www.alphapolis.co.jp/novel/687110240/826989668
ーーーー
校正・文体の調整に生成AIを利用しています。
【完結。一気読みできます!】悪役令息に転生したのに、ヒーローもヒロインも不在で、拾って育てた執事が最強なんだが……なんで?!
はぴねこ
BL
前世の弟が好きだったゲームの世界に、悪役令息として転生してしまった俺。
本来なら、ヒロインをいじめ、ヒーローが活躍するための踏み台になる……
そんな役割のはずなのに、ヒーローともヒロインとも出会えない。
いじめる対象すら見つけられない新米悪役令息とか、ポンコツすぎないだろうか?
そんな俺に反して、子供の頃に拾って育てた執事は超優秀で、なぜか「悪役執事スキル」を着実に磨いている。
……いや、違う!
そうじゃない!!
悪役にならなきゃいけないのは俺なんだってば!!!
俺、転生したら社畜メンタルのまま超絶イケメンになってた件~転生したのに、恋愛難易度はなぜかハードモード
中岡 始
BL
ブラック企業の激務で過労死した40歳の社畜・藤堂悠真。
目を覚ますと、高校2年生の自分に転生していた。
しかも、鏡に映ったのは芸能人レベルの超絶イケメン。
転入初日から女子たちに囲まれ、学園中の話題の的に。
だが、社畜思考が抜けず**「これはマーケティング施策か?」**と疑うばかり。
そして、モテすぎて業務過多状態に陥る。
弁当争奪戦、放課後のデート攻勢…悠真の平穏は完全に崩壊。
そんな中、唯一冷静な男・藤崎颯斗の存在に救われる。
颯斗はやたらと落ち着いていて、悠真をさりげなくフォローする。
「お前といると、楽だ」
次第に悠真の中で、彼の存在が大きくなっていき――。
「お前、俺から逃げるな」
颯斗の言葉に、悠真の心は大きく揺れ動く。
転生×学園ラブコメ×じわじわ迫る恋。
これは、悠真が「本当に選ぶべきもの」を見つける物語。
続編『元社畜の俺、大学生になってまたモテすぎてるけど、今度は恋人がいるので無理です』
かつてブラック企業で心を擦り減らし、過労死した元社畜の男・藤堂悠真は、
転生した高校時代を経て、無事に大学生になった――
恋人である藤崎颯斗と共に。
だが、大学という“自由すぎる”世界は、ふたりの関係を少しずつ揺らがせていく。
「付き合ってるけど、誰にも言っていない」
その選択が、予想以上のすれ違いを生んでいった。
モテ地獄の再来、空気を読み続ける日々、
そして自分で自分を苦しめていた“頑張る癖”。
甘えたくても甘えられない――
そんな悠真の隣で、颯斗はずっと静かに手を差し伸べ続ける。
過去に縛られていた悠真が、未来を見つめ直すまでの
じれ甘・再構築・すれ違いと回復のキャンパス・ラブストーリー。
今度こそ、言葉にする。
「好きだよ」って、ちゃんと。
【完結】悪役令嬢モノのバカ王子に転生してしまったんだが、なぜかヒーローがイチャラブを求めてくる
路地裏乃猫
BL
ひょんなことから悪役令嬢モノと思しき異世界に転生した〝俺〟。それも、よりにもよって破滅が確定した〝バカ王子〟にだと?説明しよう。ここで言うバカ王子とは、いわゆる悪役令嬢モノで冒頭から理不尽な婚約破棄を主人公に告げ、最後はざまぁ要素によって何やかんやと破滅させられる例のアンポンタンのことであり――とにかく、俺はこの異世界でそのバカ王子として生き延びにゃならんのだ。つーわけで、脱☆バカ王子!を目指し、真っ当な王子としての道を歩き始めた俺だが、そんな俺になぜか、この世界ではヒロインとイチャコラをキメるはずのヒーローがぐいぐい迫ってくる!一方、俺の命を狙う謎の暗殺集団!果たして俺は、この破滅ルート満載の世界で生き延びることができるのか?
いや、その前に……何だって悪役令嬢モノの世界でバカ王子の俺がヒーローに惚れられてんだ?
2025年10月に全面改稿を行ないました。
2025年10月28日・BLランキング35位ありがとうございます。
2025年10月29日・BLランキング27位ありがとうございます。
2025年10月30日・BLランキング15位ありがとうございます。
2025年11月1日 ・BLランキング13位ありがとうございます。
第13回BL大賞で奨励賞をいただきました。これもひとえに皆様の応援のおかげです。本当にありがとうございました。
悪役令息(Ω)に転生した俺、破滅回避のためΩ隠してαを装ってたら、冷徹α第一王子に婚約者にされて溺愛されてます!?
水凪しおん
BL
前世の記憶を持つ俺、リオネルは、BL小説の悪役令息に転生していた。
断罪される運命を回避するため、本来希少なΩである性を隠し、出来損ないのαとして目立たず生きてきた。
しかし、突然、原作のヒーローである冷徹な第一王子アシュレイの婚約者にされてしまう。
これは破滅フラグに違いないと絶望する俺だが、アシュレイの態度は原作とどこか違っていて……?
処刑されたくない悪役宰相、破滅フラグ回避のため孤独なラスボス竜を懐柔したら番として溺愛される
水凪しおん
BL
激務で過労死した俺が転生したのは、前世でやり込んだBLゲームの悪役宰相クリストフ。
しかも、断頭台で処刑される破滅ルート確定済み!
生き残る唯一の方法は、物語のラスボスである最強の”魔竜公”ダリウスを懐柔すること。
ゲーム知識を頼りに、孤独で冷徹な彼に接触を試みるが、待っていたのは絶対零度の拒絶だった。
しかし、彼の好物や弱みを突き、少しずつ心の壁を溶かしていくうちに、彼の態度に変化が訪れる。
「――俺の番に、何か用か」
これは破滅を回避するためのただの計画。
のはずが、孤独な竜が見せる不器用な優しさと独占欲に、いつしか俺の心も揺さぶられていく…。
悪役宰相と最強ラスボスが運命に抗う、異世界転生ラブファンタジー!
妹を救うためにヒロインを口説いたら、王子に求愛されました。
藤原遊
BL
乙女ゲームの悪役令息に転生したアラン。
妹リリィが「悪役令嬢として断罪される」未来を変えるため、
彼は決意する――ヒロインを先に口説けば、妹は破滅しない、と。
だがその“奇行”を見ていた王太子シリウスが、
なぜかアラン本人に興味を持ち始める。
「君は、なぜそこまで必死なんだ?」
「妹のためです!」
……噛み合わないはずの会話が、少しずつ心を動かしていく。
妹は完璧令嬢、でも内心は隠れ腐女子。
ヒロインは巻き込まれて腐女子覚醒。
そして王子と悪役令息は、誰も知らない“仮面の恋”へ――。
断罪回避から始まる勘違い転生BL×宮廷ラブストーリー。
誰も不幸にならない、偽りと真実のハッピーエンド。