21 / 41
第3章「柊南帆は凄く頑張り屋」
4
しおりを挟む
「わがまま、だったかな……」
「まあ、理由はどうあれよく頑張った方なんじゃないか?安心しろ。柊は悪くない」
蟻塚から離れ、少し落ち込んだ様子の柊を励ます。
「蟻塚をグループに入れようなんて無謀でしょ。ただでさえ、結城くんも嫌われてんのに」
「好きにしろとは言われたけどな」
「当日来ないんじゃいないのと変わらないでしょ。ホント、結城くんも柊ちゃんも何考えてんのかわかんね」
両手を上げてやれやれと呆れる矢渕。
「とりあえずあと1人決めれば終わりだな」
「え?マジで蟻塚入れるつもりなの?」
「リーダーの要望だしな」
「……、?もしかしてリーダーって私?」
おずおずと手を上げる柊。
「あぁ、一応な。柊がオレたちを集めたんだし。しっかりな、リーダー」
「でも、私なんかよりも湊斗くんの方が……」
「やる前から諦めんなよ。安心しろ。オレも手伝う」
「……うん。がんばる」
何とも頼りなさげなリーダーだが、4人の中で一番まともなのは柊なので致し方ない。
矢渕もその辺は納得しているらしく口出しはしてこなかった。
「とにかくあと1人だ。候補はいるか?」
「俺は誰でも良いよ」
「お前には聞いてねえ。それと、このグループでお前に発言権があると思うなよ?なんでも言うことを聞くって自分から言ったんだからな?」
「うぐっ……」
「私は……誰でも」
「なら、その辺で1人寂しそうにしてる奴を誘ってきてくれ」
「えっ……私が?」
「だめか?」
「初対面の人にはなんて話しかけたら良いかわからなくて……」
それでよく蟻塚に声を掛けられたな。
まあ、でも確かによくよく考えてみれば柊は何でも自分から行くタイプではないか。
むしろ、大抵はクラスの女子の方から話し掛けてもらっていたような気もするし。
「よし、矢渕。出番だ」
「えー、俺?苦手だぞ?そういうの。しかも俺の印象ってめちゃくちゃ悪いじゃん?断られたら普通にキツいし」
「使えねえ奴だな」
「うわー、すげぇ悪口」
矢渕を無視してオレは適当に周りを見渡して誰かいないか探す。
するとちょうど良さそうな人物が目に入った。
休み時間でもないというのに机の上に突っ伏したまま気持ちよさそうに寝ている女子生徒だ。
髪は長く、眼鏡を掛けており、見た目は完全に優等生といった感じである。
……授業中に寝ている優等生とはこれ如何に。
「おい、起きろ。授業中だぞ」
なるべく優しく相手を起こそうとするが反応がない。
完全に熟睡モードに入っているようだ。
仕方なく彼女の肩に手を置き揺り起こすことにする。あまり強く揺すりすぎて怪我させてもマズいと思いゆっくりと力加減に注意しながら体を揺らす。
「……?なに~?」
寝惚けた様子で上半身を起こし、こちらを見てくる少し垂れ目の女子生徒。
特別美人だとか可愛いだとかはないものの、どこか癒される雰囲気があった。
眠たげな目を擦ると彼女は大きな欠伸をして背伸びをする。
「オリエンテーション合宿のグループを決めてるんだが、オレたちのところに入ってくれないか?」
「ん~?良いよ、何処でも」
意外にもあっさりと了承してくれたことに驚くがこれで5人目のメンバーが決まったことになる。
「他のメンバーは?」
「柊と矢渕、蟻塚だ」
「うわ~、めちゃくちゃ楽しそ~」
ゆるい笑顔を浮かべながら嬉しそうにする彼女。
どうやら喜んでくれたようで良かった。
「あ、あの……柊南帆です。よろしくお願いします」
いつの間にか近くに来ていた柊が緊張した面持ちで挨拶をするが、彼女はそんな柊を安心させるように笑みを溢す。
そして、柊に向かって手を差し出した。
握手を求めているのかと思ったのだが、突然パチンッ!と柊の顔の前で思いっきり手を叩く。
「ひゃあっ……!?」
当然、柊は驚いた声を上げて後ろに下がる。
「あ~、ごめんね。癖なの、可愛い女の子を見たらつい驚かせたくなっちゃうの」
てへぺろ、と舌を出しておどける彼女に柊は顔を赤く染めて口をパクパクさせている。
「も~、可愛いな~。ごめんてば~。よしよし」
柊をゆっくり抱き寄せながら頭を撫でる彼女はさしずめ母親のようだった。
「ウチは橘風佳。よろしくねん、結城湊斗と愉快な仲間たちさん」
「まあ、理由はどうあれよく頑張った方なんじゃないか?安心しろ。柊は悪くない」
蟻塚から離れ、少し落ち込んだ様子の柊を励ます。
「蟻塚をグループに入れようなんて無謀でしょ。ただでさえ、結城くんも嫌われてんのに」
「好きにしろとは言われたけどな」
「当日来ないんじゃいないのと変わらないでしょ。ホント、結城くんも柊ちゃんも何考えてんのかわかんね」
両手を上げてやれやれと呆れる矢渕。
「とりあえずあと1人決めれば終わりだな」
「え?マジで蟻塚入れるつもりなの?」
「リーダーの要望だしな」
「……、?もしかしてリーダーって私?」
おずおずと手を上げる柊。
「あぁ、一応な。柊がオレたちを集めたんだし。しっかりな、リーダー」
「でも、私なんかよりも湊斗くんの方が……」
「やる前から諦めんなよ。安心しろ。オレも手伝う」
「……うん。がんばる」
何とも頼りなさげなリーダーだが、4人の中で一番まともなのは柊なので致し方ない。
矢渕もその辺は納得しているらしく口出しはしてこなかった。
「とにかくあと1人だ。候補はいるか?」
「俺は誰でも良いよ」
「お前には聞いてねえ。それと、このグループでお前に発言権があると思うなよ?なんでも言うことを聞くって自分から言ったんだからな?」
「うぐっ……」
「私は……誰でも」
「なら、その辺で1人寂しそうにしてる奴を誘ってきてくれ」
「えっ……私が?」
「だめか?」
「初対面の人にはなんて話しかけたら良いかわからなくて……」
それでよく蟻塚に声を掛けられたな。
まあ、でも確かによくよく考えてみれば柊は何でも自分から行くタイプではないか。
むしろ、大抵はクラスの女子の方から話し掛けてもらっていたような気もするし。
「よし、矢渕。出番だ」
「えー、俺?苦手だぞ?そういうの。しかも俺の印象ってめちゃくちゃ悪いじゃん?断られたら普通にキツいし」
「使えねえ奴だな」
「うわー、すげぇ悪口」
矢渕を無視してオレは適当に周りを見渡して誰かいないか探す。
するとちょうど良さそうな人物が目に入った。
休み時間でもないというのに机の上に突っ伏したまま気持ちよさそうに寝ている女子生徒だ。
髪は長く、眼鏡を掛けており、見た目は完全に優等生といった感じである。
……授業中に寝ている優等生とはこれ如何に。
「おい、起きろ。授業中だぞ」
なるべく優しく相手を起こそうとするが反応がない。
完全に熟睡モードに入っているようだ。
仕方なく彼女の肩に手を置き揺り起こすことにする。あまり強く揺すりすぎて怪我させてもマズいと思いゆっくりと力加減に注意しながら体を揺らす。
「……?なに~?」
寝惚けた様子で上半身を起こし、こちらを見てくる少し垂れ目の女子生徒。
特別美人だとか可愛いだとかはないものの、どこか癒される雰囲気があった。
眠たげな目を擦ると彼女は大きな欠伸をして背伸びをする。
「オリエンテーション合宿のグループを決めてるんだが、オレたちのところに入ってくれないか?」
「ん~?良いよ、何処でも」
意外にもあっさりと了承してくれたことに驚くがこれで5人目のメンバーが決まったことになる。
「他のメンバーは?」
「柊と矢渕、蟻塚だ」
「うわ~、めちゃくちゃ楽しそ~」
ゆるい笑顔を浮かべながら嬉しそうにする彼女。
どうやら喜んでくれたようで良かった。
「あ、あの……柊南帆です。よろしくお願いします」
いつの間にか近くに来ていた柊が緊張した面持ちで挨拶をするが、彼女はそんな柊を安心させるように笑みを溢す。
そして、柊に向かって手を差し出した。
握手を求めているのかと思ったのだが、突然パチンッ!と柊の顔の前で思いっきり手を叩く。
「ひゃあっ……!?」
当然、柊は驚いた声を上げて後ろに下がる。
「あ~、ごめんね。癖なの、可愛い女の子を見たらつい驚かせたくなっちゃうの」
てへぺろ、と舌を出しておどける彼女に柊は顔を赤く染めて口をパクパクさせている。
「も~、可愛いな~。ごめんてば~。よしよし」
柊をゆっくり抱き寄せながら頭を撫でる彼女はさしずめ母親のようだった。
「ウチは橘風佳。よろしくねん、結城湊斗と愉快な仲間たちさん」
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)
MisakiNonagase
現代文学
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合うことになるストーリーです。
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
隣の家の幼馴染と転校生が可愛すぎるんだが
akua034
恋愛
隣に住む幼馴染・水瀬美羽。
毎朝、元気いっぱいに晴を起こしに来るのは、もう当たり前の光景だった。
そんな彼女と同じ高校に進学した――はずだったのに。
数ヶ月後、晴のクラスに転校してきたのは、まさかの“全国で人気の高校生アイドル”黒瀬紗耶。
平凡な高校生活を過ごしたいだけの晴の願いとは裏腹に、
幼馴染とアイドル、二人の存在が彼の日常をどんどんかき回していく。
笑って、悩んで、ちょっとドキドキ。
気づけば心を奪われる――
幼馴染 vs 転校生、青春ラブコメの火蓋がいま切られる!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる