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昼休みは。

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 重い気持ちを抱えて、机で作業していた。
 聞こえてきた嫌がらせも、なんとか飲み込んで少しずつ進めていた。

 そんな中だから、昼になったのに気がつかなかった。

「水澄さん~、お昼行きませんか~」
 松本さんだ…。
 なんだか救われる。

「ありがとう、いっしょに行くよ」
「お疲れ様です」
「山本さん」
「体調は大丈夫ですか?」
「ありがとうございます、中山くんは?」
「銀行窓口に用があるからと、いっしょにいけないと言ってました」
「そうですか」

「何食べますか~?」
 そう言っても、女性二人なので結局カフェのランチサービスに落ち着いた。
 俺はおまけだ…。

 こうやって集まると、色々情報交換もする。新しい抑制剤が出たらしいとか、発情期の前段階として何があったかや、最後に避妊薬の話まで…。

 男だから関係ないではなく、オメガにとって切実な話だ。
 かと言って、女性とこの話をするのは、わかっているけど、恥ずかしい。

「~すみません、電話掛かってきたので、席外します」
「わかった」
 松本さんは、スマホをいじりながら外へ出ていった。

「すごいなぁ」
 アクティブというか、動きが早いと言うか、軽やかに進んでいった、中山さん。思わず独り言が出る。

「そう見えるでしょう」
「?山本さん」
「前に聞いたの、あの子どちらかといえば派手でしょう、だからもう少し地味にしたらって言ったの」
「どうなったんですか?」

 〘私の戦闘服だから、これでいいんです〙
「だって」
「……」 

「そう言われると、気持ちがわからないでもなくて、派手にすることで周りと戦っているのかなと、私はそう思ったわけ」

 気持ちはわかる。強くないと負けてしまうから。


「今日だって、言われたんでしょう?、水澄さんも」
「ですね」
「会社が休暇を認めているけど、だからと言って休みをもらっても、それに対して不満を言う人は、たくさんいるわ」

「……」
「性別で区別しないって、難しいじゃない」
 その通りだった。認められている権利だと言えど、休みだからとやっかむ人はいる。

「まあ、休暇もらえるだけありがたいけどね!」
「そうですね」

 そんな話をしていたら、松本さんからメッセージがきた。
 友人と会うので先に行きますと

 まって、支払い…。 もういいや、俺払うから…。
 というわけで、めんどくさいから三人分の支払いをした。

「水澄くんごめんね、こっちが誘ったのに」
「かまいませんよ」

 店を出ると、遠くに松本さんらしい人が走って行っている。
「元気でいいわね」
「そうですね」
 お互いに苦笑して、会社に戻る。

 なんとなく、
 午後からもがんばれそうだ。













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