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第1章「結城湊斗はどこか世話焼き」
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「先生、こっち!」
あれから数分後。
何も考えずただひたすら痛みに堪えていたオレの元に数人の教師たちを引き連れた柊が戻ってきた。
不良たちの顔には困惑の色がありありと浮かんでいる。
この場から逃げないように挑発しておいた甲斐があったな。
「お前たち、しっかりと話は聞かせてもらうぞ?」
「ち、違う!アイツが先に喧嘩を売ってきたの!」
蟻塚が慌てて言い訳を口にするがもう遅い。
完全に現行犯だ。それに、仮に嘘じゃなかったとしてもこの状況で信じられるような奴はいないだろう。
なにせ、オレはボコボコ。相手は無傷なのだから。
「……、大丈夫?」
倒れているオレの傍に駆け寄ってきて上半身を起こすと、心配そうな表情で顔を覗き込んでくる柊。
その手には可愛らしいハンカチが握られていた。
どうやら顔を殴られた際に口の中を切ってしまったらしく、それで唇の端から出ていた血を拭おうとしてくれているようだ。
だが。
「汚れるからやめとけ」
オレはその行為をすぐに止めさせた。
すると、柊はムッとした様子で威圧してくる。
その瞳は僅かに潤んでいた。
……そんな目で見られると困るんだけどなぁ。
「捨てるから大丈夫」
「はは、そうかよ」
結局押し切られてしまい、されるがままに拭われる。
あーあ、綺麗なハンカチが台無しだ。何が捨てるだよ。こんな高そうなハンカチそうそう簡単に捨てられるかっつーの。
そんなことを考えていると。
「……、どうして笑ってるの?」
「へ?」
言われて初めて気付いた。自分の頬が緩んでいることに。
「酷い目に遭ったのに……私のせいで」
目に涙を浮かべながら今にも決壊寸前の柊。
優しすぎた。この優しさが今オレだけに向けられているのが申し訳なくなるくらいには。
だが、そんな気持ちとは裏腹に。気が付けば無意識のうちに手が柊の頭に伸びていて。
ポンっと軽く撫でてやっていた。
突然の出来事に驚いたのか、ビクッとして固まってしまう柊。
しまった。思わず頭を撫でてしまったがこれは失敗だったかもしれない。
急いで手を離そうとするも、時すでに遅し。
柊はついに我慢しきれずポロポロと涙を流し始めた。
「あっ、いや、違う!これは……」
友達でもない奴に、ましてや男なんかに頭を触られたら泣くよな普通は……。
このままでは明日から後ろ指を指されながら高校生活を送ることになりかねん。
どうすればいい?どうすれば……!
「あっ、UFO!」
咄嵯に出た言葉がこれだった。
我ながら何を言っているんだと思うが仕方がない。これしか思いつかなかったのだから。
しかし、泣き止むどころか柊はぎゅっと顔をうずめる様にして抱きついてきた。
えぇ……。マジでなんなんだこの状況……。
どうしようもない居心地の悪さを感じながらもオレはそのままの状態でいるしかなかった。
「何イチャイチャしてんだ、お前ら!」
さっきまでオレをボコボコにしていた不良たちの一人が叫ぶ。
いや、なんでまだいるんだよ。
さっさと連れてけよ教師。
あれから数分後。
何も考えずただひたすら痛みに堪えていたオレの元に数人の教師たちを引き連れた柊が戻ってきた。
不良たちの顔には困惑の色がありありと浮かんでいる。
この場から逃げないように挑発しておいた甲斐があったな。
「お前たち、しっかりと話は聞かせてもらうぞ?」
「ち、違う!アイツが先に喧嘩を売ってきたの!」
蟻塚が慌てて言い訳を口にするがもう遅い。
完全に現行犯だ。それに、仮に嘘じゃなかったとしてもこの状況で信じられるような奴はいないだろう。
なにせ、オレはボコボコ。相手は無傷なのだから。
「……、大丈夫?」
倒れているオレの傍に駆け寄ってきて上半身を起こすと、心配そうな表情で顔を覗き込んでくる柊。
その手には可愛らしいハンカチが握られていた。
どうやら顔を殴られた際に口の中を切ってしまったらしく、それで唇の端から出ていた血を拭おうとしてくれているようだ。
だが。
「汚れるからやめとけ」
オレはその行為をすぐに止めさせた。
すると、柊はムッとした様子で威圧してくる。
その瞳は僅かに潤んでいた。
……そんな目で見られると困るんだけどなぁ。
「捨てるから大丈夫」
「はは、そうかよ」
結局押し切られてしまい、されるがままに拭われる。
あーあ、綺麗なハンカチが台無しだ。何が捨てるだよ。こんな高そうなハンカチそうそう簡単に捨てられるかっつーの。
そんなことを考えていると。
「……、どうして笑ってるの?」
「へ?」
言われて初めて気付いた。自分の頬が緩んでいることに。
「酷い目に遭ったのに……私のせいで」
目に涙を浮かべながら今にも決壊寸前の柊。
優しすぎた。この優しさが今オレだけに向けられているのが申し訳なくなるくらいには。
だが、そんな気持ちとは裏腹に。気が付けば無意識のうちに手が柊の頭に伸びていて。
ポンっと軽く撫でてやっていた。
突然の出来事に驚いたのか、ビクッとして固まってしまう柊。
しまった。思わず頭を撫でてしまったがこれは失敗だったかもしれない。
急いで手を離そうとするも、時すでに遅し。
柊はついに我慢しきれずポロポロと涙を流し始めた。
「あっ、いや、違う!これは……」
友達でもない奴に、ましてや男なんかに頭を触られたら泣くよな普通は……。
このままでは明日から後ろ指を指されながら高校生活を送ることになりかねん。
どうすればいい?どうすれば……!
「あっ、UFO!」
咄嵯に出た言葉がこれだった。
我ながら何を言っているんだと思うが仕方がない。これしか思いつかなかったのだから。
しかし、泣き止むどころか柊はぎゅっと顔をうずめる様にして抱きついてきた。
えぇ……。マジでなんなんだこの状況……。
どうしようもない居心地の悪さを感じながらもオレはそのままの状態でいるしかなかった。
「何イチャイチャしてんだ、お前ら!」
さっきまでオレをボコボコにしていた不良たちの一人が叫ぶ。
いや、なんでまだいるんだよ。
さっさと連れてけよ教師。
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