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第4章「橘風佳はそこそこ侮れない」
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「いただきます」
その後、特に問題もなくカレーと米が完成し、オレたちは昼食を食べ始めた。
見た目は別に悪くない。普通に家で作るものと大差ないように見える。
だが。
「……なんか米がベタベタしてね?」
微妙な顔をした矢渕がスプーンをテーブルに置く。
確かにカレーに紛れてはいるが口に含んだ瞬間、妙な粘り気があることに気づく。なんだか全体的に水っぽいというか。
「蟻塚さんよ、水の量多かったんじゃねーの?」
「は?」
矢渕の発言に、眉をひそめる蟻塚。
ひりついた空気に橘と柊がおどおどする中、矢渕は後頭部に手を組んでお構いなしに続ける。
「これだから適当な女は困るぜ。こんなもん食って腹壊したらどうすんだよ」
……こいつ、わざと言ってんのか?
挑発するような物言いをする矢渕に、流石にオレもイラッとした。
「見てただけのアンタに言われたくない」
「米といで炊くだけなのに二人も三人もいるかよ。馬鹿なんじゃねーの?」
「……あ?今なんつった?」
今度は蟻塚までキレ気味だ。
さっきから喧嘩腰の矢渕に対し、最近はずっと大人しかった蟻塚が牙を剥く。
この二人の間に何があったか知らないが、このままじゃヤバそうだ。
「嫌なら食べなきゃいいでしょ。気持ち悪い」
「気持ち悪いのはお前の作った米だろ」
「……っ!?」
蟻塚が矢渕の服を掴み上げて立ち上がらせる。
そのまま顔面目掛けて拳を振り上げるが、それは寸でのところで止まった。
何故なら――。
「いらないならオレが貰うぞ?」
「え?」
オレは矢渕の皿を持ち上げて一気にカレーライスをかき込む。
口の中に広がる不快感はこの際無視だ。
食感はどうであれ、カレーはカレー。
味に変わりはない。
唖然としている二人……いや、四人を他所にオレはカレーライスを完食し終えると、空になった皿を矢渕に返す。
「初めてやったんだろ?こんなもんだろ普通。気にすんな」
「……」
何かを言いたげにしていた蟻塚だったが、結局無言のまま席に着く。
その表情には悔しさが滲み出ていた。
一方で矢渕の方は呆れた顔でオレを見つめている。
せっかく追い詰められたのに、なんて顔だ。
腹は立つがこいつも腹を空かせているだろうし、あとで何か持ってきてやるとしよう。
その間はまあ、オレをイラつかせた罰ということで我慢しててくれ。
その後、特に問題もなくカレーと米が完成し、オレたちは昼食を食べ始めた。
見た目は別に悪くない。普通に家で作るものと大差ないように見える。
だが。
「……なんか米がベタベタしてね?」
微妙な顔をした矢渕がスプーンをテーブルに置く。
確かにカレーに紛れてはいるが口に含んだ瞬間、妙な粘り気があることに気づく。なんだか全体的に水っぽいというか。
「蟻塚さんよ、水の量多かったんじゃねーの?」
「は?」
矢渕の発言に、眉をひそめる蟻塚。
ひりついた空気に橘と柊がおどおどする中、矢渕は後頭部に手を組んでお構いなしに続ける。
「これだから適当な女は困るぜ。こんなもん食って腹壊したらどうすんだよ」
……こいつ、わざと言ってんのか?
挑発するような物言いをする矢渕に、流石にオレもイラッとした。
「見てただけのアンタに言われたくない」
「米といで炊くだけなのに二人も三人もいるかよ。馬鹿なんじゃねーの?」
「……あ?今なんつった?」
今度は蟻塚までキレ気味だ。
さっきから喧嘩腰の矢渕に対し、最近はずっと大人しかった蟻塚が牙を剥く。
この二人の間に何があったか知らないが、このままじゃヤバそうだ。
「嫌なら食べなきゃいいでしょ。気持ち悪い」
「気持ち悪いのはお前の作った米だろ」
「……っ!?」
蟻塚が矢渕の服を掴み上げて立ち上がらせる。
そのまま顔面目掛けて拳を振り上げるが、それは寸でのところで止まった。
何故なら――。
「いらないならオレが貰うぞ?」
「え?」
オレは矢渕の皿を持ち上げて一気にカレーライスをかき込む。
口の中に広がる不快感はこの際無視だ。
食感はどうであれ、カレーはカレー。
味に変わりはない。
唖然としている二人……いや、四人を他所にオレはカレーライスを完食し終えると、空になった皿を矢渕に返す。
「初めてやったんだろ?こんなもんだろ普通。気にすんな」
「……」
何かを言いたげにしていた蟻塚だったが、結局無言のまま席に着く。
その表情には悔しさが滲み出ていた。
一方で矢渕の方は呆れた顔でオレを見つめている。
せっかく追い詰められたのに、なんて顔だ。
腹は立つがこいつも腹を空かせているだろうし、あとで何か持ってきてやるとしよう。
その間はまあ、オレをイラつかせた罰ということで我慢しててくれ。
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