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#06 幸せすぎる日々
「そ……そんな、ディレク様、ご冗談でしょう!? 私を追放なさるおつもりなんです? 王族の関係者だった私を!」
「もう王族はいない。国も滅んだようなものだから、共和国でもないしね。残念だけど、ローザに暴力を振おうとしたし、侮辱した事も許せない。テレジア……本当にすまないが、僕たちの前にもう二度と現れないでくれ」
重苦しい空気の中、ディレクはわたしの手を握ってくれた。……もう、そんな風にされたら嬉しくて泣いちゃいそう。
「……嘘よ、嘘。こんな女のどこがいいのよ! 不気味な銀髪だし、顔だってブサイクじゃないのッ!!」
ディレクはもう呆れて、深い溜息を漏らしていた。それがまるで合図かのように、お屋敷の周辺に住む人たちが何事かと集まってきた。見知った顔が多くて、あの時の生存者の顔ぶれだった。
「…………」
皆、怖い顔でテレジアを睨む。
「おい、テレジア! ディレク様とローザ様の仲を引き裂こうなど言語道断だ」「そうだ、二人は幸せになるべきだ」「テレジア、お前、王族の関係者だって聞いたぞ」「王子とも親しかったそうだな! 今まであえて追及しなかったけど!」「復興の邪魔もしやがって、もう我慢の限界だ!」
住民の不満が爆発していた。
皆どんどんテレジアを追い詰めていく。
「…………くぅ、くぅぅぅ……! もういいわッ! こんなボロボロの国なんて捨ててやる! 私は自由に生きるわ! こんな国でもない土地なんて、こちらから願い下げよ。去ってやる」
逆ギレ……これは酷いわね。
テレジアはくるりと踵を返し、背を向けて去っていく。今やモンスターを守る壁もないから、直ぐに外へ出られる。
そうして、テレジアは去った。
◆
……更に28日後。
お屋敷で幸せな毎日を暮らしていた。
ディレクはその立場から、他の女性からよくお誘いを受けていたけれど、全部断ってわたし一筋で、わたしだけを見つめてくれていた。常に傍にいてくれたので、彼がどれだけわたしを想ってくれているか理解できた。
「今日もお疲れ様でした、ディレク」
「やっと魔法も完成してね。これで完璧なバリアを張れるよ。もう明日には全て塞げるから、今後もうアンデッドモンスターとかに襲われる心配もないよ」
そう、彼の魔法は完成した。
月と太陽の守護魔法。
これでモンスターの侵入を阻める。彼の魔法は完璧だったし、これまでも何度も役立っていた。その度に彼の評判は上がっていき、それと同時にわたしの名声も広まった。今やわたしとディレクは王族のような扱いになっていた。
「これで本当の平和が訪れるのですね」
「そうさ、ローザと結婚式も挙げられるよ」
「心の底から嬉しいです。この時をずっと待ち望んでいましたから」
抱き合ってゆったりとした時間を過ごしていると――
「きゃあああああッ!!」
突然、叫び声が。
「外の方だったな。ローザ、何か感じるかい?」
「少し嫌な感じがしますけど……もしかして、ゾンビが」
その可能性は否定できない。
魔法まだ全ての壁を塞いだわけじゃない。もし、野良ゾンビとかだとしたら大変だ。
直ぐにお屋敷の外の様子を見に行った。丁度、近くが塞がれていないポイントだった。
到着すると、塞がれていない壁の外には――
「……ディ、レク、サマ……。ロー…ザ」
ゾンビとなったテレジアの姿があった。顔はただれ、服も手足はズタズタのボロボロ。もうあの綺麗だった顔は残されていない。
「テレジア……。貴方、感染してしまったのね」
「……ローザ様、下がって」
「ですが!」
「もうアレはゾンビです。残念ですが……先程完成した月と太陽の魔法で壁を塞ぎます。これで外界とは完全に遮断されて、国は平和になるんです」
そうね、これが一番正しい選択でしょう。もう、ゾンビを助ける事なんて出来ないのだから――。
……バリアが埋まり、塞がった。これでもうモンスターは出入り出来ない。この国はディレクの偉大な魔法によって守護されるようになった。
そして、現れたゾンビ……彼女は誰かに討伐されない限り、この世を永遠に彷徨い続けるのだろう。
……せめてもの慈悲。
わたしは祈りを捧ぐ。
◆
国は完全に平和となり、モンスターは一匹もいない。昔のような大量のモンスターの襲来もなく、ゾンビも現れていない。
人々は、ディレクの偉業を讃えた。
そうして彼は新たな王と認められ、建国を果たした。そして数日後には、わたしとディレクは結婚。幸せすぎる日々が始まり、永遠の幸せを手に入れた――。
「もう王族はいない。国も滅んだようなものだから、共和国でもないしね。残念だけど、ローザに暴力を振おうとしたし、侮辱した事も許せない。テレジア……本当にすまないが、僕たちの前にもう二度と現れないでくれ」
重苦しい空気の中、ディレクはわたしの手を握ってくれた。……もう、そんな風にされたら嬉しくて泣いちゃいそう。
「……嘘よ、嘘。こんな女のどこがいいのよ! 不気味な銀髪だし、顔だってブサイクじゃないのッ!!」
ディレクはもう呆れて、深い溜息を漏らしていた。それがまるで合図かのように、お屋敷の周辺に住む人たちが何事かと集まってきた。見知った顔が多くて、あの時の生存者の顔ぶれだった。
「…………」
皆、怖い顔でテレジアを睨む。
「おい、テレジア! ディレク様とローザ様の仲を引き裂こうなど言語道断だ」「そうだ、二人は幸せになるべきだ」「テレジア、お前、王族の関係者だって聞いたぞ」「王子とも親しかったそうだな! 今まであえて追及しなかったけど!」「復興の邪魔もしやがって、もう我慢の限界だ!」
住民の不満が爆発していた。
皆どんどんテレジアを追い詰めていく。
「…………くぅ、くぅぅぅ……! もういいわッ! こんなボロボロの国なんて捨ててやる! 私は自由に生きるわ! こんな国でもない土地なんて、こちらから願い下げよ。去ってやる」
逆ギレ……これは酷いわね。
テレジアはくるりと踵を返し、背を向けて去っていく。今やモンスターを守る壁もないから、直ぐに外へ出られる。
そうして、テレジアは去った。
◆
……更に28日後。
お屋敷で幸せな毎日を暮らしていた。
ディレクはその立場から、他の女性からよくお誘いを受けていたけれど、全部断ってわたし一筋で、わたしだけを見つめてくれていた。常に傍にいてくれたので、彼がどれだけわたしを想ってくれているか理解できた。
「今日もお疲れ様でした、ディレク」
「やっと魔法も完成してね。これで完璧なバリアを張れるよ。もう明日には全て塞げるから、今後もうアンデッドモンスターとかに襲われる心配もないよ」
そう、彼の魔法は完成した。
月と太陽の守護魔法。
これでモンスターの侵入を阻める。彼の魔法は完璧だったし、これまでも何度も役立っていた。その度に彼の評判は上がっていき、それと同時にわたしの名声も広まった。今やわたしとディレクは王族のような扱いになっていた。
「これで本当の平和が訪れるのですね」
「そうさ、ローザと結婚式も挙げられるよ」
「心の底から嬉しいです。この時をずっと待ち望んでいましたから」
抱き合ってゆったりとした時間を過ごしていると――
「きゃあああああッ!!」
突然、叫び声が。
「外の方だったな。ローザ、何か感じるかい?」
「少し嫌な感じがしますけど……もしかして、ゾンビが」
その可能性は否定できない。
魔法まだ全ての壁を塞いだわけじゃない。もし、野良ゾンビとかだとしたら大変だ。
直ぐにお屋敷の外の様子を見に行った。丁度、近くが塞がれていないポイントだった。
到着すると、塞がれていない壁の外には――
「……ディ、レク、サマ……。ロー…ザ」
ゾンビとなったテレジアの姿があった。顔はただれ、服も手足はズタズタのボロボロ。もうあの綺麗だった顔は残されていない。
「テレジア……。貴方、感染してしまったのね」
「……ローザ様、下がって」
「ですが!」
「もうアレはゾンビです。残念ですが……先程完成した月と太陽の魔法で壁を塞ぎます。これで外界とは完全に遮断されて、国は平和になるんです」
そうね、これが一番正しい選択でしょう。もう、ゾンビを助ける事なんて出来ないのだから――。
……バリアが埋まり、塞がった。これでもうモンスターは出入り出来ない。この国はディレクの偉大な魔法によって守護されるようになった。
そして、現れたゾンビ……彼女は誰かに討伐されない限り、この世を永遠に彷徨い続けるのだろう。
……せめてもの慈悲。
わたしは祈りを捧ぐ。
◆
国は完全に平和となり、モンスターは一匹もいない。昔のような大量のモンスターの襲来もなく、ゾンビも現れていない。
人々は、ディレクの偉業を讃えた。
そうして彼は新たな王と認められ、建国を果たした。そして数日後には、わたしとディレクは結婚。幸せすぎる日々が始まり、永遠の幸せを手に入れた――。
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おもしろい!
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