さようなら、わたくしの騎士様

夜桜

文字の大きさ
34 / 90

さようなら、自称王妃

しおりを挟む
 ヴァレリアの首筋に刃が向けられる。
 ルドラ……いえ、フェイルノートは本気だった。


「……フェイルノート! なんで……」
「ヴァレリア、お前は罪を重ねすぎた。弟のルドラだけでなく、クリスの命も狙った。……万死に値する」

 言葉に怒りをにじませるフェイルノートは、光の魔法を作り出してヴァレリアの手足を拘束した。

「わ、私をどうする気!?」
「この場で切り捨てることは簡単だ。だが、それでは俺の怒りは収まらない。騎士団長としてお前に宣告する。戦争犯罪および殺人罪で死刑に処す」


 ヴァレリアは、主にルドラを暗殺した罪を問われた。もちろん、妹のマイナに対する殺人も含まれた。
 しかもバルザックの情報によれば、エルドリア王国の王妃――“候補”ということが判明した。
 婚約すらしていないという。
 つまり、ヴァレリアは王妃を『自称』していただけだった。

 どこまで見栄を張っているのやら呆れるばかりだ。

 だから、ヴァレリアは本当にだだの罪人として裁かれることになった。


「ルド……フェイルノート様」
「ずっと真実を告げられず申し訳ない、クリス」

 改めて謝罪するフェイルノート。
 今は胸がいっぱいで言葉が見つからなかった。嬉しくも思い、悲しくも感じた。
 弟のルドラは、ヴァレリアの手によって暗殺されていたのだから……。心中は複雑で、素直には喜べなかった。
 でも、それでもフェイルノートがこうして目の前に帰ってきてくれて、わたくしはそれだけで涙が出そうになった。

 せめて感謝を。


「ありがとうございます」
「こちらこそ、こんな俺のそばにいてくれてありがとう」


 壊れないよう丁寧に抱きしめてくれるフェイルノート。嬉しい。


「……くッ! クリス、あんたばかり幸せになれると思わないことね!」


 ヴァレリアは、まだ負け惜しみを口にする。
 もう何を言われても感じない。
 これから彼女は罰を受けるのだから。


 その後、複数の騎士が到着してヴァレリアを連行。
 まずは取り調べが始まった。


 どうしてヴァレリアが敵国であるエルドリア王国と蜜になっていたのか。どうやって王国へ入ったのかなど、ラングフォード家自体にも疑惑の眼差しが向けられた。

 そもそも、ラングフォード家はいろいろ問題を起こしていた。
 このままなら徹底追及されて、貴族としても終わるのではないかと囁かれ始めていた。

 そうして時が流れ、ヴァレリアは簡単な裁判で死刑が言い渡された。
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

冷酷伯爵ディートリヒは、去った妻を取り戻せない

くろねこ
恋愛
名門伯爵家に政略結婚で嫁いだ、正妻エレノア・リーヴェルト。夫である伯爵ディートリヒ・フォン・アイゼンヴァルトは、 軍務と義務を最優先し、彼女に関心を向けることはなかった。 言葉も、視線も、愛情も与えられない日々。それでも伯爵夫人として尽くし続けたエレノアは、ある一言をきっかけに、静かに伯爵家を去る決意をする。 ――そして初めて、夫は気づく。 自分がどれほど多くのものを、彼女から与えられていたのかを。 一方、エレノアは新たな地でその才覚と人柄を評価され、 「必要とされる存在」として歩き始めていた。 去った妻を想い、今さら後悔する冷酷伯爵。前を向いて生きる正妻令嬢。 これは、失ってから愛に気づいた男と、 二度と戻らないかもしれない夫婦の物語。 ――今さら、遅いのです。

【完結】記憶喪失の令嬢は無自覚のうちに周囲をタラシ込む。

ゆらゆらぎ
恋愛
王国の筆頭公爵家であるヴェルガム家の長女であるティアルーナは食事に混ぜられていた遅延性の毒に苦しめられ、生死を彷徨い…そして目覚めた時には何もかもをキレイさっぱり忘れていた。 毒によって記憶を失った令嬢が使用人や両親、婚約者や兄を無自覚のうちにタラシ込むお話です。

【完結】恋は、終わったのです

楽歩
恋愛
幼い頃に決められた婚約者、セオドアと共に歩む未来。それは決定事項だった。しかし、いつしか冷たい現実が訪れ、彼の隣には別の令嬢の笑顔が輝くようになる。 今のような関係になったのは、いつからだったのだろう。 『分からないだろうな、お前のようなでかくて、エマのように可愛げのない女には』 身長を追い越してしまった時からだろうか。  それとも、特進クラスに私だけが入った時だろうか。 あるいは――あの子に出会った時からだろうか。 ――それでも、リディアは平然を装い続ける。胸に秘めた思いを隠しながら。

【完結】これをもちまして、終了とさせていただきます

楽歩
恋愛
異世界から王宮に現れたという“女神の使徒”サラ。公爵令嬢のルシアーナの婚約者である王太子は、簡単に心奪われた。 伝承に語られる“女神の使徒”は時代ごとに現れ、国に奇跡をもたらす存在と言われている。婚約解消を告げる王、口々にルシアーナの処遇を言い合う重臣。 そんな混乱の中、ルシアーナは冷静に状況を見据えていた。 「王妃教育には、国の内部機密が含まれている。君がそれを知ったまま他家に嫁ぐことは……困難だ。女神アウレリア様を祀る神殿にて、王家の監視のもと、一生を女神に仕えて過ごすことになる」 神殿に閉じ込められて一生を過ごす? 冗談じゃないわ。 「お話はもうよろしいかしら?」 王族や重臣たち、誰もが自分の思惑通りに動くと考えている中で、ルシアーナは静かに、己の存在感を突きつける。 ※39話、約9万字で完結予定です。最後までお付き合いいただけると嬉しいですm(__)m

【完結】仲の良かったはずの婚約者に一年無視され続け、婚約解消を決意しましたが

ゆらゆらぎ
恋愛
エルヴィラ・ランヴァルドは第二王子アランの幼い頃からの婚約者である。仲睦まじいと評判だったふたりは、今では社交界でも有名な冷えきった仲となっていた。 定例であるはずの茶会もなく、婚約者の義務であるはずのファーストダンスも踊らない そんな日々が一年と続いたエルヴィラは遂に解消を決意するが──

【完結】あなたは、知らなくていいのです

楽歩
恋愛
無知は不幸なのか、全てを知っていたら幸せなのか  セレナ・ホフマン伯爵令嬢は3人いた王太子の婚約者候補の一人だった。しかし王太子が選んだのは、ミレーナ・アヴリル伯爵令嬢。婚約者候補ではなくなったセレナは、王太子の従弟である公爵令息の婚約者になる。誰にも関心を持たないこの令息はある日階段から落ち… え?転生者?私を非難している者たちに『ざまぁ』をする?この目がキラキラの人はいったい… でも、婚約者様。ふふ、少し『ざまぁ』とやらが、甘いのではなくて?きっと私の方が上手ですわ。 知らないからー幸せか、不幸かーそれは、セレナ・ホフマン伯爵令嬢のみぞ知る ※誤字脱字、勉強不足、名前間違いなどなど、どうか温かい目でm(_ _"m)

その結婚は、白紙にしましょう

香月まと
恋愛
リュミエール王国が姫、ミレナシア。 彼女はずっとずっと、王国騎士団の若き団長、カインのことを想っていた。 念願叶って結婚の話が決定した、その夕方のこと。 浮かれる姫を前にして、カインの口から出た言葉は「白い結婚にとさせて頂きたい」 身分とか立場とか何とか話しているが、姫は急速にその声が遠くなっていくのを感じる。 けれど、他でもない憧れの人からの嘆願だ。姫はにっこりと笑った。 「分かりました。その提案を、受け入れ──」 全然受け入れられませんけど!? 形だけの結婚を了承しつつも、心で号泣してる姫。 武骨で不器用な王国騎士団長。 二人を中心に巻き起こった、割と短い期間のお話。

【完結】見返りは、当然求めますわ

楽歩
恋愛
王太子クリストファーが突然告げた言葉に、緊張が走る王太子の私室。 この国では、王太子が10歳の時に婚約者が二人選ばれ、そのうちの一人が正妃に、もう一人が側妃に決められるという時代錯誤の古いしきたりがある。その伝統に従い、10歳の頃から正妃候補として選ばれたエルミーヌとシャルロットは、互いに成長を支え合いながらも、その座を争ってきた。しかしーー 「私の正妃は、アンナに決めたんだ。だから、これからは君たちに側妃の座を争ってほしい」 微笑ながら見つめ合う王太子と子爵令嬢。 正妃が正式に決定される半年を前に、二人の努力が無視されるかのようなその言葉に、驚きと戸惑いが広がる。 ※誤字脱字、勉強不足、名前間違い、ご都合主義などなど、どうか温かい目で(o_ _)o))

処理中です...