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転生聖女、求婚を断る
しおりを挟む―これで何度目の転生だろうか…。
彼女は深いため息を吐いた。
聖女の魂を持つ、(今世での名は)ミーシャ。
彼女は最早数えるのを諦めるくらい、〈聖女〉として転生を繰り返し、世界を救ってきた。
その度に、聖力(ちから)を手離したくない、時の為政者から婚姻を迫られてきた。
けれど。
―もう、イヤ…!
―私だって好きで、聖女な訳じゃない!
心から愛する人と生涯を連れ添いたい…。
それくらい、良いでしょう?
世界を救ったんだから。
王子との婚約式。ミーシャは言い放った。
「婚約を破棄します」
ざわつく城を、足早に後にした。
―殺すなら、そうすればいい…。
待っているのは世界の崩壊だもの。ミーシャは笑った。
生まれて初めて―大袈裟でも比喩でもなく―心から笑えた。
私の運命の人。あるいはいないかもしれない。
けど。
夢くらい、見たっていいでしょう?
その姿を求め、ミーシャは出立した。
彼女のその後は誰も知らない。
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