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だいすき
しおりを挟む「俺以外に、そんな可愛い顔したら、やだ」
紅い眦で、ぎゅうぎゅう抱きしめてくれる陵が、可愛すぎる――!!
「はわわわわ!
陵、かわい――!!」
ぎゅう
思わず抱きしめ返したら、ふわふわ紅い頬で、陵が笑う。
「結芽、だいすき」
とろける漆黒の瞳で囁いてくれた言葉に、鼓動が止まる。
「……っ……」
限界まで瞠った目から、涙が落ちた。
「え、あ、ゆ、結芽?
ごめん、やだった?」
切なく寄せられる陵の眉に、ぶんぶん首を振る。
『だいすき』
誰も、私に言ってくれなかったから。
誰も、私と手を繋いでくれなくて。
誰も、私を抱きしめてくれなくて。
投げつけられる『なんか』に埋もれた。
私は一生、ひとりぽっちで生きていくんだと思ってた。
おひとり様を謳歌しよう!
握る拳は、いつもどこかさみしかった。
ひとりきりが大すきな人もいると思う。
ひとりでいるからこそ輝ける人も、輝いている人もいると思う。
でも私は、誰かに傍にいて欲しくて。
でもいつも、私の手は届かなくて。
諦めと『なんか』ばかりが降り積もった。
嘘でも、お世辞でも、サービスでも、何だってうれしい。
…………ちがう。
『だいすき』
陵が、言ってくれたから。
涙があふれるくらい、うれしい。
泣きじゃくる私を、陵の腕が抱きしめてくれる。
しゃくりあげる肩を、大きなてのひらが撫でてくれた。
「……結芽」
やさしい声が、私の名を呼んでくれる。
あたたかな腕が、包みこむように抱きしめてくれる。
欲しくて、欲しくて、でも決して手に入れなかったぬくもりを、ほんの一瞬でも与えてくれた。
「ありがとう、陵」
あふれる涙と笑ったら、ぎゅうぎゅう、抱きしめられた。
「結芽、めちゃくちゃかわいー。
めちゃくちゃすき」
紅い耳朶でもごもご呟く陵の声が、絢の溜め息に溶ける。
「僕もいるんですけど!」
細い腰に手を当てて叫ばれた私と陵が跳びあがる。
吐息とともに笑った絢は、ぱちりと片目を瞑った。
「おひめさまのために作ったお菓子だから、是非召しあがってくださいね」
「は、はははははい!
あ、ありがとうございます!」
ばしゃんと温泉のなかから立ちあがって頭を下げようとしたら、眩暈がした。
「結芽!」
すぐに陵の腕が抱きとめてくれる。
「大丈夫ですか!?」
覗き込んでくれる絢と、心配そうに支えてくれる陵を見あげる視界が、ぐるぐる回る。
な、何これ……し、視界がぐらんぐらんだよ……
……頭が、くらくらする……
どきどきしてるんじゃなくて、これは……動悸……?
と、いうことは、もしかして
「……の、のぼせたみたい、で、す……」
きゅう
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