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「え、そろそろやめちゃうの? 君、転校して来てからそんなに経ってないよね?」
相も変わらず、学校に来て雫と話す。
と言うか、学校に来て授業に出る以外は雫と話している気がする。
まぁ、雫が居るとほかの誰も近づいて来ないからいいけど。
「まぁ、ここに来ることも俺のわがままだったし。それに……子供が出来たから、家に居て欲しいんだって、啓生さんが」
「そりゃそうだよ……って子ども!? 妊娠してるの!? えっ、この間も聞いたと思うけど学校来て大丈夫? あと、つわりとか」
「まぁ、うん。啓生さんはいいって言ってたし。と言うか、そんな自覚が俺には無いんだけど……でも、検査したから」
「ふぅん? まぁ、気を付けて生活しないとね。まぁ、君を溺愛しているアルファがいるんだから大丈夫だとは思うんだけど」
毎回、雫は溺愛してるアルファって言う。
俺って、そんなに愛されてるように見えるのか。
番のいるオメガだから、そう言われてるだけなのかな?
それとも、風都の居る影響かな?
「元の場所に戻るし、雫には会えなくなるな」
「そう……、まぁ、学校に来れてるだけ珍しいし、番のいるアルファが家の外に自分の番を出してるのはとても珍しいしね。て、考えると君と出会えたこと自体が奇跡だよ」
「そんなもん?」
「そういうものだよ」
そっか、と雫の言葉に納得するけど、番のいるオメガってもしかして希少生物だったりするのかな?
遭遇が稀な感じの。
多分、四方とかそういう家柄の番なら余計なのかも。ドラマの世界なんかだと、よくオメガの若妻とか描かれてたりするから、そんな珍しいものだとは思ってもなかったけど。
「俺って結構、レアキャラだったんだな」
「そうだね。ってか、アルファはオメガの願いを叶えるものだけど、君の番は君にめちゃくちゃ振り回されてるんじゃない? 可哀そうに」
心底、啓生に同情的な雫にえっ、と俺が驚く。
俺の方が啓生に振り回されてる気がする。
と言うか、絶対に俺の方が振り回されてる。
「えっ……、啓生さんを振り回す? 俺が?」
「何で自覚が無いのか不思議なんだけど? まぁ、君のそういうところも好きなんだろうね、君のアルファは」
「そう……なのか? 啓生さんは俺の事かわいいしか言わないから、分かんないけど」
啓生の愛情表現なのか、啓生は俺の事をかわいいしか言わない。
俺としてはかわいくないとずっと言ってるけど。
「自分が愛されてるっていう、のろけ? 僕はのろけ話を聞かされてるの?」
「違うって、俺はただ事実を言ってるだけで」
「ほんっと、そういうところ、やっぱり分かって無いなぁ」
やれやれって言う雫。けど、俺別に分かって無い訳じゃないと思う。
ただ、それがのろけになるって言うのが分からない。
別に、事実が事実なだけで。
啓生の何が好きとか、愛されてるとか言ってるわけじゃないし。
「俺に、恋愛のあれこれを言ったところで分かるわけなくない?」
「何でよ? 君、番でしょうが」
「別に、啓生さんに噛んでくださいって言ったわけでも、噛んでいいよって言ったわけでもないし」
「君は、発情期にでも噛まれたの?」
「いや? 俺、ベータだったし」
啓生と出会った時は、ベータだった。それを、啓生が勝手にオメガに変えたんだ。
それについての責任は一生取り続けてくれるんだけど、啓生はそんな俺を愛してると言うけど、俺には分からない。
啓生が好きなのか、啓生を愛しているのか。
でも、それでも、番は啓生しか居ないから。
「じゃあ、アルファが惚れ込んでるっていうのは間違いないんだけど……君の心の問題じゃない」
「それはそう。てか、俺啓生さんの気持ちなんて考えたことない」
俺、啓生がどうとか考えたことない、かも。
だって、俺が考える前に啓生はずっと俺の事をかわいいって言うし。
ただ時折、宗治郎とかに追い打ちをかけてるとは言われるけど。
「それはそれでどうなの? 番なんだから、思いあってあげなよ」
「……別に、俺が思わなくてもいいと思ってるけど」
「啓生様なら、勝手に咲也様を愛してますので大丈夫ですよ」
くすくすと笑いながら風都が言う。
そんな風都に、雫は余計に眉間にしわを寄せた。かわいい顔が台無しだ。
そして、そう言えば啓生は本当に勝手に俺を愛でているとは思う。
俺が嫌がることはやめてくれるし、俺の希望は叶えようとしてくれるし。
……という事は、俺が雫に会いたいとか言ったらどうにかしてくれそう?
「その表現もどうなの? 勝手に愛してるって……そりゃ、恋とは違って愛は一方通行でも成立するけど」
「えぇ、ですが事実ですので。啓生様の場合、咲也様が喜べば良し、そうでなくても構わないのです」
「これだからアルファってやつは……気を付けるんだよ? 嫌なことは嫌って言わないとだめなんだからね」
「嫌なことは嫌、か……俺、言ってる気がするけど」
「そうですね。啓生様はどんな咲也様も愛しておりますので、嫌と言われる咲也様もそれはそれは愛でておいでです」
嫌って言った時だって、かわいいっ、て大興奮だった気がする。
啓生って俺の言葉で傷ついたりするのかな?
いや、でも啓生も人間だから傷つくか、さすがに。
うん、発言には気を付けよう。
「啓生さんって、何がうれしいかな」
「番の話? なにがって……君の話を聞いてる限りは、君から何されても嬉しそうだけど?」
「俺を番に、オメガにしたのが啓生さんだから、好きとか愛してるとか、そんなあやふやで分かんない事言ったことないけど、気持ちが無くてもうれしいか?」
「気持ちが無いとか言い切っちゃう辺り、すごいよね君」
雫はさっきから呆れた顔しかしてない。
たぶん、俺がオメガとしては有り得ないことだらけなんだろう。けど、これが俺だからどうしようもないけど。
と言うか、好きとか分からなくない?
俺は、啓生に囲われたけどアルファとオメガじゃないと、監禁と変わらないし。
啓生とは会ったばっかりだし。
でも、今は啓生が俺の全てにはなってる。アルファとオメガだから、番だしそれは仕方ないのかもしれない。
「啓生様なら、咲也様に何を言われてもお喜びになられるので、何かを意識する必要は何も無いかと思いますよ」
「そう? 啓生さんって難しいね」
「難しいのは君の頭の中だよ。一体どうしたら、そんな発想になるのか僕が知りたいよ」
「んー? そう?」
俺って、そんな複雑な思考はしてない気がするけど。
オメガって難しい……。
アルファだったら誰でもいいから番になりたいとか思う人もいるし、噛まれたくないってオメガもいるわけじゃないか?
無理やり噛まれて、恋愛感情を持てとか言われても、難しくない?
別に、啓生が嫌いなわけじゃないけど。
「番が好きじゃないの?」
「嫌いじゃないだけ」
「でも、番なんだよ?」
「番だから? 無条件に好きじゃないといけないの? 番になると、番の相手が恋しくなるの? それって、なんか変な感じだけど」
オメガってそんな変で、大変な生き物なの? 本当に同じ人間なのか、不思議に思ってみると、雫も信じられないものを見る目で俺を見ていた。
雫たちオメガにとって、それは普通の事なんだとその反応を見て、理解する。
でも、やっぱり変。
「でも、オメガの本能ってそんなものだし」
「噛まれたら、番のアルファのものになるってこと? 変な常識だな」
「僕らからしたら、変なのは君だからね? 全く……」
「そうか? オメガの常識が変だと思うけど?」
「そう言うのは君だけだよ。て言うか、君は自覚ないの? 番になってから、番に依存したりとか」
「自覚……?」
ハッとしたように、雫は後ろをみて目を見張ってそれから、はぁ、とため息を吐いた。
俺もつられて後ろを見るけど、風都はいつも通りにこにこと、愛想笑いしている。
いったい、雫には何が見えてたんだろう?
「え、なに?」
「別に? ただ、君は自分が愛されてるってもっと自覚した方がいいよ」
「愛されてる……啓生さんが俺を愛してるのは知ってる」
「知ってるんじゃなくて。まぁ、いいや。君のアルファがそれでいいって言ってるんだから」
「そうですね。啓生様は今の咲也様で十分、楽しそうですし、ご満足ですし、めちゃくちゃ愛を注がれてますので」
はぁー、と深い溜息を吐いた雫はそろそろ時間だから、と席に戻ってしまった。
結局、俺は啓生に愛されてるって事しか分からなかった。
相も変わらず、学校に来て雫と話す。
と言うか、学校に来て授業に出る以外は雫と話している気がする。
まぁ、雫が居るとほかの誰も近づいて来ないからいいけど。
「まぁ、ここに来ることも俺のわがままだったし。それに……子供が出来たから、家に居て欲しいんだって、啓生さんが」
「そりゃそうだよ……って子ども!? 妊娠してるの!? えっ、この間も聞いたと思うけど学校来て大丈夫? あと、つわりとか」
「まぁ、うん。啓生さんはいいって言ってたし。と言うか、そんな自覚が俺には無いんだけど……でも、検査したから」
「ふぅん? まぁ、気を付けて生活しないとね。まぁ、君を溺愛しているアルファがいるんだから大丈夫だとは思うんだけど」
毎回、雫は溺愛してるアルファって言う。
俺って、そんなに愛されてるように見えるのか。
番のいるオメガだから、そう言われてるだけなのかな?
それとも、風都の居る影響かな?
「元の場所に戻るし、雫には会えなくなるな」
「そう……、まぁ、学校に来れてるだけ珍しいし、番のいるアルファが家の外に自分の番を出してるのはとても珍しいしね。て、考えると君と出会えたこと自体が奇跡だよ」
「そんなもん?」
「そういうものだよ」
そっか、と雫の言葉に納得するけど、番のいるオメガってもしかして希少生物だったりするのかな?
遭遇が稀な感じの。
多分、四方とかそういう家柄の番なら余計なのかも。ドラマの世界なんかだと、よくオメガの若妻とか描かれてたりするから、そんな珍しいものだとは思ってもなかったけど。
「俺って結構、レアキャラだったんだな」
「そうだね。ってか、アルファはオメガの願いを叶えるものだけど、君の番は君にめちゃくちゃ振り回されてるんじゃない? 可哀そうに」
心底、啓生に同情的な雫にえっ、と俺が驚く。
俺の方が啓生に振り回されてる気がする。
と言うか、絶対に俺の方が振り回されてる。
「えっ……、啓生さんを振り回す? 俺が?」
「何で自覚が無いのか不思議なんだけど? まぁ、君のそういうところも好きなんだろうね、君のアルファは」
「そう……なのか? 啓生さんは俺の事かわいいしか言わないから、分かんないけど」
啓生の愛情表現なのか、啓生は俺の事をかわいいしか言わない。
俺としてはかわいくないとずっと言ってるけど。
「自分が愛されてるっていう、のろけ? 僕はのろけ話を聞かされてるの?」
「違うって、俺はただ事実を言ってるだけで」
「ほんっと、そういうところ、やっぱり分かって無いなぁ」
やれやれって言う雫。けど、俺別に分かって無い訳じゃないと思う。
ただ、それがのろけになるって言うのが分からない。
別に、事実が事実なだけで。
啓生の何が好きとか、愛されてるとか言ってるわけじゃないし。
「俺に、恋愛のあれこれを言ったところで分かるわけなくない?」
「何でよ? 君、番でしょうが」
「別に、啓生さんに噛んでくださいって言ったわけでも、噛んでいいよって言ったわけでもないし」
「君は、発情期にでも噛まれたの?」
「いや? 俺、ベータだったし」
啓生と出会った時は、ベータだった。それを、啓生が勝手にオメガに変えたんだ。
それについての責任は一生取り続けてくれるんだけど、啓生はそんな俺を愛してると言うけど、俺には分からない。
啓生が好きなのか、啓生を愛しているのか。
でも、それでも、番は啓生しか居ないから。
「じゃあ、アルファが惚れ込んでるっていうのは間違いないんだけど……君の心の問題じゃない」
「それはそう。てか、俺啓生さんの気持ちなんて考えたことない」
俺、啓生がどうとか考えたことない、かも。
だって、俺が考える前に啓生はずっと俺の事をかわいいって言うし。
ただ時折、宗治郎とかに追い打ちをかけてるとは言われるけど。
「それはそれでどうなの? 番なんだから、思いあってあげなよ」
「……別に、俺が思わなくてもいいと思ってるけど」
「啓生様なら、勝手に咲也様を愛してますので大丈夫ですよ」
くすくすと笑いながら風都が言う。
そんな風都に、雫は余計に眉間にしわを寄せた。かわいい顔が台無しだ。
そして、そう言えば啓生は本当に勝手に俺を愛でているとは思う。
俺が嫌がることはやめてくれるし、俺の希望は叶えようとしてくれるし。
……という事は、俺が雫に会いたいとか言ったらどうにかしてくれそう?
「その表現もどうなの? 勝手に愛してるって……そりゃ、恋とは違って愛は一方通行でも成立するけど」
「えぇ、ですが事実ですので。啓生様の場合、咲也様が喜べば良し、そうでなくても構わないのです」
「これだからアルファってやつは……気を付けるんだよ? 嫌なことは嫌って言わないとだめなんだからね」
「嫌なことは嫌、か……俺、言ってる気がするけど」
「そうですね。啓生様はどんな咲也様も愛しておりますので、嫌と言われる咲也様もそれはそれは愛でておいでです」
嫌って言った時だって、かわいいっ、て大興奮だった気がする。
啓生って俺の言葉で傷ついたりするのかな?
いや、でも啓生も人間だから傷つくか、さすがに。
うん、発言には気を付けよう。
「啓生さんって、何がうれしいかな」
「番の話? なにがって……君の話を聞いてる限りは、君から何されても嬉しそうだけど?」
「俺を番に、オメガにしたのが啓生さんだから、好きとか愛してるとか、そんなあやふやで分かんない事言ったことないけど、気持ちが無くてもうれしいか?」
「気持ちが無いとか言い切っちゃう辺り、すごいよね君」
雫はさっきから呆れた顔しかしてない。
たぶん、俺がオメガとしては有り得ないことだらけなんだろう。けど、これが俺だからどうしようもないけど。
と言うか、好きとか分からなくない?
俺は、啓生に囲われたけどアルファとオメガじゃないと、監禁と変わらないし。
啓生とは会ったばっかりだし。
でも、今は啓生が俺の全てにはなってる。アルファとオメガだから、番だしそれは仕方ないのかもしれない。
「啓生様なら、咲也様に何を言われてもお喜びになられるので、何かを意識する必要は何も無いかと思いますよ」
「そう? 啓生さんって難しいね」
「難しいのは君の頭の中だよ。一体どうしたら、そんな発想になるのか僕が知りたいよ」
「んー? そう?」
俺って、そんな複雑な思考はしてない気がするけど。
オメガって難しい……。
アルファだったら誰でもいいから番になりたいとか思う人もいるし、噛まれたくないってオメガもいるわけじゃないか?
無理やり噛まれて、恋愛感情を持てとか言われても、難しくない?
別に、啓生が嫌いなわけじゃないけど。
「番が好きじゃないの?」
「嫌いじゃないだけ」
「でも、番なんだよ?」
「番だから? 無条件に好きじゃないといけないの? 番になると、番の相手が恋しくなるの? それって、なんか変な感じだけど」
オメガってそんな変で、大変な生き物なの? 本当に同じ人間なのか、不思議に思ってみると、雫も信じられないものを見る目で俺を見ていた。
雫たちオメガにとって、それは普通の事なんだとその反応を見て、理解する。
でも、やっぱり変。
「でも、オメガの本能ってそんなものだし」
「噛まれたら、番のアルファのものになるってこと? 変な常識だな」
「僕らからしたら、変なのは君だからね? 全く……」
「そうか? オメガの常識が変だと思うけど?」
「そう言うのは君だけだよ。て言うか、君は自覚ないの? 番になってから、番に依存したりとか」
「自覚……?」
ハッとしたように、雫は後ろをみて目を見張ってそれから、はぁ、とため息を吐いた。
俺もつられて後ろを見るけど、風都はいつも通りにこにこと、愛想笑いしている。
いったい、雫には何が見えてたんだろう?
「え、なに?」
「別に? ただ、君は自分が愛されてるってもっと自覚した方がいいよ」
「愛されてる……啓生さんが俺を愛してるのは知ってる」
「知ってるんじゃなくて。まぁ、いいや。君のアルファがそれでいいって言ってるんだから」
「そうですね。啓生様は今の咲也様で十分、楽しそうですし、ご満足ですし、めちゃくちゃ愛を注がれてますので」
はぁー、と深い溜息を吐いた雫はそろそろ時間だから、と席に戻ってしまった。
結局、俺は啓生に愛されてるって事しか分からなかった。
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