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15 そして浮気が発覚した現在に話は戻る
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庭園にはまばらにしか人はいない。
みなデートなのか、男女のカップルが目立つ。
そうして奥へと進むが、なかなかそれらしい人影が見えない。
やはりあの手紙は嘘だったんだと踵を返したとき、林の奥からはなし声が聞こえる。
そのしみいるような、低い声は……
ゆっくりと林の奥へと緑のカーテンを避けながら進む。
ゆっくりと。
ゆっくりと。
そこにいたのは新緑の中で、ひと際目を引くピンクのドレスで着飾った令嬢。
そしてその令嬢に寄り添うのは、漆黒のスーツが木影に溶け込みそうな男性、
揺れる黒髪、白皙の美貌……
間違いない! 私の旦那様!
レオンハルト様……!
「お前は私を愛しているか?」
しみいる声が、木々を揺らす。
「もちろん!お慕いしております。レオンハルト様」
とろりと甘い声で答える令嬢。
「嬉しいよ。もっと、もっと私を愛してくれ」
心底嬉しそうに引きあがる口元。
「えぇ! えぇ! 愛しておりますとも。だから、もう……」
砂糖を溶かしたような、甘え声をのせた令嬢のピンクの唇が、レオンハルト様のそれに近づく。
まだ5月だというのに、今日はことのほか暖かく、むしろ汗ばむほど。
新緑の色鮮やかな木々からは、むせ返るような緑のにおい。
そこにすっぽりと収まる二つの影。
嘘 嘘 嘘……
どうして? どうして?
本当に私を裏切っていたの?
はっ はっ はっ
息が……息ができない!
私の血肉を支えていた骨が、溶けたかのように身体が崩れ落ちる。
だが目だけは寄り添う二人から、引き剥がす事ができない。
「ほら、もっと触れて欲しいか?」
レオンハルト様の白い手が、令嬢の胸をまさぐっている。
「あぁん。もっと…」
甘え声が、喘ぎ声に変わる。
「なら、私を愛するんだ。深く、もっと深く」
その両手が令嬢の頬を包み込む。
「愛してます! レオンハルト様だけを!」
ピンクに染まった頬に恍惚とした瞳。
ちゅっ ちゅっと口付けをかわす音。
やがて衣づれ音。
「あぁん。あぁん」
もう、聞いていられなかった。
貧乏下位貴族令嬢。
神聖力は微々たるものの、元アリンコ聖女。
そんな私を幸せにする、君だけだと熱烈に求婚したのは、レオンハルト様。
女遊びをしまくりたいから、お飾り妻になれと初めから言われていたら、その心構えでいましたとも!
レオンハルト様の恥にならないようにと、必死になって夫人教育を学んだ結婚までの……1年間の私が可哀想すぎる!
怒りが、マグマのような怒りが、鋼の鎧となりショックで溶けた私の背筋を支える。
こっそりと覗いていたが、もういい!
大きく一歩を踏み出し、ドレスを貴婦人らしくない裾さばきで、林を後にする。
高位貴族の貴婦人教育など、くそくらえだ!
後方で何やら声が聞こえたが、もうどうだっていい。
王女にもビアンカにも腹が立つが、もっと腹が立つのはレオンハルト様だ!
確かに、国は未曾有の危機かもしれない。
だが、連絡ひとつ寄こさずに、屋敷に閉じ込め、しかも浮気三昧?
〇ね!!
もうこのままベルツ領に逃亡してやろうかと思ったけど、庭園を出たところで屈強な御者二人が待ち構えていた。
「離してちょうだい!もう屋敷には戻らないわ!」
「申し訳ありません、奥様。どうか馬車にお乗りください」
「どうかお願いいたします! 何卒侯爵家にお戻りを……! でなければ我々は殺されてしまいます!」
「ビアンカに? そんなこと……」
「いいえ! 旦那様にです!」
その答えに鼻白み、嘲笑がうかぶ。
そりゃ、そうよね。
おとぎ話のカップルが半年で別れたなんて……
侯爵家にとっていい恥さらしだわ!
ほんと最低!!
強制的に屋敷に戻らされた私は、得意げに微笑むアレクサンドラ王女の前に、立たされる。
「どう? 貴女には無理でしょう?」
まさに『にんまり』という笑顔の王女に、吐き気がする。
「ええ。他人と夫を共有できる王女様のような度量なんて、私にはございません!」
王女の顔が真っ赤に染まる。
「おだまりなさい! 何も知らないくせに! レオン様は最後には、わたくしの元に戻ってくるんだからいいのよ!」
「ふふっ。『愛する私の元に必ずお戻りになります』ってハービット男爵令嬢のお手紙にもありましたね」
憤怒した王女が私に向かって扇を投げてくるが、田舎娘の運動神経をなめんな!
ひらりと華麗にかわしてやる。
お相手の方みんなをそんな風に思わせるなんて、とんだクズ旦那だわ!
みなデートなのか、男女のカップルが目立つ。
そうして奥へと進むが、なかなかそれらしい人影が見えない。
やはりあの手紙は嘘だったんだと踵を返したとき、林の奥からはなし声が聞こえる。
そのしみいるような、低い声は……
ゆっくりと林の奥へと緑のカーテンを避けながら進む。
ゆっくりと。
ゆっくりと。
そこにいたのは新緑の中で、ひと際目を引くピンクのドレスで着飾った令嬢。
そしてその令嬢に寄り添うのは、漆黒のスーツが木影に溶け込みそうな男性、
揺れる黒髪、白皙の美貌……
間違いない! 私の旦那様!
レオンハルト様……!
「お前は私を愛しているか?」
しみいる声が、木々を揺らす。
「もちろん!お慕いしております。レオンハルト様」
とろりと甘い声で答える令嬢。
「嬉しいよ。もっと、もっと私を愛してくれ」
心底嬉しそうに引きあがる口元。
「えぇ! えぇ! 愛しておりますとも。だから、もう……」
砂糖を溶かしたような、甘え声をのせた令嬢のピンクの唇が、レオンハルト様のそれに近づく。
まだ5月だというのに、今日はことのほか暖かく、むしろ汗ばむほど。
新緑の色鮮やかな木々からは、むせ返るような緑のにおい。
そこにすっぽりと収まる二つの影。
嘘 嘘 嘘……
どうして? どうして?
本当に私を裏切っていたの?
はっ はっ はっ
息が……息ができない!
私の血肉を支えていた骨が、溶けたかのように身体が崩れ落ちる。
だが目だけは寄り添う二人から、引き剥がす事ができない。
「ほら、もっと触れて欲しいか?」
レオンハルト様の白い手が、令嬢の胸をまさぐっている。
「あぁん。もっと…」
甘え声が、喘ぎ声に変わる。
「なら、私を愛するんだ。深く、もっと深く」
その両手が令嬢の頬を包み込む。
「愛してます! レオンハルト様だけを!」
ピンクに染まった頬に恍惚とした瞳。
ちゅっ ちゅっと口付けをかわす音。
やがて衣づれ音。
「あぁん。あぁん」
もう、聞いていられなかった。
貧乏下位貴族令嬢。
神聖力は微々たるものの、元アリンコ聖女。
そんな私を幸せにする、君だけだと熱烈に求婚したのは、レオンハルト様。
女遊びをしまくりたいから、お飾り妻になれと初めから言われていたら、その心構えでいましたとも!
レオンハルト様の恥にならないようにと、必死になって夫人教育を学んだ結婚までの……1年間の私が可哀想すぎる!
怒りが、マグマのような怒りが、鋼の鎧となりショックで溶けた私の背筋を支える。
こっそりと覗いていたが、もういい!
大きく一歩を踏み出し、ドレスを貴婦人らしくない裾さばきで、林を後にする。
高位貴族の貴婦人教育など、くそくらえだ!
後方で何やら声が聞こえたが、もうどうだっていい。
王女にもビアンカにも腹が立つが、もっと腹が立つのはレオンハルト様だ!
確かに、国は未曾有の危機かもしれない。
だが、連絡ひとつ寄こさずに、屋敷に閉じ込め、しかも浮気三昧?
〇ね!!
もうこのままベルツ領に逃亡してやろうかと思ったけど、庭園を出たところで屈強な御者二人が待ち構えていた。
「離してちょうだい!もう屋敷には戻らないわ!」
「申し訳ありません、奥様。どうか馬車にお乗りください」
「どうかお願いいたします! 何卒侯爵家にお戻りを……! でなければ我々は殺されてしまいます!」
「ビアンカに? そんなこと……」
「いいえ! 旦那様にです!」
その答えに鼻白み、嘲笑がうかぶ。
そりゃ、そうよね。
おとぎ話のカップルが半年で別れたなんて……
侯爵家にとっていい恥さらしだわ!
ほんと最低!!
強制的に屋敷に戻らされた私は、得意げに微笑むアレクサンドラ王女の前に、立たされる。
「どう? 貴女には無理でしょう?」
まさに『にんまり』という笑顔の王女に、吐き気がする。
「ええ。他人と夫を共有できる王女様のような度量なんて、私にはございません!」
王女の顔が真っ赤に染まる。
「おだまりなさい! 何も知らないくせに! レオン様は最後には、わたくしの元に戻ってくるんだからいいのよ!」
「ふふっ。『愛する私の元に必ずお戻りになります』ってハービット男爵令嬢のお手紙にもありましたね」
憤怒した王女が私に向かって扇を投げてくるが、田舎娘の運動神経をなめんな!
ひらりと華麗にかわしてやる。
お相手の方みんなをそんな風に思わせるなんて、とんだクズ旦那だわ!
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