【完結】悪役令息の従者に転職しました

  *  ゆるゆ

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舞踏会編だよ!

だいじょぶ?




 もふもふ獣人の、ちっちゃくて、かわいーリトが、ネメド王国と会話するために、ものすんごい光魔法を使いやがりましたよ──!?

 のけぞる透夜の隣で、よい子の隠密団の皆も、ロロァものけぞってる。かわいい。

 天に光で文字をえがくとか、すごすぎる。
 向こうもやってたけど、あれは魔道具で撃ちあげたっぽかった。魔力の発露がなかったからだ。

 リトは、リアルタイムで空に字を書いてる。

 ……え、光魔法って、こんなこともできるの……?

 あんぐりしながら拍手する透夜と皆に

「おとたま、でし」

 ふあふあなしっぽを、ぽふぽふさせてるんですけど──!


 いやいやいや、いくらお父さんがすんごくて、血を継いでるからって、こんな長文、しかも改行までして読みやすく光魔法を撃ちあげるとか、意味わからない芸当だよ!?

「……精霊さん、あれできる?」

『……できる、けど……魔力消費えぐいよ……あの子、すんごいよ……?』

「だよね?」

「きれい!」

 わがきみが、ぱちぱち拍手して、うれしそうなので、リトもぽふぽふしっぽで、何でもないことみたいに魔力枯渇の気配さえないので、よいことにしました。

 ……こんなちっちゃい獣人のリトが、ものすんごい光魔法を何でもないみたいに繰りだすとか、ドディア帝国、すごい。

 透夜がぽかんとしてる間に、ジゼの言葉をリトが文字で空に撃ちあげて、ネメド王国がドディア帝国の砦の鐘と塔をブチ壊したのは『うるさかった』からだと判明しました。

 闘気で、大気中の水蒸気を凍らせやがりましたよ?
 そんなことして字を書くなんて、どんだけ化け物なの?

 いやふつう壊しても鐘だけじゃない?
 一緒に塔まで斬れちゃうとか、どんだけ化け物なの?

 突っこむところしかないんだけど!


 こちらが先に警鐘を鳴らしたみたいなので、リトがすんごい光魔法で謝ってくれました。
 向こうの敵意も消えたみたいだ。よかった!

 勘違いで殺しあい、だめ、絶対。


 皆が怪我したり傷ついたり死んだりしなくて、ほんとによかった。


 ほ、とちいさく息をつく透夜に、常葉が笑う。

「無傷で一瞬で全滅させるつもりだったくせに」

「予定と結果は違うだろ。万一はいつだって考えないと」

「だから透夜は、僕らの頭なんだね」

 ひとつに束ねた藤色の髪を揺らして、藤が笑う。


「気を抜いたら、だめだからね、とーや」

 きゅ、と抱っこしてくれるわがきみが、一番冷静で、えらいです。かわいい!




 巨大な闇龍レォンさまの闇の翼が、ひとつ、ふたつ羽ばたいたらもう、敵国の戦車が見えてくる。

「わー、魔物が鋼鉄の戦車をひいてるよ」

 突っこみ担当の藤が引きつってる。


「……舞踏会……?」

 いつも冷静な柳の口元まで、ひくひくしてる。


 そうだよ、舞踏会の招待に応じてやってくるのに、鋼鉄の戦車を魔物2頭にひかせるっていうのは、そりゃ『侵略だ──!』ってなるだろ! 考えようよ!

 皆で全力で突っこみたいのを我慢した。


 向こうに戦意も敵意もないのを確認した透夜は、ちっちゃなロロァを抱っこして、うなずいた。

「行きましょう、ジゼさま」

「ああ。リトを頼む」

 ジゼはいつも、リトを警護するように透夜に頼む。


「ジゼしゃま、でし!」

 リトはいつも、ジゼを警護するよう透夜に頼む。


「……なんかもう、可愛すぎて、拝みたくなってきた……」

 きゅんきゅんするよ──!

 なんだこの可愛いふたり!


 ……って、自分も思われたらいいなって思ったけど。

 わがきみの可愛さは天元突破だけど。

 透夜がね。

 可愛さ、たぶん0だからね。

 無理っぽいよ。





 ネメド王国の鋼鉄の戦車から降りてきた化け物みたいに強い騎士は、雪の髪に雪の髭で、もしゃもしゃだった。

 たくましい腕に、ちっちゃくて、精霊さんかと思うほど愛くるしい3歳児を抱えてた。


「………………は…………?」

 あんぐりしたのは、透夜だけじゃないと思う。


 いや、透夜もロロァを抱えてるけど。

 ジゼさまも、リトを抱えてるけど。


 向こう、ぱっと見、おじいちゃんと孫なんだけど──!


 ちっちゃい3歳児が満面の笑みで、見た目おじいちゃんな、えぐ強騎士に抱きつきながら自己紹介してくれました。


「ヴィルの伴侶の、ノィユ・バチルタです♡」


 伴侶だそうですよ……?

 だいじょぶか、ネメド王国……?







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