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大聖女のヒールで快適
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再び『アクアの森』へ戻り、スライムを探す。探すと言っても、そこら中に転がっているし、たいした脅威でもない。
基本、スライムは襲って来ないので誰でも倒せる。やろうと思えば、子供でも猫でも倒せるだろうな。
それほどに最弱であり、元々の経験値もかなり低いという。遥か昔のデータなので、いくつだったのかハッキリしないけど。
「スライム発見~♪」
さっそく茂みの中からスライムが複数出てきた。俺は『釣り竿』でモンスターを狩っていく。すると、背後から声がした。
「今のでスライムを3体討伐しましたよ」
「分かるのか、ユーフォリア」
「ええ、正確な数がわたくしに入ってくるんです。ですから、討伐数を知りたい場合はわたくしに訊ねて下さい」
てっきりシンシア教会で待機したままかと思ったのだが、彼女……ユーフォリアは俺についてきた。理由は『面白そうだから』らしい。大聖女ってのは暇なのだろうか。
でもいい。
一人よりは二人。
しかも、討伐数が分かる特典付き。
ならば彼女には数をカウントして貰う。
俺は、スライム狩りを続け、とにかく釣り竿を振るいまくった。斬撃を与えまくった。そうして二時間と作業を続けていくと――ついに、討伐数が『90』を超えた。
「……ふぅ、疲れたなぁ」
「素晴らしい能力をお持ちですね、ソレム様」
「ん、この『釣り竿』の事かい?」
「ええ、それです。その釣り竿は、武器でもあるのですね?」
「そうだ。俺の唯一の武器。もちろん、魚を釣ることもできる。釣りスキルは、ほぼマックスでね、それだけが取り柄だったんだけど、極めていれば物理攻撃も可能になってた」
俺の能力はいつしか覚醒し、聖騎士に匹敵する攻撃専用スキルを入手してしまっていた。例えば、聖騎士なら『ホーリークロス』という大技がある。これは、全体ダメージを与える聖属性の物理・魔法攻撃だ。
対して、俺の釣りスキル『メイルシュトローム』もまた、そんなホーリークロスに引き気を取らない効果を持っていた。属性が違うだけで、ほぼ同じ内容だ。
この『メイルシュトローム』は、水属性の物理・魔法攻撃判定を持ち、釣り竿を振るうだけで斬撃を広げ、モンスターを葬るという便利な攻撃スキルだ。
使用には、魔力を使う。使うが、俺にしてみれば、それほどの消費量ではなかった。例えるなら『ちょっと腹が減ったな~』程度だ。だから、使用回数も最大で十回はいけるだろうな。
あとは、魔力回復ポーションと自然回復に任せて、ひたすらスキルを乱発。そうする事で、スライムを一気に狩りつくしていた。
「ソレム様は面白い方です。ちょっと興味が沸きました」
「ほう、ユーフォリアは、こうやって誰かと外へ出るのはあまりしないのかい?」
「ええ。わたくしは、ほとんど外へ出たことがないんです。だから、こういう冒険というのでしょうか……今のところは見ているだけですけど楽しいです」
「そうか。なら、しばらくは相手になってもらおうかな。俺も話し相手がいるだけで気が楽だよ。なんならヒールとかして欲しいけどね」
大聖女なんだし、ヒールくらいは覚えていそうなものだが。回復魔法『ヒール』があれば、体力を大幅に回復できるから、ほぼ回復剤いらずになる。回復ポーションは、お財布にダメージを与えるアイテム。使用はできれば避けたい。
「ヒールですか。これの事でしょうか?」
指で器用にハートを作るユーフォリアは、俺に『ヒール』を向けた。体力が一気に回復。疲れも一緒に取れて身軽になった。
こりゃ、本物のヒールだ!
「それだよそれ! ユーフォリア、良かったらパーティを組まないかい?」
「パーティって……なんですか?」
分からないのも無理はないか。
経験値が世界から消えてから、パーティなんてものも随分少なくなった。ギルドだって壊滅状態。ない事はないけど……もはや、同好会みたいなものだ。
「いいかい、ユーフォリア。パーティとはね、二人以上で組んで狩りをする事さ。その昔は、大人数で難易度の高いダンジョンへ行ったものらしいけどね。今では、そんな光景も少なくなったけど」
「大人数で! なんだかそう聞くと楽しそうですね。本当に経験値がなくなってしまった事……悔やまれます」
同感だ。どうして、全モンスターから経験値が消えてしまったんだろうな。いったい、誰の仕業なんだろうか。
そう思いながら俺は、釣り竿からスキルを発動。ついに『スライム100体』を討伐完了。これでついに俺は、念願の『経験値』を入手できる!!
基本、スライムは襲って来ないので誰でも倒せる。やろうと思えば、子供でも猫でも倒せるだろうな。
それほどに最弱であり、元々の経験値もかなり低いという。遥か昔のデータなので、いくつだったのかハッキリしないけど。
「スライム発見~♪」
さっそく茂みの中からスライムが複数出てきた。俺は『釣り竿』でモンスターを狩っていく。すると、背後から声がした。
「今のでスライムを3体討伐しましたよ」
「分かるのか、ユーフォリア」
「ええ、正確な数がわたくしに入ってくるんです。ですから、討伐数を知りたい場合はわたくしに訊ねて下さい」
てっきりシンシア教会で待機したままかと思ったのだが、彼女……ユーフォリアは俺についてきた。理由は『面白そうだから』らしい。大聖女ってのは暇なのだろうか。
でもいい。
一人よりは二人。
しかも、討伐数が分かる特典付き。
ならば彼女には数をカウントして貰う。
俺は、スライム狩りを続け、とにかく釣り竿を振るいまくった。斬撃を与えまくった。そうして二時間と作業を続けていくと――ついに、討伐数が『90』を超えた。
「……ふぅ、疲れたなぁ」
「素晴らしい能力をお持ちですね、ソレム様」
「ん、この『釣り竿』の事かい?」
「ええ、それです。その釣り竿は、武器でもあるのですね?」
「そうだ。俺の唯一の武器。もちろん、魚を釣ることもできる。釣りスキルは、ほぼマックスでね、それだけが取り柄だったんだけど、極めていれば物理攻撃も可能になってた」
俺の能力はいつしか覚醒し、聖騎士に匹敵する攻撃専用スキルを入手してしまっていた。例えば、聖騎士なら『ホーリークロス』という大技がある。これは、全体ダメージを与える聖属性の物理・魔法攻撃だ。
対して、俺の釣りスキル『メイルシュトローム』もまた、そんなホーリークロスに引き気を取らない効果を持っていた。属性が違うだけで、ほぼ同じ内容だ。
この『メイルシュトローム』は、水属性の物理・魔法攻撃判定を持ち、釣り竿を振るうだけで斬撃を広げ、モンスターを葬るという便利な攻撃スキルだ。
使用には、魔力を使う。使うが、俺にしてみれば、それほどの消費量ではなかった。例えるなら『ちょっと腹が減ったな~』程度だ。だから、使用回数も最大で十回はいけるだろうな。
あとは、魔力回復ポーションと自然回復に任せて、ひたすらスキルを乱発。そうする事で、スライムを一気に狩りつくしていた。
「ソレム様は面白い方です。ちょっと興味が沸きました」
「ほう、ユーフォリアは、こうやって誰かと外へ出るのはあまりしないのかい?」
「ええ。わたくしは、ほとんど外へ出たことがないんです。だから、こういう冒険というのでしょうか……今のところは見ているだけですけど楽しいです」
「そうか。なら、しばらくは相手になってもらおうかな。俺も話し相手がいるだけで気が楽だよ。なんならヒールとかして欲しいけどね」
大聖女なんだし、ヒールくらいは覚えていそうなものだが。回復魔法『ヒール』があれば、体力を大幅に回復できるから、ほぼ回復剤いらずになる。回復ポーションは、お財布にダメージを与えるアイテム。使用はできれば避けたい。
「ヒールですか。これの事でしょうか?」
指で器用にハートを作るユーフォリアは、俺に『ヒール』を向けた。体力が一気に回復。疲れも一緒に取れて身軽になった。
こりゃ、本物のヒールだ!
「それだよそれ! ユーフォリア、良かったらパーティを組まないかい?」
「パーティって……なんですか?」
分からないのも無理はないか。
経験値が世界から消えてから、パーティなんてものも随分少なくなった。ギルドだって壊滅状態。ない事はないけど……もはや、同好会みたいなものだ。
「いいかい、ユーフォリア。パーティとはね、二人以上で組んで狩りをする事さ。その昔は、大人数で難易度の高いダンジョンへ行ったものらしいけどね。今では、そんな光景も少なくなったけど」
「大人数で! なんだかそう聞くと楽しそうですね。本当に経験値がなくなってしまった事……悔やまれます」
同感だ。どうして、全モンスターから経験値が消えてしまったんだろうな。いったい、誰の仕業なんだろうか。
そう思いながら俺は、釣り竿からスキルを発動。ついに『スライム100体』を討伐完了。これでついに俺は、念願の『経験値』を入手できる!!
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